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「難民が増えると治安が悪化する?」「難民はなぜ日本に来る?」SNSで説明する理由

難民についての12の質問への答えを、難民支援協会がInstagramやTwitterで発信しています。

「難民が増えると治安が悪化するのでは?」「なぜ難民は日本に来る?」ーー。

実は日本にも、紛争や人権侵害を理由に、母国から助けを求めて逃れてきた人たちがいます。

難民について、「実際のところ、どうなんだろう?」と思ったことはありませんか?

難民についてよく聞かれる質問への解説を、NPO法人「難民支援協会(JAR)」がSNSに投稿しています。

#難民にまつわる12のよくある質問 日本で暮らす難民について、よく聞かれる質問をこれから連載で紹介します!難民に関する漠然とした不安や現実の複雑さを、差別や偏見によることなく考えていきたいと思います。より多くの方に届けるため、リツイートやハッシュタグをつけた投稿でぜひ拡散ください!

Twitter: @ja4refugees

難民支援協会のツイート

難民支援協会は東京を拠点に、日本に逃れてきた難民の人たちに、衣食住や就労、法的支援など様々な角度でのサポートをしています。

日常生活を送っている中では顔は見えにくいけど、実際に同じ日本社会で生きている難民の人たち。

まずは「知ってほしい」と、難民支援協会はTwitterとInstagramで1月18日から、難民についての「Q&A」を約1週間かけて発信しています。

SNS投稿は、今月初めに協会のサイトで公開された「難民にまつわる12のよくある質問」がもととなっています。

例えば、「難民ってどんな人たち?」「難民が増えると治安が悪化するのでは?」という質問には、こう答えています。

Q「難民ってどんな人たち?」

A《難民とは、紛争や人権侵害などから自分の命を守るためにやむを得ず母国を追われ、逃げざるを得ない人たちのことです》

《迫害の理由や出身国は様々で、その背景には、民主化活動に参加したことや宗教上の改宗をしたこと、性的マイノリティであるなど、一人ひとり違った事情があります》(一部抜粋)

Q「難民が増えると治安が悪化するのでは?」

A《難民キャンプの治安状況や、難民を多く受け入れているヨーロッパでの難民による犯罪の報道などから、難民の存在が治安悪化やテロの可能性と結びつけて考えられることはよくあります。しかし、難民であることと、その人が犯罪やテロを起こす可能性はまったく別の問題です》

《一部の難民による犯罪やテロの例があったとしても、すべての難民に対してそのようなイメージをあてはめるのは適当ではありません》(一部抜粋)

よくある質問への回答は、サイトに掲載された「難民にまつわる12のよくある質問」の一覧からも読むことができます。

「広く知ってもらい、差別や偏見によらずに考えてもらいたい」

SNS投稿の背景について、難民支援協会の広報担当者は取材に対し、以下のように説明します。

「入管法改正案や外国人の収容問題などをきっかけに、日本に逃れた難民への関心が高まり、報道の増加や、衆院選での争点化の動きなどにつながりました」

「一方で、多くの方にはまだ、『そもそも難民がなぜ日本に来るのか?』『難民が増えると治安が悪化するのでは?』といった漠然とした疑問や不安が多いのではと感じていました」

「まずは難民に関する基礎的なことを広く知ってもらい、差別や偏見によらずに考えてもらいたいと、私たちがよく聞かれる質問をSNSで投稿することにしました」

日本では例年、難民認定率が1%以下と、G7諸国など他の先進国と比べて極めて低いことも問題となっています。

【難民認定数・認定率編】日本で難民認定が適正に行われていないことは、難民認定数・認定率に如実に表れています。2019年は約1万人の審査の結果、わずか44人しか難民認定されず、難民認定率は0.4%でした。G7の他の国々と比べても異常に低い水準です。

Twitter: @ja4refugees

2019年の難民認定率について、日本と各国の比較

今回のSNS投稿をきっかけに、日本での難民の存在について知ったという人たちに向けては、広報担当者はこのような思いを語りました。

「難民に関するニュースを知ると、難民に対する共感や、何とかしたいという思いとともに、漠然とした不安や疑問を感じることがあるかもしれません」

「しかし、難民問題とは、人の命や人権に関わる問題です。難民の命を守り、ともに暮らせる社会とは、どんな人にとっても安心して暮らせる社会とも言えます。差別や偏見によることなく、一緒に考えていっていただきたいと思います」

サムネイル:Getty image(イメージ写真)