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毎年作られる「虹色の花壇」。そこに込められた思いとは

5月17日は世界的に祝われている「多様な性にYESの日(IDAHO)」。各地で「レインボーな取り組み」が実施されます。

福岡市植物園では2018年から、毎年5月に「虹色」の花壇を作っています。

ペニチュアやマリーゴールド、ブルーサルビアなどで彩られた6色の花壇。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響で4月上旬から休園しています。

「それでもレインボー花壇を楽しんでほしい」と、テレビ電話の背景画像などに使えるように、写真を配布しています。

なぜ毎年、レインボーの花壇を?

福岡市植物園が毎年5月に、虹色の花壇を作っているのには理由があります。

それは、5月17日の「多様な性にYESの日(IDAHO)」を祝うためです。

5月17日は、1990年にWHO(世界保健機関)の精神疾患のリストから同性愛が削除された日。国際的な記念日として各国で祝われていて、今年は30周年記念の年です。

IDAHOは「LGBT嫌悪に反対する国際デー(International Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobia)」の頭文字で、IDAHOBITなどとも略されます。日本では「多様な性にYESの日」と呼ばれ、各地でこの日に、イベントなどが実施されています。

赤、オレンジ、黄色、緑、青、そして紫の6色のレインボー、またはレインボーフラッグは、LGBT+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど)の人々の尊厳と、LGBTの社会運動を象徴するもの。植物園では、6色のレインボー花壇を作ることで、IDAHOの日を祝っているのです。

福岡市植物園 @f_botanical のレインボー花壇🌈 5月17日の「多様な性にYESの日」にあわせて咲いていて三年目の今年が一番きれいなのに、閉園してて誰にも見てもらえません💐😭 もったいないのでzoomなどのビデオチャットの背景に使ってください! 多様な性にYESの日👉https://t.co/rGY2w2tSRj

@Idaho_Net

「植物の多様性学ぶ植物園、花を使って多様な性を考える機会に」

福岡市植物園はこの日に合わせ2018年から、福岡を中心にLGBTの子どもや若者の支援に取り組む団体「FRENS」と共催し、レインボー花壇やパネル・メッセージ展示などを実施しています。

植物園の担当者によると、「植物園では普段、なかなか人権や多様性について知る機会は少ない。しかし、植物の多様性を学ぶ場でもある植物園では、花を使って多様な性を考える『気づきの機会』を提供できるのでは」とレインボー花壇を始めたといいます。

福岡市では2018年4月「パートナーシップ宣誓制度」を導入しており、それも1つのきっかけになったそうです。

例年であれば5月は遠足シーズンで、多くの子どもや教員、家族などが来園する季節。「(LGBTなどについて)知らない方も、来園しレインボー花壇で気づきを持ってもらえれば」と花壇やパネル展示を実施していました。

今年もレインボー花壇は7月上旬まで設置されるため、担当者は「臨時休園が終わった再開後に、ソーシャルディスタンスを取りながら、楽しんでほしいです」と話しました。

花壇の背景画像は、FRENSのウェブサイトや上記のツイートからダウンロードできます。

家族と過ごす時間多い今、LGBTの子どもたちが「安心して過ごせるよう」

福岡市植物園と「多様な性にYESの日(IDAHO)」のイベントを3年間共催してきた支援団体のFRENSは、今年のIDAHOは、例年に加えて少し違った思いがあると説明します。

FRENS代表の小野アンリさんは、新型コロナウイルスの流行で、家にいる時間が長い今、「LGBTの子どもや若者たちから『しんどい』という声が増えている」と話します。

親や家族に自身のセクシュアリティについて打ち明けていなかったり、まだ自分のセクシュアリティについて悩んだりしている子どもたちは、外出自粛により家で苦しい時間を過ごしているといいます。

「FRENSでは2009年からIDAHOのイベントを毎年実施してきていて、その間社会も少しずつ変わってきました。しかし、やはり子どもたちは『この社会で自分が大人になった時、誰と生きるのか、家族になれるのか』という思いを抱えています」(小野さん)

FRENSは、福岡を中心に講演活動や学校での研修での啓発活動を続けてきた他、LGBTの子どもや若者の居場所を作るため、交流会を頻繁に開いてきました。

小野さんは「5月17日が、LGBTの子どもたちにとって、より安心して過ごし、生きやすい社会を作るきっかけになればと思います」と話します。

東京では、タワーホール船堀が虹色に

各地で予定されていたIDAHOのイベントは今年、新型コロナの影響でキャンセルが相次ぎました。一方で、東京では17日の夜、江戸川区にあるタワーホール船堀が虹色にライトアップされます。

ライトアップを主催するのは、江戸川区役所。IDAHOに向け、5月10日号の同区広報紙「えどがわ」には、IDAHOや、LGBT、セクシュアリティについての説明が掲載されました。

今回、IDAHOに向け、同区で活動する「LGBTコミュニティ江戸川」を中心に、複数団体が協力してイベント実施を計画してきました。

しかし、新型コロナウイルス の影響でイベントは中止に。多くの人が集まることのないタワーホールのライトアップは実行されることになりました。

LGBTコミュニティ江戸川の働きかけで実施されることになったライトアップ。団体代表の七崎良輔さんは「色々な人に見て、感じてもらえれば」と語ります。

「これまで団体では長年、江戸川区でLGBTに対する理解促進の活動をしてきました。しかしそれは、どこか場所を借りてトークをするなどの形で、興味がある人に対するものでした。今回のライトアップは、6色が何を意味するのか分からない人にも見てもらえると思います」

そのような思いは、七崎さんがまだ自身のセクシュアリティについて理解をしていなかった高校生の頃の思い出に遡るといいます。

北海道札幌市出身の七崎さんは、高校生の頃、たまたま町で実施されていたレインボー・パレードを目撃したそうです。

その頃は、レインボーパレードの意味を知りませんでしたが、後からその意味を知った時、「あの時のパレードはそういう意味だったんだ」と、出身地でもLGBTに関する活動が展開されていたことに嬉しさを感じたといいます。

「IDAHOや6色の意味を知らなくても、虹色のライトアップを見た多くの人に『何をやっているんだろう?』と思ってもらえる、きっかけになればと思います」

ライトアップは、5月17〜23日の午後7〜10時に実施されます。


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