立憲民主党の本多平直・衆議院議員が5月、「例えば50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と発言した問題で、「フラワーデモ」のメンバーと性被害の当事者が6月22日、立憲民主党に申し入れをした。
発言に関する調査結果の公開や、再発防止の徹底を求めている。
フラワーデモは、性暴力に抗議し、被害者への連帯を示す目的で2019年4月から開催されてきた。
デモの呼びかけ人らは、立民の福山哲郎幹事長に衆議院議員会館で申し入れ書を手渡し、1時間以上にわたり話し合った。
申し入れ書では、党に以下の4点を求めた。
1:性犯罪被害者の実態に沿った刑法改正に向けて舵を切るのかという党の方針の明確化
2:性被害者の声を聴く勉強会などの開催
3:本多議員発言の調査結果の公開と、性暴力容認発言再発防止の徹底
4:性犯罪刑法改正を選挙公約に
「党の姿勢が、今、強く問われています」
面談冒頭でフラワーデモ呼びかけ人の北原みのりさんは、こう語った。
「本多議員の発言は、2017年の性犯罪刑法改正以降、御党ならびに前身となる党が性交同意年齢の引き上げに慎重な立場を貫いてきた延長上にあったと認識します」
「人権を尊重し、ジェンダー平等の実現を綱領に掲げる立憲民主党の性犯罪刑法に対する姿勢が、今、強く問われています。真の人権擁護の立場に立って、立憲民主党には刑法改正への明確な意思を表明し、被害者中心の刑法改正への道筋をつけていただきたいと強く願います」
北原さんらは6月11日、東京駅前で発言に抗議するデモも開いていた。
福山郎幹事長は「本多議員の発言は考えられない発言」と述べ、第三者委員会が関係者へのヒアリングなど調査をしていると説明。
「今日頂いた申し入れも真摯に受け止め、今日お話を聞きながら、党として何ができるのか議論し、みなさんに見える形でお答えしていきたい」
「党としてこれをきっかけに、皆さんに信頼して頂けるように、生まれ変わるつもりでがんばっていきたい」
時事通信によると、フラワーデモの申し入れ後、福山幹事長は、性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げる刑法改正を、次期衆院選の公約に盛り込む考えを明らかにした。
「真摯な恋愛だと思い込まされていた」
申し入れには、中学生から大学生の頃までの数年間にわたる教師からの性暴力を告発した石田郁子さんも同行。自身の経験をもとに、性交同意年齢引き上げの必要性を語った。
石田さんは報道陣の取材に応じ、「あのような考えを持っている人は本多議員一人だけではなく、日本に多くいます。性犯罪の現状を知ってほしい」と話した。
石田さんは、中学3年の時から当時28歳だった美術の教師に性暴力を受けたとして裁判を起こした。東京高裁は昨年12月、20年の除斥期間が過ぎていることを理由に請求を棄却したものの、性的行為があったことは認めた。
当時を振り返り、「真摯な恋愛だと思い込まされていた。しかしそうではなかった」と語った。
「刑法は性被害の実態に即したものになるべきです。刑法改正が、なぜそんなに進まないのか疑問に思います」
性交同意年齢の引き上げをめぐっては、反対・慎重派から「中学生と大人の真摯な恋愛もあるのではないか…」という発言が多く出ている。
2019年に被害を訴え出てから、石田さんは法務省やメディアに、何度も自身の性被害の経験を語ってきた。
石田さんは言う。
「実際の性被害の経験を話しているのに、『真摯な恋愛もあるんじゃないか…』と想像の話をしてくる。なぜ?と思います。なぜ実態を無視して想像を優先するのでしょうか」
「性被害の実態に即した法律をつくってほしいです」