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新聞広告で#KuToo呼びかけ「フラットシューズを選ぶ自由を」

職場でのヒール強制を無くすよう呼びかけるKuToo。より多くの人に呼びかけようと新聞広告を出しました。

「私たちにもフラットシューズを選ぶ自由を」

朝日新聞の9月20日付け朝刊に、このような広告が掲載された。職場で女性スタッフがパンプス・ヒール着用を強制されることに反対の声をあげる運動「#KuToo」の呼びかけだ。

広告にはこう書かれている。

この国で働く女性たちの中には、「女性だから」という理由でハイヒールやパンプスを履くことを期待されたり、強制されたりしている人たちがいます。性別で何かを規定すること、もうやめませんか。理不尽なルールを強いること、もうやめませんか。ヒールが好きな人はヒールを、フラットが好きな人はフラットを。足もとに選択肢を。

企業がルールとしてヒール・パンプスの着用を女性スタッフに義務付けることに反対し、フラットシューズなど自由に靴を選択できるよう求めている。

広告費はクラウドファンディングで集められ、561の個人・企業が計209万8千円を寄付した。広告には、寄付をした人たちの名前が並ぶ。

KuToo発起人の石川優実さんはBuzzFeed Newsに対し「これだけの人がお金を出して、KuTooについて伝えたいと思っているという事実を、知ってもらいたい」と話す。

航空会社、ホテル、販売業などでは就業規則としてヒール着用が決められている職場も少なくない。まずはその事実と、クラウドファンディングにお金を出してでも、それを世の中に訴えたい人々の存在を強調したいという。

「KuToo」という言葉はもともと、#MeTooのハッシュタグをまね、ヒール着用を強要され「苦痛」という思いと「靴」を掛け合わせてできた言葉。ハッシュタグとしてTwitterで使われてきた。

「クートゥー」と9と2の数字の語呂合わせで9月20日に掲載されたという。

なぜ新聞に広告掲載?

何百万円も費用がかかる新聞に意見広告を出した理由を、石川さんは「これまで全くKuTooについて知ることのなかった層に届けるため」と説明する。

KuTooはTwitterなどのSNSを中心に広がってきた。しかし、SNSなどネット上での広がりについて「問題意識を持った人には届きやすいけど、KuTooなど考えもしない層に届かなければ変化は起きないので、もどかしく思っていた」という。

実際、朝日新聞が7月に大企業のトップ約10人に取材したところ、多数がKuTooについて「知らない」と答えていた。

石川さんは「SNSをよく利用する層と毎朝、新聞を読む層は必ずしも一緒ではない」と考え、新聞広告のクラウドファンディングに踏み切ったという。

石川さんは「企業の就労規則を決める権利がある人たちが新聞広告を見たなら、この現実をしっかりと受け止めて、ヒールの義務付けを見直してほしい」と話す。

石川さん自身、ヒール着用が義務付けられている企業でバイトをしていたことがあるという。その経験を今年1月にツイートすると、2万回以上リツイートされ、6万以上のいいねがついた。

そこからオンライン署名などの活動をはじめ、同様に職場でヒールを義務付けられていた女性らから共感の声が集まった。6月には、国による企業への規制を求めるために、その1万8千筆の署名を厚生労働省に提出している。

しかし、呼びかけを初めてみると、職場でのヒール義務付けの実態を知らない男性らも多かったという。実際に職場でヒール・パンプスを強制されている女性は少なくない。

BuzzFeed Newsが日本の主要な航空会社6社に取材したところ、6社とも「身だしなみ」や「統一美」などを理由に、女性スタッフへのパンプス着用を求めている、と回答していた。

航空会社の他にも、ホテルのフロント、通信小売業の接客、教育系企業の営業の女性が取材に応じ、会社からヒールを強制されていると話していた

ヒール着用は、女性のみに義務付けらている。石川さんは「なぜ女性だけにヒール・パンプスの指定があるのか」「働く上で、女性は一体何を求められているのか」とも問いかける。