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YOSHIKI首の緊急手術へ 医師に聞く「ヘドバン」しすぎの危険性

「肘をぶつけたときの感覚がずっと続くようなイメージ」と医師。

5月16日にロサンゼルスの病院で首の緊急手術を受けることを発表した、ロックバンド「X JAPAN」のリーダー・YOSHIKIさん。

YOSHIKIさんといえば、身体を酷使する激しいドラムプレイが特徴だ。例えば、こちらの動画。

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一般的に、ロック音楽などでリズムにあわせて頭を激しく振る動作を「ヘッドバンギング(ヘドバン)」と呼ぶ。

演奏中、ヘドバンのパフォーマンスで観客を魅了していたYOSHIKIさんだが、やはり体、特に首への負担はかなりのものだったようだ。

医師から「まるで引退を余儀なくされたラグビー選手のような強烈なダメージの受け方であり、肉体的にも精神的にも限界」と告げられたことを明かした。

YOSHIKIさんはこれまで「頸椎椎間板ヘルニア」「頸椎椎間孔狭窄症」になっている。どちらも首の病気だ。

過去に手術もしているが、約半年前から病気が悪化して、手・腕に麻痺やしびれなどの症状が現れ、 演奏にも支障をきたしていた。

アーティスト生命が危ぶまれるだけでなく、日常生活さえもままならない状況なため、 緊急的に「人工椎間板置換手術」を行うことになったという。

「ヘドバン」が体に与える影響は? 東京慈恵会医科大学・脳神経外科学講座教授の谷諭(たに さとし)医師がBuzzFeed Newsの取材に答えた。

谷医師は「そもそも、人間の頸椎(首の骨)は腰などと比較して、あまり重いものを支えるようにはできていません」と指摘する。

それだけでなく、「骨と骨の間でクッションの役割を果たす、軟骨でできた椎間板は、年齢と共にどうしてもガタついてくる」という。

つまり、特殊なことをしていなくても、首の骨の動きは次第に悪くなっていく。「その劣化は、ヘドバンなどで激しい運動をすると、早くなる可能性がある」(谷医師)

では、椎間板の「ガタつき」が進行すると、どのような影響があるのか。

「首に限らず、背中の骨(脊椎)の中には、脊髄神経という脳と同じくらい重要な組織があります。椎間板が劣化すると、脊髄やそこにつながる手や腕の神経を圧迫してしまうことも」

症状の一例を、谷医師は次のように説明する。

「肘を不意に硬いものにぶつけてしまうことがありますよね。あのときの感覚が首の中で起こるようなものです。そしてそれは、肘をぶつけたときのように、一時的な症状ではない」

実際に、YOSHIKIさんは演奏終了後に、倒れこむような姿を見せることもある。「ヘドバン」はやはり危険なのだろうか。

「命に関わる病気になるわけではありませんが、脊髄が損傷する可能性はあります。YOSHIKIさんはアーティストなので、症状と付き合いながら、自己責任でパフォーマンスをすることになるかと思いますが、一般の方には、痛みなどの症状が出たら首の激しい運動は控えることをおすすめします」