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19歳でがんになった。余命宣告、再発、でも24歳で結婚した。全力で生きた、彼女が見ていた景色

彼女は「若い不幸ながん患者」じゃない。「山下弘子」という一人の人だ。

和気あいあいと夕食の準備をする夫婦。左の女性は山下弘子さん(当時25歳)。右にいるのは弘子さんの夫・ともきさん。ありふれた日常の一コマーー彼女のことを知らない人の目には、そう映ることでしょう。

弘子さんはこのときも、がんの治療中でした。病気がわかったのは、19歳、大学1年生のとき。肝臓に巨大な腫瘍が発見されたのです。以来、6年間に渡り、闘病しながら、講演や執筆活動にも取り組んでいました。

がんになると「かわいそう」という反応をされがち。でも、それは「すごくイヤ」だという弘子さん。「絶対に生きれる」「大丈夫」と信じ、「(がんになっても)私は幸せです」と言い切ります。

「何一つ諦めない」弘子さん。アグレッシブに旅行や登山、時にはパラグライダーにも挑戦していました。

しかし、そこには当然、葛藤が。肺への転移は根本的な治療がなく、その後、骨への転移も見つかりました。悪い知らせに「死にたくない……」そう絞り出すように口にする、弘子さん。

周囲から「腫れ物のように」扱われてきたという弘子さんに、普通の態度で接する人がいます。それが、ともきさん。結婚を決めてから骨転移が発覚し「申し訳ない」と謝る彼女に「申し訳ないことないよ」と伝えます。

結婚式の準備で、ウェディングドレスを試着。ともきさんは「綺麗」「すごい……」と言葉を失いました。

そして2017年6月に開催された、弘子さんの結婚披露宴。家族や友人に祝福され、笑顔がこぼれます。

しかし、2018年2月に、病状が急変。意識が戻らないまま、3週間後の3月25日、帰らぬ人となりました。

「今」の瞬間は二度と戻ってこない。いつが「最後」になるかわからない。全力で生きた弘子さんの姿は、当たり前の、それでいて忘れてしまいがちなことを、思い出させてくれます。

「この姿をずっと見ていられると信じていました」ーー弘子さんの「戦友」である鈴木美穂さんはそう話します。「彼女は避けられない現実と困難の中でも、いつも前を向こうとする人でした」。

弘子さんの「生き方」をまとめたドキュメンタリー『彼女が見ていた景色』は7月22日24:55〜日本テレビ系列で放送予定。彼女を知っている人も知らない人も、この機会にぜひ、その想いに触れてみてください。

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再放送はBS日テレで29日11:00〜、CS『日テレNEWS24』29日24:00〜放送予定。後者はYahoo!ニュースのトップページ「動画」タブからも視聴できます。