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喉が乾いたら、コンビニに駆け込む前にできることがある

水飲み場や給水ができるカフェを可視化するアプリ「MyMizu」が注目を集めています。アプリに込めた思いを聞きました。

「ペットボトルの飲み物を毎回買うのは環境にも悪いし、どうにかしたい」「水筒を持ち歩いても水を入れる場所がなかなか見つからない」ーー。

そのように思っている人は少なくないかもしれない。そんな人のために、給水所を可視化するアプリが誕生した。

アプリ「MyMizu」では、給水ができるカフェや公園の水飲み場などを地図上に表示し、自分の周りの給水所を探すことができる。

アプリ制作の中心となった、ロビン・ルイスさんとマリコ・マクティアさんに話を聞いた。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

MyMizuのロビン・ルイスさんとマリコ・マクティアさん

現在アプリに登録されている給水所は、日本国内で約8500カ所、海外各国も含めると19万カ所に上る。

給水所は、駅や公共施設、公園などにある水飲み場のほかに、MyMizuがパートナーシップを組む、カフェやホテル、コワーキングスペースなど約50の施設も登録されている。

MyMizu

MyMizuアプリの画面

ルイスさんは「実際にアプリをリリースしてみると『マイボトルを持ち歩いても水を入れられる場所が見つけられなかった。ずっとこういうサービスを待ってました』という声が多かったんです」と語る。

公共施設などの水飲み場は、ユーザーが写真を撮って登録することができ、承認後に掲載される。

また、飲食店などのパートナー登録も、ユーザーが行きつけのカフェや飲食店のオーナーに話して、草の根で広がっているという。その場合は店舗がアプリで申請して、登録される仕組みだ。

マクティアさんは「何かしたいと思っている人はたくさんいます。アプリを通してマイボトルを持てる選択肢を提供して、新しい生活の仕方を一緒に作り上げていきたいです」と話す。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

マリコ・マクティアさん

ルイスさんとマクティアさんは、一般社団法人Social Innovation Japanで、環境問題に関するコンサルティングなどをしている。

ルイスさんはマイボトルを持つことについてこう語る。

「環境問題とか気候変動っていうと大きなことに聞こえて『自分は何ができるんだろう』とハードルを感じるかもしれないけど、ペットボトルを使わないってすごく簡単なことなんです」

そこで、東京でも気候変動マーチがあった9月20日、iOSベータ版を公開した。

トイレで水を汲んだ、日本留学中の経験

コンサルやワークショップなどを通して、様々な環境保護対策を行っているが、MyMizu開発に至るまでには、海外から日本を訪れ、給水できる場所があまりにも少なすぎたというメンバーの原体験があった。

MyMizu

イギリスと日本のルーツを持つルイスさんは、イギリスで育ち、大学在学中に日本に留学した。イギリスでの習慣から、マイボトルを持ち歩いていたが、なかなか街中で給水所がなかったり、見つけられなかったりしたという。

ルイスさんは「日本の水道水はきれいで飲めるのに、給水所が少ない。コンビニのトイレで水を汲んだりもしていました」と語る。

「日本でも、自動販売機が町中に設置される前は、水筒に水を入れて持ち歩くという習慣があっただろうし、現在でも、学校には水筒を持っていく習慣があると思います。そういう習慣を取り戻せたら良いと思います」

MyMizu

マクティアさんも同じくイギリスと日本の両親を持ち、イギリスで育った。現在は東京を拠点にしているが、最近イギリスに帰省する際には、環境問題に対する意識の高さに驚くという。

「ここ数年は、イギリスでもプラスチックとか、ごみ問題に関する考え方が全然変わって来ていて、みんな『自分ごと』だと思うようになりました。今年の夏もイギリスに行きましたけど、マイボトルを持つのは常識で、ペットボトルに入った水を売らないところも多くなってきている。缶で売っていたりします」

「イギリスで、そういう風になってきているのが意外でもあるけど、イギリスにできるなら日本にもできると思います」(マクティアさん)

プラごみ問題、このままでいいの?

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

海外での環境問題意識が高まる中、日本では一般的に、ペットボトルやプラスチックごみ問題への関心はまだ高くない。

ルイスさんとマクティアさんは、アプリの構想自体は長期間抱いていた。実際の開発に踏み切るターニングポイントとなったのが、昨年、沖縄でしたごみ拾いの経験だという。

「沖縄はとても綺麗な場所なのに、あるビーチに山のようなゴミがあって、特にペットボトルが多く捨ててあり、ショックを受けました。日本はこんなに豊かな国で水も綺麗なのに、なぜこんなにペットボトルを消費しているのかが分かりませんでした」

ルイスさんは10月にも大分県を訪れた時に国東市の塩屋海岸でゴミ拾いを行なった。1時間半で200本のペットボトルを拾ったという。

Robin Lewis

ロビンさんが海岸で拾ったペットボトル

「拾ったごみの写真をSNSでシェアすると『北海道もそうだよ』『沖縄もそうだよ』という反応が返って来て、日本全国の問題なんだと感じました」(ルイスさん)

またマクティアさんは「バイオプラスチックなど環境に良い素材に変えていくという取り組みはありますが、そもそものゴミの量を減らさないといけないと思います」と話し、本質的な改革が必要だと指摘する。

登録のカフェ「できることをやりたい」

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

MyMizuには、飲食店やホテルなど国内でも約50のパートナーがいるが、その中でも、アプリがローンチしてから、パートナー店舗に真っ先に登録した東京都渋谷区のカフェ、ABOUT LIFE COFFEE BREWERSを訪れた。

同店には日々「アプリを見て来ました」と人々が給水に訪れるという。同店マネージャーの松宮弘樹さんは、パートナーに登録した理由を「カフェとして、環境に対して出来ることをやりたかった」と語る。

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

店内には、立ってコーヒーを飲める小さなスペースはあるが、スタンド型の店舗なので商品を持ち帰る客が多い。

同店ではマイボトル使用を推奨するほか、ストローやカップのフタを生分解性プラスチックにかえるなど、出来るだけの環境対策はしている。しかし、やはり飲み終わった後にごみとなってしまう物に商品を入れて販売することに一種の「罪悪感」があるという。

「カフェとして、コーヒーを紙コップなどで販売しているので、どうしても資源を消費をしてしまう。プラスチックごみなど環境問題の対策にもなればと思い、パートナーに登録しました」

Sumireko Tomita/ BuzzFeed

アプリのパートナーには、環境対策を多く行うアウトドアウェア販売のパタゴニアも登録しており、店舗で給水ができるのだという。

今後は、チェーン展開する飲食店などともパートナー登録を広げていくことを目標としている。

今後は、アプリ上で「ペットボトル何本分の給水を水飲み場で行なった」などの情報を可視化したり、ポイントが貯められるなどの機能もつけていく予定という。

五輪で予想される莫大な量のペットボトル。対策は?

2020年夏、東京ではオリンピックが開催される。その際に予想される海外からの選手団などを含め東京を訪れる訪問客らは、最大1日で92万人という。

開催時期は猛暑が予想され、水分補給は必須だ。そんな中、オリンピックでは飲料メーカーなどのスポンサーの関係なども含め、ペットボトル入りの飲料が大量に消費されることが予想されるが、「海外でマイボトルを使うことに慣れている人からしたら、イメージも悪い」とマクティアさんは指摘する。

Powerofforever / Getty Images

マクティアさんたちは日頃、外国人観光客への聞き取りなども行なっているが、「日本のことが大好きだけど、プラスチックの使い方については違和感がある」という意見がよく寄せられるという。

旅行会社の人と話していても「外国人観光客の方から『なんで日本は給水する場所がないの』『なぜペットボトルの水を買わないといけないの』という声がよくある」と言われるという。

9〜11月に日本で開催されたラグビーW杯をルイスさんたちが観戦しにいった際、大量のペットボトルから紙コップに移し変えて水を配布していたブースもあり、衝撃を受けたという。

#RWC2019 が盛り上がっている一方、喉乾いて給水所に行くと...なんと、何万人もの観戦者のために500mlの #ペットボトル から、紙コップに水を注ぐという提供の仕方...水道水を安全に飲める国にいる私たちはなぜこんな無駄に環境を汚染するようなことをしているのか?#プラスチックフリー #持続可能性

@mymizuco

「水を配布することはいいことですが、水飲み場があるスタジアムもあった。しかしその情報はあまり知られていなかったりしたので、案内の表示を増やしたり、水飲み場自体を増やせればいいと思います」(ルイスさん)

イギリスなど海外ではMyMizuと同様のアプリが普及している国もあり、オリンピックなどに向け増加する外国人観光客にも、MyMizuが広がることを期待する。

最近は日本でも、若者やインフルエンサーが環境に配慮した生活を「新しい生き方」として捉え実践、発信していることも多い。

ルイスさんは「アプリも通して、若い人たちにも『エコに生きることはかっこいい』と伝えたい。インフルエンサーも巻き込んで、活動を広げていきたいです」と話す。

Contact Sumireko Tomita at sumireko.tomita@buzzfeed.com.

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