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娘のHPVワクチンの接種、「迷っている」母親が5割。意識調査で明らかに

3月4日は「国際HPV啓発デー」。現在、日本ではHPVワクチンや子宮頸がんについてどのように認識されているのか。「ルナルナ」などがHPVワクチンが意識調査を実施しました。

年間1万人の女性が罹患し、3000人もの人が亡くなっている「子宮頸がん」。

子宮頸がんや肛門がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染は「HPVワクチン」で防ぐことができる。

小学校6年生から高校1年生の女子は公費でうてるが、国が積極的に勧めなくなり、自治体からお知らせが届かないままチャンスを逃す女子も増えている。

日本では現在、HPVワクチンや子宮頸がんについてどのように認識されているのか。意識調査が実施された。

意識調査を実施したのは、女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人「シンクパール」と、エムティーアイが運営する女性用健康情報サービス「ルナルナ」。

アプリの「ルナルナ」「ルナルナ ベビー」「ルナルナ 体温ノート」で、10代~50代以上の女性、4194人を対象に実施された。(調査実施時期 : 2021年2月19〜22日)

乳がんや子宮頸がんなど女性特有のがん、HPVワクチンについての認知度や理解度について調査した。昨年の同時期にも、同じ設問の調査を実施している。

子宮頸がんの感染経路、10・20代で知らない人が多い傾向に

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因だとされているが、「主な感染経路が『性交渉』であることを知っていますか?」という質問に対しては、「知っていた」が60.9%、「知らなかった」が39.1%となった。

年代別にみると、19歳以下では、子宮頸がんの主な感染経路が性交渉だと「知らなかった」人が61.8%で、年代別では最も高かった。

20〜24歳も「知らなかった」が49.5%で、若年層で子宮頸がんに関する知識が低いことが伺える。

24歳以下の若年層では約5割の人が経路について知らなかったが、昨年の調査結果と比較すると2ポイント減り、認知度が下がっていることが分かったという。

調査主催者は「子宮頸がんは、20歳代後半から増加することからも、予防のためにも感染経路を含めた正しい知識を、若年層も含めより啓発していく必要性がある」としている。

子宮頸がんの予防にHPVワクチンの存在「知っている」55.4%

「子宮頸がんの予防として、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防するワクチンがあることを知っていますか?」という質問に対しては、「知っている」が55.4%、「知らない」が44.6%となり、半数以上の人が知っているという結果となった。

子宮頸がんの予防としてのHPVワクチンの存在については半数以上が知っている一方で、「知っている」と答えた回答者に「接種が推奨される理由」について聞くと、「理解していない」と答えた人が約半数いた。

「他人に説明できるくらい理解している」と答えた人は6.3%、「なんとなく理解している」が45.6%。

「あまり理解していない」の41.9%と「全くわからない」6.2%を合わせると5割弱となった。

調査主催者は「HPVワクチンの存在は知っていてもその理解度はまだまだ不十分なことがわかります」と分析する。

HPVワクチンの接種「予定はない」70.4%

「あなたは、HPVワクチンを接種したことがありますか?」という質問に対しては、「ある」が15.1%、「今後接種する予定がある」が0.7%、「接種について悩んでいる」が13.8%、「接種する予定はない」が70.4%となった。

「接種する予定はない」と答えた回答者に理由(複数回答)について尋ねると、最も多い回答が「接種後の副反応が心配だから」で49.4%だった。

次に多かったのが「信頼できる情報がないから」が29.7%で、「接種の必要性を感じないから」(23.4%)、「接種の効果効用がわからないから」(20.6%)という理由が続いた。

「どこで接種できるのかわからないから」という回答も16.1%だった。

自由回答にも「副反応が怖いから」「ワクチンの副反応での訴訟ニュースを目にしたから」といった声が目立ち、接種後の副反応に対して不安を感じている人が多いことが分かったという。

娘がいる母親、接種「迷っている」54.7%

HPVワクチンがあることを「知っている」と回答した人で、娘のいる母親に「娘さんが、子宮頸がんの予防のためにHPVワクチンを接種することについてどう思いますか?」と聞くと、以下のような結果になった。

「すでに受けたことがある」が8.7%、「受けて欲しい」が22.6%、「迷っている」が54.7%、「受ける必要はない」が14.0%。

その理由(複数回答)では「接種後の副反応が心配だから」が最も多く、「信頼できる情報がないから」「接種の効果効用がわからないから」などが続いた。

小学校6年生から高校1年生の女子は公費でうてるが、国が積極的に勧めなくなり、自治体からお知らせが届かないままチャンスを逃す女子も増えていた。

厚生労働省は昨年10月、お知らせとわかりやすいリーフレットを対象者に送るように自治体に通知を出し、現在では接種を決める人も増えつつある。

接種対象者に「わかりやすい情報提供の徹底を」

調査を共同で実施した「シンクパール」の難波美智代代表理事は、調査結果発表に際し、こうコメントしている。

「(HPVワクチンの接種は)厚生労働省が定める定期接種であるものの、当事者やその家族が接種に対して納得できていない実情もあきらかになりました」

「昨年10月から接種対象者に通知を行うことが推奨されていますが、お住まいの各市区町村からの通知が届いていないという声を聞きます。ぜひ対象者に向けた通知と同時にわかりやすい情報提供の徹底を行っていただきたいと願っています」