コロナ対策でマニラを「封鎖」。現地からは「すでにスーパーは大行列」との声

    フィリピン政府は新型コロナウイルス対策で、3月15日から1カ月、マニラ首都圏を「封鎖」すると発表しました。

    新型コロナウイルス(COVID-19)の感染がフィリピン国内で広がっていることを受け、フィリピン政府は3月12日夜、マニラ首都圏を1カ月間、「封鎖」することを発表した。

    ドゥテルテ大統領が同日夜の会見で発表し、封鎖は3月15日から4月14日まで実施される。

    フィリピン保健省によると、3月12日夜時点での国内の新型コロナウイルス感染者数は52人で、死者は5人となった。

    感染は首都圏を中心に広まっており、各地で感染が拡大することを未然に防ぐ措置とみられる。

    移動が制限されるのは、マニラ市、マカティ市など16の市からなるフィリピンの首都、マニラ首都圏で、約1200万人が住んでいるとされている。

    「封鎖」になると、どうなる?

    フィリピン政府の発表によると、マニラ首都圏への陸路、空路、海路での出入りは原則禁じられる。マニラ空港(ニノイ・アキノ国際空港)も首都圏内にある。

    3月12日夜のフィリピン政府の発表では、「日本を含む国内感染が起きている国からの渡航者は入国制限を課される」とされていたが、14日の発表では、中国など12日以前の入国制限に、イタリアとイランのみについて、入国制限が追加発表された。

    在フィリピン日本大使館は14日の発表で、「これら2か国以外の国内感染が起きている国については、12日の発表は変更された(日本からの入国制限は撤回された)ということだと理解しています」としている。

    現在海外にいるフィリピン人や外国人配偶者・子、国外で働いているフィリピン人労働者の帰国は許可される見込み。

    フィリピン航空セブ・パシフィック航空もそれぞれ、移動規制に従い、国内線などの航空券払い戻しや日程変更などを実施している。

    首都圏内の学校も4月12日まで休校となり、大人数が集まる集会なども開催禁止になった。

    一方で、マニラ首都圏内には多くの企業が集まっており、首都圏外から通勤している人も多い。内務自治長官は、首都圏外からの通勤は、社員証や首都圏内で働いていると証明する文書を提示することで可能としている。

    ドゥテルテ大統領は会見で「Lock down(封鎖)と言うと、人々がパニックを起こすので封鎖とは言いたくない」としながらも、封鎖を発表し、買い占めなどをせずに冷静に対応するよう呼びかけた。

    首都圏外からの食品や日用品の物流に関しては、制限することはないという。

    マニラ首都圏が「封鎖」される一方で、ドゥテルテ大統領のお膝元で、現在娘のサラ・ドゥテルテ氏が市長を務めるミンダナオ地方ダバオ市でも、似たような措置が発表されている。

    ダバオ市は「封鎖」はされていないが、ダバオ市民は同市外に出ることは原則禁止された。また、ダバオ市を訪問する予定の旅行者などは予定を延期し、現在市内にいる短期滞在者も直ちに去るよう、呼びかけれられた。

    「妊娠中の妻が心配。スーパーもすでに大行列」

    首都圏マカティ市に住む、中国国籍で日本永住者の20代男性は、BuzzFeed Newsに対し、「封鎖への不安で、すでに連日どこのスーパーも大行列ができていて、食料を買うのも大変です」と話す。

    封鎖は12日夜に発表されたが、数日前から封鎖の可能性が浮上しており、人々は買い占めを始めていたという。消毒液やマスクに関しては「入手困難です」と話した。

    男性の妻は、数日前に妊娠が分かったばかり。男性は「自分が感染するのは心配していないが、妻に移してしまうのが一番心配です」と話す。

    現時点では周りに感染者はいないと話すが、感染者が出たマカティ市内のマンションに住んでいた日本人は、会社の指示で2週間ホテルに隔離されているという。

    男性はマニラ首都圏内に住んでいるが、勤め先は首都圏外の工業団地だ。男性は、「封鎖になると聞いて、会社に行けるのか心配になりました」とし、来月までの仕事の予定に関してもこう話す。

    「3月、4月に着任予定だった新しい赴任者や日本からの出張者、フィリピンから日本への出張の予定など、全てがキャンセルになりました」

    【UPDATE】 国内感染が起きている国からのフィリピンへの入国制限について、14日時点の新しい情報を追加しました。