《空からは激しい雨のように噴出物、火山灰が降ってきました》
1月15日の大規模な噴火の影響で、降灰や津波の被害を受けたトンガ。
駐トンガ日本大使館は1月24日、宗永健作大使が噴火時の状況を詳細に綴った文章を大使館ウェブサイトで公開しました。
宗永大使は、目の当たりにした噴火や降灰の凄まじさを記しています。
大規模噴火が発生した現地時間の1月15日、「休日で自宅で寛いでいた」という大使。
自宅で感じた衝撃を、こう綴っています。
《これまで聞いたことのないような巨大な音、近くで大きな大砲を発射したような「バンッ」という音が空から響きわたりました。それに続いて、これも経験したことのないような衝撃が駆け抜けました》
《家や窓ガラスが撓(たわ)むような激しい、音速で駆け抜ける衝撃、地面の揺れはない、地殻からではなく空からのもので、日本では経験したことのない衝撃でした》
火山の噴火だということがすぐ把握できないうちに、「同じような爆発音と衝撃」が何度か続き、自宅からも「巨大なキノコ雲が空の半分を覆い隠して」いる様子が見えたといいます。
トンガには、災害時に人々に危険を知らせる警報システムはなく、コロナ禍の影響がなければ、日本政府の援助で2020年夏に警報システムが完成する予定でした。
噴火にともなう津波に備え、大使館職員は「トンガでは最も高い5階建てビルの5階にある」日本大使館に避難。
大使は、噴火が週末で、市街地の人出も多くなかったことや、日没前で明るかったことが「不幸中の幸いでした」としています。
噴火のあと、降灰や津波の影響を受けた街の情景については、こう記しています。
《翌、日曜日の朝、我々が目にしたのは厚い火山灰で覆いつくされ真っ黒になった世界でした。海岸沿いの道路には無数の石、岩が散乱し、その中には打ち上げられたボートが混じっています》
《海と道路一本はさんで並んでいる家々のフェンスはなぎ倒され、庭に岩やボートが流れ込み家屋まで破壊されているところもありました》
「3人しかいない書記官の交代で24時間体制」
トンガでは現在、新型コロナウイルスの感染が確認されていないため、海外からの支援活動も、感染の流入を防ぐため細心の注意をはらった上で行われています。
コロナ禍の影響で日本大使館も人数が限られ、3人の書記官の交代で24時間体制を続けているといいます。
《ただ暗さはありません。むしろ日本をはじめとする各国からの暖かい言葉と迅速的確なご支援は、これまで余り陽の当たらなかったトンガに、火山の噴煙が晴れたとたん降りそそぐ明るい光のように感じております》
日本政府は被災したトンガに、100万ドルの支援を表明。
航空自衛隊の輸送機は1月22日、支援物資として飲料水約3トンを届けました。
引き続き、自衛隊は空路と海路両方で、火山灰撤去のための用具や飲料水などの支援物資を届けていく予定です。