一般社団法人「痴漢抑止活動センター」が、学生たちを痴漢から守るためにアニメーション動画を作りました。
「学生に知ってほしい痴漢の真実」と題して、YouTubeで7月26日に公開。痴漢被害の実態や、被害にあった時の対処法などを説明しています。
「痴漢という言葉は知っているけど、どのような被害があるか知らなくて、(被害に遭った時)痴漢なのか分からずに声があげられなかった」
「どう対処したらいいか分からなかった」
痴漢抑止活動センターには、被害にあった学生らから、こんな声が寄せられていたといい、被害者の泣き寝入りを防ごうと動画を制作しました。
動画ではこんなふうに呼びかけています。
「社会には、痴漢の被害者に問題があるという人がいますが、それは勘違いです。痴漢が100%悪いのであって、あなたは悪くありません」
「知り合いでも、偉い人でも、同性でも、あなたが同意していないのに触れてくる場合は、はっきり拒否してください」
痴漢の45%は「電車」で。痴漢の実態
警視庁の2019年のデータによると、都内であった痴漢の検挙場所で最も多かったのは「電車」の45%。次が「駅構内」の19%です。
以下、「店舗内」10%、「路上」9%、「商業施設」2%、「その他(トイレ、更衣室など)」15%と続きます。
検挙された時間は朝7時や8時ごろが飛び抜けて多く、通勤・通学ラッシュを狙った電車や駅構内での犯行が目立ちます。
被害者の年齢は、2018年のデータでは「10代」が28.3%、「20代」が42.6%で、「30代」が11.3%と続きました。
被害に遭うのは女性だけではありません。動画内では、女子学生とともに男子学生の姿も描かれています。
また、センターのウェブサイトでは、様々な痴漢の種類も例示しています。
偶然を装って胸や尻を触る、すれ違いの時に胸や尻を触る、腕組みの下から触ったり空席なのに密着する、スカートの中に手を入れる、股間を押しつける、衣服を切られる、卑猥な画像を見せられる、体液をかけられる、カバンやポケットに使用済みの避妊具を入れられる
痴漢抑止活動センター代表の松永弥生さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう話します。
「中学や高校に入学して初めて、ラッシュ時の電車に乗るという人は多い。その時点で、電車に痴漢がいることや、痴漢がどんなものなのかを知らないと、被害に遭っても『混んでいるから仕方ないのかな』『偶然かも』と思ってしまうのです」
「痴漢なのかと悩んでいるうちに、被害がエスカレートすることもあります。だからまず、痴漢の実態について知ってほしくて、動画をつくりました。嫌なことには嫌だという権利があることを伝えたいです」
映像はクラウドファンディングで資金を集めて制作しました。松永さんは、電車で通学する生徒や学生、保護者や教員らに見てほしいと願っています。
【動画】「学生に知ってほしい痴漢の真実」
動画では痴漢対策として
・電車のドア付近や連結部分に立つことを避ける
・「痴漢抑止バッジ」をかばんに付ける
ーーことが効果的だと指摘しています。
痴漢抑止バッジは、痴漢抑止活動センターが考案したもので、「痴漢は犯罪です」「私たちは泣き寝入りしません」などのメッセージが書かれています。
動画は、痴漢被害にあったときの対処法として次のように呼びかけています。
「『あたってます』『さわらないで』と、勇気を出して声を出したり、手で振り払ったりしましょう」
「もし痴漢被害に遭ったら、信頼できる大人、地域の鉄道警察隊、被害者相談窓口に相談してください」
ウェブサイトでは、性犯罪被害相談電話(短縮番号 #8103)や、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(短縮番号 #8891 はやくワンストップ)など、痴漢にあった時の相談先も紹介しています。