東京都は9月から、すべての都立学校の女子トイレに生理用品を配置する方針を明らかにしました。
経済的な理由で生理用品が購入できない「生理の貧困」問題を受け、学校での女子生徒のサポートに踏み出しました。
東京都教育委員会の広報担当によると、対象はすべての都立高校や中高一貫校、特別支援学校など約250校。
公費で生理用品を購入し、学校の女子トイレに配置していきます。
特別支援学校も対象に含まれるため、ナプキンやタンポンなど生理用品の種類に関しては、ニーズに合わせて各校が選ぶ形をとる予定です。
広報によると、都議会で6月2日、公明党から「生理の貧困」についての質問があり、教育長がその答弁で都立学校に生理用品を配備する方針を明らかにしました。
教育長は「コロナ禍により、経済的な理由等で入手が難しい子どもたちがいることが浮き彫りになった」「都立学校においても児童生徒がいつでも(生理用品を)入手できる環境を整える必要があります」と、学校のトイレに配置する意義を説明しました。
5月から先行して、都立高校7校の女子トイレに生理用品を配置し、配置場所や補給方法などについてどのような形が良いか検討したといいます。
報道を受け、Twitterでは「この流れが広まってほしい」「大きな一歩」といった反応が広がっています。
「生理の貧困」とは。生理用品が買えない人たちがいる現実
「生理の貧困」は国内でも深刻な問題となっています。
国際NGO「プラン・インターナショナル」は3月、日本国内の15〜24才の女性2000人を対象に生理についてのアンケート調査を実施。
回答者2000人のうち、35.9%にあたる717人が「何らかの理由で(生理用品の)購入や入手をためらったり、購入できなかった」と答えました。
理由として「収入が少ないから」(11.2%)、「生理用品が高額だから」(9.0%)、「お小遣いなど自分が使えるお金が少ないから」
(8.7%)、「他のことにお金を使わなければならないから」(8.4%)などが挙げられています。
購入できなかった場合の対処法(複数回答)は、70.7%が「ナプキン・タンポンなどを長時間使ったり、交換する頻度を減らしたりした」、37.9%が「トイレットペーパーやキッチンペーパーなどで代用した」と答えました。
緊急的な支援から、継続的な支援へ
コロナ禍で困窮する人が増えたことを受け、東京都豊島区をはじめとする各地の自治体が、災害時のために備蓄し、入れ替え時期を迎えた生理用品を数量限定で配布しました。
一方、継続的な支援が課題となっていました。
生理について啓発・発信する団体「#みんなの生理」は、文部科学省や厚生労働省宛てに、オンライン署名「学校のトイレに生理用品を設置してください」を立ち上げ、6月3日時点で2万4千筆以上が集まっています。
東京都のほか、神奈川県も特別支援学校2校を含む県立学校12校の女子トイレに、生理用品を配備するモデル事業を始めました。
6〜8月の3カ月間、女子トイレの共用部分に生理用品を置き、生徒からアンケートなどで感想を募り、今後の支援の参考にするということです。