青空に咲き誇る満開の梅。数年かけて咲く小さな花…。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、9カ所ある都立庭園は長く、休園の状態が続きました。
「せめてTwitterを通して、庭園の様子をお伝えできれば」
庭園のTwitterアカウントの「中の人」は、そのような思いで写真や動画をアップし、草木の様子を届けています。
「梅が少しずつ咲いてきていますので、紹介します」「朝日を浴びて、のびのびうれしそう」ー向島百花園
「せっかくの姿をご覧いただけないのは残念なので、花束に」ー小石川後楽園
新型コロナの感染拡大の影響で、都立9庭園は1月11日から2カ月以上にわたり休園していました。
しかし今回、「まん延防止等重点措置」が解除されるにあたり、3月22日から9庭園の再開が発表されました。
「休園が続いてさみしいのは植物たちも同じなようで…」
休園で人々が直接、花を愛でることができなくても、庭園の中では草木はどんどん成長し、花を咲かせています。
「みなさまにお花の様子が届くなら…」と脚立に登って撮影も
BuzzFeed Newsは、向島百花園のTwitterの「中の人」に話を聞きました。
東京都墨田区にある向島百花園で、Twitter担当をしているのは土屋萌さん。
約4年にわたり、出勤日にはほぼ毎日、写真や動画を投稿しています。
休園で人々が庭園を訪れられない中で、写真などを通して様子を発信する思いをこう語ります。
「百花園では、年間パスを持ち、毎日のように草花の変化を楽しみにしていた方もいらっしゃいます。休園中は、庭園の外に出た時に常連の方とばったり会い、『今はこんな花が咲いています』とお話しすることもありました」
「常連の方、そして遠方に住んでいらっしゃる方や、まだ百花園に来たことがない方にも、今の百花園の様子を少しでもお届けできればと思い、投稿しています」
「外出しづらい状況が続いているため、庭園の写真を通じて、ほっこりした気持ちになってもらえればと思っています」
「花たちと景色を見て、一息ついていただけたら嬉しいです」
休園で「#ツイッターで楽しむ庭園」のハッシュタグ考案
百花園をはじめ、都立庭園のツイートには「#ツイッターで楽しむ庭園」というハッシュタグがつけられています。
これは、コロナ禍の最初の休園時に、土屋さんが旧古河庭園(東京都北区)のTwitter担当者と考案したものだといいます。
今回の休園以前にも、コロナ感染拡大の影響で2020年末から翌年夏ごろまで、約半年にわたり休園していました。
「庭園を直接楽しむことができないので、せめてTwitterを通して見てもらえれば…という思いでハッシュタグを考えました」
他の都立庭園のツイートでも使われていて、土屋さんは「ハッシュタグから、いろんな庭園を楽しんでほしいです」と話します。
日々、季節の草花を投稿するうちに、コロナ禍ということもあいまってか、いいねやリツイート数は増えているといいます。
ツイートには「可愛らしいお花をありがとう」「いいな〜。観にいきたい」などの声が寄せられます。
土屋さんは「リプライも全部読んでいます」とし、こう語りました。
「庭師にも、寄せられたリプライを読み上げていて、庭師も喜んでいます。休園の中では、Twitterがお客さまとの唯一のつながりです」
「百花園は、野山に育つような小さな山野草が有名な庭園です。『故郷の里山を思い出す』というお声を頂いたことも印象に残っています」
何年もかけて花を咲かせる植物も。「届けたい」の思い
1月に休園が始まる際、百花園のツイートでは、こう綴っていました。
《庭師が種から育ててきて、何年もかけてようやく花を咲かせる節分草や他の草花が、お客様に直接見ていただいて、楽しんでいただけることを信じて、休園中も維持管理に努めてまいります》
節分草は種から数年かけて成長し、小さな花を咲かせます。
しかし、花が咲いた頃には休園中で、直接お客さんには見てもらえませんでした。
「庭師が鉢に入れて門の外に出し、外を通る人にも見てもらえるようにしました」
「庭師は何年先のことも考えて育てています。草花の成長を見ていただけなくて、悲しく残念に思っていると思います」
そのような状況でもリプライで寄せられる言葉が、庭師や庭園関係者を元気付けていました。
やっと庭園が再開へ。
百花園は、梅がきれいに咲く庭園でもあります。
「梅は1月末くらいから見頃です。3月中旬現在も遅咲きの2種類は見頃ですが、もう少しで終わってしまいます」
昨年の梅の見頃も休園中で、今年もちょうど、休園と満開の時期がかぶってしまいました。
しかし、Twitterを通して満開の梅の写真や動画を見た人たちからは「綺麗な写真をありがとうございます」「今すぐ行きたいです」との声が届きました。
「早く庭園を開けたい」と、うずうずしているという土屋さん。
引き続き、Twitterでの写真などの更新は続けますが、やっと直接、お客さんに草木を見てもらえる機会を楽しみにしています。