泣き叫ぶ幼い子ども。爆撃で破壊された街。命からがら避難する人々ーー。
日々、ニュースでウクライナの映像や写真を見て、もし「しんどい」「どうすれば」と辛さや無力感を感じている人がいたら…。
世界各地で医療支援活動を続けているNGO「世界の医療団」が、心のケアについて発信しています。
世界の医療団によると、まず大切なことは、戦争が起こっているような状況下では「不調が起こること」や「どんな不調が起こるのか」を知る。そして、それは「自分のせいではない」ということを知っておくことです。
その上で、メンタルケアの方法を知っておくことが重要だといいます。
心が少しでも楽になるためにできることとして、以下のような例をあげています。
・できるだけ規則正しく生活してください
・1日20分くらいの散歩をしてください
・良く寝てください
・しっかりと食べてください
・気分を変えるためにお酒や薬物の乱用は避けてください
・深呼吸を忘れずに
・自然の中を歩いてみてください
・ゆっくりお風呂に入ってください
・良い香りを見つけてください
・マッサージを受けたり、自分でしたりしてみてください
加えて「こころが楽になるための方法はたくさんありますので、ぜひご自身で探してみてください」と呼びかけました。
世界の医療団が発信についてツイートすると、「たくさんの情報に窒息しそう」「何もできない」と感じていた、という声も寄せられました。
ニュースやSNSで様々な情報が流れる中、「心配で情報を全部見たい」という思いがあっても「情報からいったん離れる」ことも大切です。
今回、心のケアについて綴ったのは、世界の医療団の理事で精神科医の森川すいめいさんです。
世界の医療団がこのような内容を発信したのには「このような時には心の不調が起こりうる」「心のケアについて知ってほしい」という思いがありました。
BuzzFeed Newsの取材に対し、世界の医療団・事務局長の米良彰子さんはこう話します。
「ニュースでもSNSでも色んな情報が溢れています。(戦闘が)長期化する中、『何かしなきゃ』『何かしたい』という思いがある一方で、コロナ禍の影響もあり息詰まりを感じている人もいると思います」
「(戦争が起こった)最初の方は特に、センセーショナルな映像も報道で流れます。このような時は、心に不調が起きることがあると知ってもらい、自分で、もしくは周りの人と一緒にできる心のケアを知っておいてほしいと発信しました」
今回は、「ウクライナの皆様、日本にいる皆様、そして戦争を起こしたくなかったロシアの皆様」に宛てて文章が書かれました。
その理由について米良さんは、「日本にいる人たちは、日本人だけでなく、ウクライナ人やロシア人など様々な状況に置かれた人たちを想定して『日本にいる皆様』としました」と説明します。
海外にいるウクライナやロシアの人たちが読むことも想定し、英語での発信もしています。
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