スーパーなどで見かける、コーヒー豆やナッツ類などの「量り売り」。好きな量だけ袋に詰めて、その分の代金を支払う仕組みです。
その「量り売り」で、必要な分量の洗剤などを購入できるとしたら…?
コンビニエンスストアのナチュラルローソンは8月26日から、直営2店舗で実験的に量り売りをスタート。ニュージーランドの老舗ブランド「ecostore(エコストア)」を日本で展開する「ecostore JAPAN」と提携し、同社の洗濯用洗剤や食器用洗剤をグラム単位で販売します。
最近は、薬局やスーパーで販売されているシャンプーや洗剤も「詰め替え用」が売られているブランドもありますが、それでも、詰め替え用商品にもプラスチック製などのパッケージが使用されています。
エコストアの量り売りは、そもそも洗剤類を買い換える時にゴミになる無駄な容器やパッケージを出さない、というアイディアです。
ecostore JAPANのマーケティング・広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、量り売りのシステムについて、こう話します。
「日本では江戸時代から量り売りの文化はあり、最近では、ナッツやドライフルーツなどを中心に食品の量り売りをするお店は増えてきています。液体の量り売りは、量ったり容器に入れ替えたりという作業のハードルもあるために難しい部分もありますが、店舗では工夫をこらして実施しています」
「エコストアのユーザーの6、7割はリピーターでリフィル(詰め替え)を利用する方です。最近はさらにリピーターの方も増えてきていて、(環境に対する)意識があがってきているとも感じます」
洗剤類の量り売りの仕組みは?
エコストアでは、自然由来の原料を使用したシャンプーやコンディショナー、ボディウォッシュなどの液体石鹸類や、食器用液体洗剤、洗濯用液体洗剤などを販売しています。
まだまだ日本では馴染みがない、洗剤類の量り売り。どのような仕組みなのでしょうか?
広報担当者によると、アトレ恵比寿にある直営店以外に、銀座ロフトや百貨店の宝塚阪急内など全国8カ所で、エコストアの商品を量り売りで購入できます。
量り売りを利用する時は、エコストアの専用のボトルでも、家にある空き容器でも大丈夫ということ。
お店に容器を持参して、購入したい洗剤をスタッフの方に伝えると、スタッフがビーカーで洗剤類を量り、グラムごとの代金を支払う仕組みです。
ナチュラルローソンでは、初のセルフ形式を導入
ナチュラルローソンの直営2店舗で量り売りが始まるのは、食器用洗剤や洗濯用液体洗剤などの商品4種類。
前代未聞の「コンビニでの量り売り」を始める理由についてecostore JAPANは、「今後さらに量り売りというサステナブルな購買スタイルが、新しい常識となる社会を築くため」としています。
人々に身近なコンビニでの量り売りの「実験導入」です。量り売りでの販売が開始されるのは、東京都内のナチュラルローソンの神宮外苑西店と芝浦海岸通店で、今後も実施店舗を増やしていく予定ということです。
従来のエコストア商品の量り売りをしている店舗と、今回始まるコンビニの違いはその形式。
ナチュラルローソンではもちろん専属のスタッフなどもいないため、エコストアでも初の試みとなる「セルフ形式」での実施になります。
購入したい場合は、コンビニ店内に設置された「リフィルステーション」で、自分で容器に洗剤類を入れ、専用の量りで計量して、レジで支払いをします。
広報担当者によると、専用の量りには、商品名とグラム数、代金が書かれたラベルを印刷する機能がついているため、そのラベルをレジに持っていくという仕組みです。ボトルがない時に無料で使用できる容器も、3種類用意されています。
それらの容器は、石油を使っていない、サトウキビ由来のプラスチック製のものが使われているということです。
量り売りを実施していない全国の薬局や化粧品店でもエコストア商品は販売しており、それらの商品の容器も全て、サトウキビ由来などエコな素材で出来ています。
「持続可能な素材で出来た容器を繰り返し使うこと」
エコストアの量り売りは、キッチンやお風呂での洗剤・石鹸など、毎日使うものだからこそ、環境にやさしい買い物方法を選ぶ人に選ばれてるといいます。
広報担当者は、量り売りという販売方法と、プラスチック問題について、こう語ります。
「エコストアでは量り売りだけではなく、プラスチック問題に多面的に取り組んでいます。プラスチック問題には、ゴミの問題と、リソースの問題があると考えているからです」
「実際、プラスチックを全てなくすというのは難しいです。持続可能な素材でできた容器を2度、3度使うことにより、容器の使い捨てにならない方法を実現しています」
エコストアは1993年にニュージーランドで設立され、1997年にオークランド旗艦店での量り売りを開始。現在では、ニュージーランドだけでなくオーストラリアやアメリカ、日本などのアジア各国で販売しています。
広報担当者は、同社が使用するサトウキビ由来の素材など、持続可能な形な素材などのプラスチックと、どう共存していくかということについて解決策となる販売方法を模索していると話します。
「マイボトルが話題になっていますが、まだまだマイボトルを持ち歩いても給水する場所が少ないなどの課題もあります。(量り売りに関しても)選択肢を増やすということと同時に、供給の面も増やしていくことが大切だと考えています」
現在は、洗剤類の量り売りをしている店舗も少ないため、そのような購入方法をする機会自体も少ないのが現状。
同社は2023年までにリフィルステーションを国内50カ所に設置することを目標としています。同社は「日本のプラスチック問題だけでなく、様々なロスを減らす為、人々の意識を変えるきっかけとなるように」と、量り売りにさらに力を入れていくとしています。