香港の逃亡犯条例、正式撤回で「喜べない」「これからも戦い続ける」と周庭氏

    香港で、大きな抗議の発端となっていた「逃亡犯条例」について、政府が改正案を正式に撤回することを発表しました。一方、活動家は「戦い続ける」としています。

    香港で続き大きな抗議デモのきっかけとなっていた「逃亡犯条例」改正案について、香港政府が正式に撤回を発表した。

    香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が9月4日午後7時、テレビで発表したビデオメッセージで明らかにした。

    逃亡犯条例の改正案は、香港から中国本土に容疑者の身柄の引き渡しを可能にするもの。香港では「実質的に香港市民が中国当局の取り締まり対象になりかねない」として、民主化活動家や市民による反対デモが激化していた。

    この発表に、デモを率いてきた民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(22)や周庭(アグネス・チョウ)氏(22)は「遅すぎた」「今後も5つの要求を求めて戦い続ける」とそれぞれツイートし、抗議活動を続ける姿勢を示した。

    この撤回でデモが続く香港情勢が沈静化するかどうかは、現時点では不透明だ。

    Facebook: video.php

    行政長官のフェイスブックページにも約8分間の動画メッセージが掲載された。

    日本語での発信も行っている周庭(アグネス・チョウ)氏は、撤回発表を受け「条例の撤回は喜べません。遅すぎました」とツイートした。

    撤回を求めて抗議がされていた期間に、デモ参加者から、失明などの重傷者、自殺者、1000人以上の逮捕者が出るなどしていたことを挙げ、「私たちは、5つの要求を求めています、これからも戦い続けます」と結んだ。

    条例の撤回は喜べません。遅すぎました。 この3ヶ月間、8人が自殺。 3人が警察の暴力によって失明。 2人がナイフを持つ親北京派に攻撃され、重傷。 1000人以上逮捕。 100人以上起訴。 怪我した人は数えきれないです。 私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます。

    @chowtingaganes

    周庭氏によると、香港市民による要求は以下の5点

    1. 改正案の完全撤回

    2. 警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回

    3. デモ参加者の逮捕、起訴の中止

    4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施

    5. 林鄭月娥長官の辞任と民主的選挙の実現

    周庭氏と、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、8月30日朝、香港警察に拘束され、同日中に釈放されている。

    黄之鋒氏は、5つの要求のうち1つのみの承認が発表されたことに対し、ツイートで「少なすぎ、遅すぎる」と批判した。

    条例が完全撤回されるという報道に対し、黄之鋒氏は5つの連続ツイートで香港政府を批判した。

    「ここ数週間で激化した警察の残忍さは、香港社会に回復できないほどの傷を残した。キャリー・ラム行政長官のこの後におよんでの撤回について、人々は『偽りのない』動きだとは信じないだろう」

    Initial response to Carrie Lam: 1. Too little and too late now — Carrie Lam's response comes after 7 lives sacrificed, more than 1,200 protestors arrested, in which many are mistreated in police station.

    @joshuawongcf

    また「各国に対しても、北京(中国政府)と香港政府による作戦に惑わされないよう呼びかける。実際彼らは何も承認しておらず、今後徹底的な弾圧が始まる」とも述べ、「5つの要求を求め続ける」としている。