• medicaljp badge
  • hpvjp badge

「“危険なワクチン”と認識して、接種の機会を逃した人が…」駅や街中で掲げる医師からのメッセージとは

「ワクチンを打つことで防ぐことができる」ーー。子宮頸がんやHPVワクチンについての大きな広告が、渋谷駅や原宿駅、難波に貼り出されます。 「みんパピ! みんなで知ろうHPV プロジェクト」代表に話を聞きました。

《命に関わる大切な話が、1997〜2005年度生まれの人には届きにくい状況でした》

4月9日から、都内の主要駅や大阪・難波などで、「命に関わる大切な話」についての大型の広告が貼り出されます。

日本では年間約1万1000人がなり、約3000人が命を落としている「子宮頸がん」と、それを防ぐ「HPVワクチン」についての広告です。

ワクチンで防ぐことができるかもしれない、がんの発症や死について、あなたは知っていますか?

広告を出したのは、産婦人科医や小児科医などがつくる「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」。

4月9日の「子宮頸がんを予防する日」に合わせて、メッセージを発信しています。

「みんパピ!」は、HPVワクチンに関する最新の正確な情報を伝えようと、産婦人科医や小児科医たちが2020年夏に立ち上げた啓発プロジェクトです。

ウェブサイトやSNS発信、学校向け啓発ポスターなどで、HPVワクチンについてわかりやすく伝えています。

「若いから大丈夫、じゃない、がん。それが子宮頸がん」

駅や街中に掲出される広告には「若いから大丈夫、じゃない、がん。それが子宮頸がん」「子宮頸がん予防。男性の話でも、ある」というキャッチコピーが。

広告は、JR渋谷駅(4/9〜17)、JR原宿駅(4/9.10)などに貼り出されます。

人が多く通る駅や街中で広告を出し、子宮頸がんの予防や、HPVワクチン、キャッチアップ接種について、一人でも多くの人に知ってもらうことが狙いです。

誰が無料でHPVワクチンを受けられる?

現在、HPVワクチンを無料で受けられる「定期接種」の対象者は、小学校6年生から高校1年生相当の学年の女子です。

国は2013年4月から、この学年の女子を定期接種の対象にしていました。しかし、接種後に体調不良を訴える声をメディアが副反応と決めつけて報じたこともあって不安が広がり、国は積極的にお勧めするのを一時的に止めました。

安全性や効果が十分に検証されて8年半経った昨年11月にお知らせ送付の再開が決まりましたが、無料接種のチャンスを逃した人も多くいます。

正しい知識や接種機会の周知をするため、この4月から、本格的に対象者の女性たちにお知らせが届けられるようになります。

また、平成9~17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)でうち逃した女子は、この4月から3年間、無料で接種することができます。「キャッチアップ(追いつくための)接種」と言います。

「今回こそはちゃんと情報が届くように」医師たちの思い

広告を出した「みんパピ」の代表理事で産婦人科専門医の稲葉可奈子さんは、BuzzFeedの取材にこう述べます。

「8年以上もの間、国の積極的なおすすめが差し控えられていたために、HPVワクチンの情報がちゃんと届かず、予防の機会を失ってしまった方がたくさんいます」

「その世代の方たちは接種の推奨年齢をすでに過ぎていますので、接種されるのであれば、なるべくはやめがおすすめです」

また、広告という形でメッセージを発する思いについては、こう説明します。

「(接種の機会を逃した世代は)すでに大学生や社会人となって実家をでている方も多い世代なので、自治体からの通知が届きにくい可能性があります。今回、その世代の方たちも特例で無料で接種できるようになったので、『1997-2005年度生まれの女性』に『今回こそはちゃんと情報が届くように』という思いで、広告を出しました」

「ただ、いくら利用者の多い東京の主要駅であっても、そこを通る人は全国の対象者のほんの一部です。ぜひこの広告を報じて頂いたりシェアして頂いたりすることで、1人でも多くの人に知って頂くきっかけとなれば幸いです」

無料接種の機会を逃してしまった人や、接種を検討している人に対しては、このように呼びかけます。

「2013年に積極的なおすすめが差し控えられるきっかけとなった、副反応と疑われた症状の報道が記憶にあり、不安に思われている方も多いかと思います」

「その後の多くの研究で、報道されたような症状はHPVワクチンによるものではないことが分かったにもかかわらず、そのことはこれまでほとんど報じられませんでした」

「そのため、定期接種の対象であることすら知らずに、もしくは、HPVワクチンのことは知っているけれど”危険なワクチン”という認識のまま、接種の機会を逃してしまった人がたくさんいます。そのことを多くの医師はとても悔しく感じています」

稲葉さんは、以下の「正確な情報をまず知ってほしい」と話します。

・女性を子宮頸がんから守るためにHPVワクチンは大切な予防接種であること

・安全性が確認されていること

・16歳までの接種が推奨されており、1997-2005年度生まれの人はなるべく早めの接種が望ましいこと

これを知った上で、「それでもまだ不安な方、悩まれている方は、ぜひかかりつけの先生に相談して頂ければ」と呼び掛けます。

東京・渋谷「シブハチヒットビジョン」(4/9〜17)、大阪・難波「ツタヤエビスバシヒットビジョン」(4/9〜17)では、講談社の協力のもと、マンガ『コウノドリ』の子宮頸がん編の、ダイジェスト版動画も流されます。

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

マンガ『コウノドリ』の子宮頸がん編の、ダイジェスト版動画