あなたが、ちょっとした工夫をして「ツイート」や「インスタ投稿」をすることで、将来がんで苦しむ人を救うことができるかもしれません。
どういうこと?って思いますよね。
これは、SNSユーザー参加型で9月末まで行われている、がん治療研究を寄付で応援する取り組みです。
といっても、あなた自身は実際には寄付をせず、SNS投稿をするだけ。寄付するのは、このプロジェクトに参加する企業や団体です。
どのようなプロジェクトなのか、詳しく取材しました。
SNS投稿が寄付になる…?投稿の仕方は?
日本では、毎年100万人以上が新たにがんに罹患。生涯で2人に1人はがんにかかるといわれています。
がんの治療研究は進む中で、まだまだ研究が必要な分野がたくさんあります。
このプロジェクトでは、がん治療研究への関心を世の中に広げ、SNS投稿で寄付を募ります。参加方法は簡単です。
プロジェクトの参加企業である、カルビーのスナック菓子や、サントリー食品インターナショナルのC.C.レモンなどの商品に印字された「C」の文字を、指やスタンプなどで消した写真を撮影。ハッシュタグをつけてツイートするだけです。
例えば、こんな感じのツイート。
俳優の宮地真緒さんがツイートしたのは、漂白剤「OXI CLEAN(オキシクリーン)」の写真。
商品名のアルファベットの「C」が、スタンプで消されています。
これは、がんを意味する英単語"Cancer"の「C」を消しているのです。
このプロジェクトは、がんで苦しむ人がいなくなるように、「がんを治せる病気にしたい」という思いで開催されている、その名も「deleteC大作戦」です。
「C」の消し方は自由。指や物で「C」の字を隠して写真を撮ったり、商品に直接ペンで書き込んで消したり、または写真を撮ってからスタンプで消したりすることもできます。
実際にSNSに投稿された写真を見てみると、キャンパスノートの「C」や、デカビタCの「C」が消されています。
プロジェクトには、コクヨ、サントリー食品インターナショナル、カルビー、グラフィコ、セメダイン、サイボウズなど20を超える企業や団体が参加しています。
参加企業や対象商品は、主催のNPO法人「deleteC」の特設ウェブサイトから確認できます。
投稿にハッシュタグ「#deleteC大作戦」と各企業・ブランド名のハッシュタグをつけると、1投稿につき100円が寄付されます。
参加企業の公式アカウントが発信するdeleteCの投稿をリツイート、いいね、または動画を再生することでも10円の寄付ができます。
参加企業も、「Calbeeの『C』を消してね」「C.C.Lemonから『C』を消して」とツイートしています。
deleteCでは毎年、寄付先のがん研究を公募し、選考委員会が「今、もっとも応援すべき治療研究は何か」という基準で2件の寄付先を選んでいます。
SNS投稿の締め切りは、9月30日です。
「どうか研究が進んで治る病気に」「友人へのエールも込めて」
Twitterなどでは、がんの治療を経験した当事者や、家族や友人にがん患者がいる人たちからの投稿もあり、写真と共にそれぞれの思いが綴られました。
《2年前、父を癌で亡くしました。治る病気になりますように》
《明日だけでなく未来の夢が見られるように。希望が持てると信じられるように。微力ながら応援します。 #治療を続ける娘を持つ母》
《戦っている友人へのエールも込めて》
《我が子に癌がみつかるなんて考えもしなかった。どうか研究が進んで治る病気になりますように》
昨年、がんで亡くなった発起人。プロジェクトで思い継ぐ
このプロジェクトがスタートしたのは2019年。
発端は、デザイナーの中島ナオさんの「みんなの力でがんを治せる病気にしたい」という想いでした。
中島さんは31歳の時にがんと診断され、34歳で「ステージ4」に。
がん治療研究を応援するプロジェクトを立ち上げたいという思いで仲間とdeleteCを始めました。
初年度は約200万円、その後は約300万円、昨年は約600万円に加え、クラウドファンディングで1千万円以上が集まり、これまで計2千万円以上をがん研究に寄付してきました。
中島さんは治療を受けながら、プロジェクトの発起人、代表理事として奔走していましたが、昨年4月に亡くなりました。
deleteCは、中島さんの掲げていた目標や志も引き継いで、プロジェクトを加速させています。
今年のスローガンは、「あつまれ、想い。」。
代表理事の小国士朗さんは記者説明会で「ぜひそれぞれの想いを書いて、楽しく投稿してもらえたらと思います」と話しました。