全米王者ウォレスがパラ男子100mで優勝 義足は日本製

    競技用義足は海外企業が世界で圧倒的なシェアを占める中、国内企業「Xiborg(サイボーグ)」との提携を発表していた。

    5月21日に開催されたセイコーゴールデングランプリ2017川崎で、アメリカのジャリッド・ウォレス選手が優勝した。

    出場したのはT44(片下腿切断など) 男子100メートル。同大会では2015年からこのパラリンピック種目が行われている。ウォレス選手の今回の優勝タイムは11秒17。

    高校時代は800m・1600mの州チャンピオンだったが、20歳のときにコンパートメント症候群により右足下腿部を切断した。

    切断後12週間で初めて義足をつけて走り始め、15カ月で国際大会優勝。Parapan American Games 2011で世界記録を打ち立て、2013年には世界パラ陸上選手権大会(200m・4×100mR)で優勝している。

    ウォレス選手は「7年前に足を失ってから世界で一番速いスプリンターになりたいと思っていました」と語る。

    2015・2016年の全米選手権チャンピオンに輝くが、リオパラリンピック男子では5位入賞に止まった。

    パラリンピック記録が10秒81のところ、ウォレス選手の自己ベストは10秒71。2020年の東京パラリンピックでの優勝を狙い、5月に国内企業のXiborg(サイボーグ)と契約を発表していた。今回の試合からXiborg製の義足を使用している。

    「私たちの競技では、トレーニングするだけでなく、義足というテクノロジー、またそれを扱う技術が非常に重要です。Xiborg社が持つ技術と経験は、私の夢の実現、つまり世界が見たこともないくらい速い義足スプリンターになるための、重要なパートナーになることでしょう」

    トレーニングに励むかたわら、義足クリニックで切断患者の回復のためのサポートも行う。ウォレス選手をよく知る日本の陸上関係者はBuzzFeed Newsの取材に答え、同選手を「気のいいヤツ」と表現した。

    現在、競技用義足はアイスランドの企業であるオズール製のものが圧倒的なシェアを誇る。Xiborg代表の遠藤謙さんは、提携の目的を次のように述べている。

    「オリンピック・パラリンピックでは日本人選手の活躍に注目が集まりがちですが、2020年の東京では“日本の技術”が世界の舞台で活躍し、注目される場にもなってほしいと考えています」