新型コロナウイルスについての外国人住民向けの電話相談が、8言語で開設されました。
期間は4月10日〜5月20日です。電話番号は「03-6233-9266」で、平日の英語・中国語は「090-3359-8324」でも受け付けています。
英語は毎日、中国語は平日、ほか曜日を決めて韓国語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピン語、タイ語、ベトナム語で受け付けます。
相談は無料で、全国に在住・滞在する外国人が利用できます。
開設番号1:03-6233-9266
こちらの番号では、平日は午前10時〜午後5時まで受け付け、土日祝日は午前10時〜午後3時です。開設言語は以下の通り。
月曜日:英語、韓国語、フィリピン語
火曜日:英語、中国語、タイ語
水曜日:英語、スペイン語、ベトナム語(第2・4週のみ)
木曜日:英語・中国語
金曜日:英語、ポルトガル語
土曜日:英語
日曜日:英語
開設番号2:090-3359-8324
英語と中国語専用の番号は平日の午前10時〜午後5時まで受け付けています。
電話相談を受け付けるのは、NPO法人「AMDA国際医療情報センター」で、日本医師会の支援を受けて実施されます。
AMDA国際医療情報センターは、これまでにも長年、電話での医療通訳の実績があり、今回、新型コロナウイルスの相談窓口に困る日本在住の外国人が相次いだために、開設されました。
外国人住民に届かない、詳細な情報
同センター理事長で、医療法人社団小林国際クリニック(神奈川県大和市)の小林米幸・院長はBuzzFeed Newsに対し、今回の新型コロナウイルスでの対応では、外国人に詳細な情報が行き渡っていなかったため「理解できずに不安に思う人が多かった」と話します。
「日本では現在、いくつかの条件に合致する人は地域の保健福祉事務所の帰国者・接触者相談窓口に電話し、そこで必要とされた方は帰国者・接触者外来を受診することができ、その担当医の判断でPCR検査を受けることになります。こういうシステムであるということが日本語でしか説明されていないため、多くの外国人はそれが十分に理解できず、不安におびえているのだと感じました」
実際、小林さんが30年診療をしてきたクリニックでも、新型コロナウイルスの感染を心配して来院する外国人が多かったといいます。
小林さんによると、クリニックの患者は約2割が外国人で、延べ外国人患者数は1カ月におよそ220から250人ほどということです。
「2月末ごろから風邪で来院する外国人の中に、新型コロナウイルスの感染を心配してやってくる人が多いことに気がつきました。彼らは、はじめから新型コロナが心配で来たとは言いません。単なる風邪と診断してもなかなか帰らず、初めて、新型コロナを心配しているのだということがわかりました」
帰国に際し、英文の診断書が必要な患者もいましたが、英文の診断書を書いてくれる医療機関などの情報もなかなか入手できず、小林さんもこの2週間で10以上の英文診断書を書いたといいます。
全国規模での対応の必要性
厚生労働省は新型コロナウイルスの電話相談窓口を早期から開設していましたが、外国語での電話番号は開設されないままでした。
外国人旅行者向けには、日本政府観光局(JNTO)が多言語で電話相談でに応じ、その後、外国人が多く住む各自治体も、多言語での電話相談窓口を設置しました。しかし、その地域に住む人々からしか相談を受け付けていないために、相談先がない人々が出てきていました。
小林さんはそのような対応に対し、こう語ります。
「まず、各自治体で設けているところがあっても全国規模で対応するところがなければ意味は薄れます。なぜなら外国人は日本全国に居住しているからです。JNTOの旅行者向けも受けているのは医療関係者ではありません」
「私たちの電話相談の通訳相談員も医療関係者ではありませんが、29年、医療・医事相談に関わってきたノウハウがありますし、バックアップスタッフとして、今回は医師である私も入っています。そういう意味ではこれらの窓口とは異なると考えています」
外国人住民が取り残されないために
小林さんは、一昨年から日本医師会の外国人医療対策委員会の委員を務めていて、そこで日本医師会の担当常任理事を通し、「今回のプロジェクトに協力をしていただけないか」と掛け合いました。4月1日になり医師会から「全面的な財政的支援を行う」という会長判断が下されたそうです。
「今回、外国人住民たちは母国に帰ることもできなくなりました。インタ―ネットで母国の状況や新型コロナウィルス感染について知ることができたとしても、日本においてどのように対処したらよいのかということは、この日本の対策、方針を知らなければ理解ができませんし、不安が募るだけです」
小林さんは、日本では東日本大震災などの大規模災害の発生時、電話回線などが復活した以降も、外国人向けの相談窓口が迅速に開設されず、情報を得られない外国人が多く出たと話します。
「今回もそうですが、災害時などに、日本語での相談窓口や方針などが出され、結果的に240万人近い外国人は情報の外に置かれてきました。こういう対応は人権条約や難民条約を批准している国としては適切な対応ではありません」
外国人住民たちが、情報から取り残されないためにも、小林さんは、電話相談窓口など、多言語で情報を得られる場所が必要だと話します。