スターバックス コーヒー ジャパンは11月から、一部のアイスドリンクのカップを、使い捨てのプラスチックカップから、「紙製カップ」に変更することを発表しました。
プラスチックごみ削減を目的とした取り組みです。
蓋も、ストローを使わずに飲める形のものに変更になります。
アイスドリンクに使われる「紙カップ」、どんなもの?
同社は9月25日に開かれたオンライン会見で、新しい紙カップなどについて説明しました。
11月から、一部アイスドリンクで導入される紙カップ、どのようなものなのでしょうか。
新しく導入される紙カップはアイス、ホットのドリンク両方に使われるということ。
冷たい飲み物を紙カップに入れると、ふやけてしまいそうなイメージがありますが、同社担当者によると、濡れてもカップが柔らかくなったり、ふやけたりしないように、改善を重ね、内外両面にラミネート加工を施した紙カップを作ったということです。
このラミネート加工により結露の影響を受けにくく、長時間利用しても耐久性がある紙カップになっているということです。
紙カップの原材料も、適正に管理された森林などから供給されたという意味の「FSC認証」の紙を使っているということ。
これまでにも、インドや台湾のスターバックスでは、紙カップでアイスドリンクの提供を始めていて、日本もそれに続く形となったとうことです。
紙カップへ変更はどこでいつから?フラペチーノも?
紙カップへの変更は、段階的に実施され、11月からまず一部ドリンクで国内103店舗で、2021年2月からは1500店を超える全ての国内店舗に拡大する予定。
2020年11月から103店舗で紙カップに変更されるのは、アイスコーヒーやアイスティー(ブラック・パッション)のドリンク3品目。
2021年2月からは全店舗で、それらのドリンクに加えて、アイスココアやスターバックスラテなど14品目が紙カップでの提供に変わります。
ただ、フラペチーノや期間限定のドリンクに関しては、今まで通りプラ製カップでの提供になるということです。
蓋もストローを使わない形に変更へ
今回、紙カップへの変更と共に、変化があるのは「蓋」。アイス・ホットドリンク共に、蓋の形が変わります。
これまでのアイスドリンクのプラ製カップの蓋は、ストローを差し込む形になっていましたが、新しい蓋では、ストローを使わずにそのまま蓋にある飲み口から飲む形になります。
蓋は提供時には閉まっていて、自分で飲み口を開ける形式です。
アイスドリンク用のストローは2020年1月から、紙製ストローに切り替えられていましたが、新しい紙製カップではストローの使用量自体を削減することを目指しているとのこと。
しかしストローを使いたい場合は、飲み口の箇所にストローをさして飲むことも可能です。
ホットドリンクも同様の蓋の形に変更になります。旧型のホットドリンクの蓋は、飲み口が元々開いていたので、持ち帰り時にはプラ製のマドラーで蓋をしていました。
蓋が変更になることで、プラ製のマドラーも廃止され、プラ削減に繋がります。木製のマドラーはこれまで通り提供されます。
蓋の素材はポリスチレンを使用していて、プラ製の容器の分別収集をしている自治体ではリサイクルできる素材ということ。今後、さらに環境負荷が低いものに変更していく予定ということです。
環境への影響、どれだけ効果がある?
これまで、プラスチック製カップで提供されていたアイスドリンクが、紙製カップで提供されることにより、1杯あたり約6割のプラスチック使用量が削減できるということです。
これは、これまで使われていたプラ製カップ・旧型の蓋における重量と、紙製カップ・新型の蓋におけるプラスチックの重量を比較して算出したもので、トールサイズで換算です。
また、2021年2月に全国の店舗で紙製カップに切り替えた時には、年間で約6100万カップ分のプラスチック削減につながるということです。
紙カップのラミネート加工にはプラスチックを使っていますが、その量を考えても、以前使用されていたプラスチック製カップよりは大幅にプラ使用量を削減できます。
コロナで一時休止していたマイタンブラー使用も再開
スターバックスでは、使い捨てのカップの使用量を抑えるため、客が自分のタンブラーを持ち込むことを歓迎していました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2月後半からマイタンブラー持ち込みを一時休止していましたが、9月16日から再開したということです。
店内での陶器製のマグカップでのドリンク提供も一時休止していましたが、10月1日から再開するとのことです。
プラ製包装資材の全廃なども実施
これまでも同社ではプラ製ストローを紙ストローに変更するなど、プラごみ削減の取り組みを実施してきました。
紙ストローへの変更では、年間約2億本分のプラ製ストロー削減に繋がったといいます。
また、2020年1月からは、プラ製ギフト包装資材を廃止して、紙製やオーガニックコットンを使った包装に変更。この変更によって年間約18トンのプラ削減につながるということです。
同社の水口貴文・代表取締役最高経営責任者(CEO)は廃棄物削減に関して、「全世界に店舗を持つスケールを活かして、使い捨てプラススチック資材を含めた廃棄物削減に積極的に取り組み、コミュニティに更にポジティブな影響を与える活動を継続していきます」と話しています。