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頑張れば「ゲイは治る」と思っていた。今は、地元で結婚式を挙げたい

27歳でゲイであることをカミングアウトをして、やっと自分らしく生きられると思った。パートナーを求め、デートアプリにのめり込んで気づいたこととは。

地元・長崎で結婚式を挙げたいというHさん(28)。最近、婚活サービスに登録して、真剣なパートナー探しを始めた。

Hさんはゲイで、男性の相手を探している。

ゲイ男性の出会いの場といえば、新宿二丁目を思い浮かべる人が多いかもしれない。また、当事者向けのデートアプリを利用する人も多い。

そんな中、Hさんが選んだのは同性パートナーに特化した「婚活サービス」だ。渋谷区にある株式会社リザライは、ゲイ男性・レズビアン女性を対象に、登録者同士をマッチングしてお見合いの場を提供する。これまでに80組以上のカップルが成立した。

BuzzFeed Japanはそんな「ゲイ婚活」に奮闘する3人の登録者に話をきいた。記事を3回に分けて配信する。


頑張れば、ストレートになれると思っていた

自分が男性に惹かれると気づいたのは、幼稚園の頃。でも、それを人に話せるようになったのはここ数年のことだ。

「中・高そして大学まで、女性と付き合ったことあります。でも、結局キスもできませんでした。今思えばカモフラージュだったんですが、辛かったですね。

昔は、自分も頑張ればストレートになれるかもと思っていました。ずっと自分を自分で洗脳しようとしていたんです。でも、学校でどれだけ頑張って取り繕っても、夜にはゲイ向けのアダルトビデオを見ているわけです。結局、その矛盾をずっと感じていました」

東京で「埋没」生活から抜け出して、新しい人生を描き始めた

「中学の頃、後輩の男の子とちょっと関係を持って、それで自分は男の子にモテるのかもと思ったんです。

裏でこういうことをやっていけば、とりあえず欲求を満たすことはできるので、普段は他の人にバレないようにして、こっそり生活していけば良いのかなとも思いました」

性的指向を偽って生活する当事者は多い。性的欲求は他の相手と満たしながら、異性と結婚する人も少なくない。いわゆる「埋没」と呼ばれる処世的な生き方だ。

「埋没」志向だったHさんに転機が訪れたのは、3年前の上京だった。就職のために、地元・長崎を離れて東京にやってきた。

「上京して1年目の会社の上司が『結婚している社員と結婚してない社員だったら、結婚している人の方が責任感もあって仕事ができる』っていう風に言っていたんです。それを聞いて、俺はこの会社ではダメだなと思って、辞めました」

笑いながら話すHさんだが、自分らしく働ける職場に巡り合うまで、短期間に転職を繰り返すことになる。

Hさんは現在、都内の学習塾に勤務している。職場の一部の上司にはカミングアウトしており、将来的にはLGBT当事者の子供のサポートもしたいと考えている。

昨年春には、家族にもLINEでゲイであることを伝えた。泣きながら書いたメッセージを送ると、すぐに家族からテレビ通話がかかってきた。

「妹はショックを受けていましたが、お母さんは『ちゃんといい人を見つけなきゃね』って言ってくれました。僕も『大事な人を見つけます』て答えたのを覚えています」

27歳でようやく、ありままの自分で生きていけると感じられた。好きな人と結ばれ、幸せになる未来が見えるようになった。

デートアプリに熱中して気づいた、真剣な出会いの難しさ

これまで同性と交際したことのないHさんの、結婚を視野にいれたパートナー探しが始まった。

使ったのは、ゲイ男性向けのデートアプリ。40万人を超えるユーザー(公式発表)を抱える人気アプリに登録した。

「半年で集中的に、13人くらいに会いました。京都や水戸など、遠くまで会いに行った事もありますし、1週間だけ同棲みたいなこともしてみました。当時はガチで恋人を求めてたんです。

でも、会ってみるとタイプではなかったり性格が合わなかったり、物理的に距離があって難しかったりして。あとはやっぱり、結局遊ばれてたんだなと思うことがありました。

課金をして、多くの人に表示されるようにしたこともあります。メッセージは400人くらいから来ましたが、自分と合う人には出会えなくて。ここまでお金もかけて無理ならもうやめようと思いましたね。

統計的に、ゲイ男性はHIVなど性感染症のリスクも高いと言われていますし、アプリでたくさんの人に出会って理想の人に会う前に健康を害してしまうんじゃないかと考え始めました」

「結局僕にとっては、アプリで真剣な結婚相手を見つけるのは難しい印象でした。アプリは超便利ですし、僕もめちゃくちゃ熱中していたんですが、使うたびに精神的に疲れていく感じでしたね」

以前からリザライの婚活サービスを知っていたHさんは、今年5月に登録をした。

「これまでは自分の主観だけだったので、第三者の目で選んでもらうのは良いことだと思いますし、これからが楽しみです。

今までにあったのは本気の片思いだけ。今度は本気の両思いを経験してみたいです」

夢は、2年後に地元で結婚式を挙げること

Hさんは現在28歳。30歳までに、永く寄り添えるパートナーを見つけたいと考えている。

「30歳になったら九州に帰ってビジネスをしたいなと思っていて、その時に一緒に九州に帰ってくれる人を探しています。

結婚は、(法制度が整えば)したいと思っています。結婚式も絶対挙げたいです。大学の学部の幹事だったので、その時の友達もみんな呼んで、大きなパーティーみたいな賑やかな式にしたいですね」

取材協力:株式会社リザライ