「死刑、受け入れられない」「沈黙するな」抗議の理由は。元議員ら4人の死刑執行でミャンマー軍政に国際社会から批判

    ミャンマーで、元議員や民主化活動家ら4人の死刑が執行されました。元議員はアウンサンスーチー氏の側近でした。東京都内では、日本に住むミャンマー人たちが抗議の声を上げました。

    クーデターで権力を握ったミャンマーの軍事政権が、アウンサンスーチー氏の側近だった元議員や民主化活動家ら4人の死刑を執行したことに、世界各地で批判の声が強まっている。

    日本を含む各国は7月26日、死刑に抗議する共同声明を発表。

    東京都内ではこの日、日本で暮らすミャンマー人らが、死刑執行に抗議の声を上げた。

    ミャンマー国営メディアが、反テロリズム関連法に違反したなどとして、著名な民主化活動家や、アウンサンスーチー氏の側近だった国民民主連盟(NLD)の元議員ら4人の死刑が執行されたと報じたのは7月25日。

    執行の日付は明らかなっていない。時事通信によると、ミャンマーでの死刑執行は1976年以来という。

    国連大学前(渋谷区)には26日、日本に住むミャンマー人200人以上が集まり、死刑執行に抗議した。

    抗議に参加したミャンマー人女性は「平和や人権を大切にしている国連や国際社会は、(死刑に)沈黙せずに即行動を」と、国際社会や国連に呼びけかた。

    国際人権団体アムネスティー・インターナショナルによると、クーデター後の軍政下で、100人以上の死刑が宣告されているという。

    抗議に集まった人たちは、死刑が執行された4人に黙祷を捧げ、「政治犯を不当に起訴し、死刑が下され実行したことを非難しろ」などと日本語とミャンマー語で抗議した。

    軍事政権を認めない民主派の国民統一政府(NUG)駐日代表事務所・運営委員会のミンスイさん(61)は、BuzzFeedの取材に「死刑執行は受け入れられない」と話す。

    死刑が執行された一人で、「ジミー」という名前で知られていた歌手で著名な民主化活動家のチョーミンユさんについてはこう語った。

    「1988年の民主化運動の頃から、国民をリードしてきた人。アウンサンスーチーさんの後のポストにもと言われていました」

    昨年2月の軍事クーデター以降、ミャンマー当局は民主化の声を上げる市民を武力で弾圧。殺害、不当逮捕なども相次いでいる。

    死刑「非難されるべき暴力行為」日本含む各国が共同声明

    林芳正外相は26日、EU上級代表とオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、韓国、英国、米国の外相と共に、共同声明を発表。

    ミャンマー軍政による民主化活動家・反体制派指導者の死刑執行は「軍政による人権と法の支配の軽視を更に例証する非難されるべき暴力行為」だと強く批判。

    ミャンマー軍政に対し、以下のように、不当拘束者の解放や暴力の行使の停止を強く求めた。

    《我々は軍政に対し、不当に拘束されている全ての人々を解放し、刑務所への完全かつ独立したアクセスを許可し、更なる暴力ではなく、対話を通じて、平和を追求するというASEANの5つのコンセンサスにおける義務を果たすよう強く求める 》

    《我々は、自由と民主主義を切望するミャンマーの人々を支持し、軍政に対し、暴力の行使をやめ、人々の意思を尊重し、ミャンマーの民主化への道を回復するよう求める》

    25日には林外務大臣は、死刑執行は「我が国が一貫して求めてきた「被拘束者の解放」に大きく逆行する動き」「国民感情の先鋭化による対立の激化や国際社会におけるミャンマーの更なる孤立を招くもの」と非難した。