思わず2度見してしまうような、「非常口のピクトグラム」が話題です。
作家の松枝悠希さん(@matsueda_yuki)がTwitterに投稿したところ、3万5千以上のリツイートと20万を超える「いいね」が集まるほど話題に!
リプライ欄でも、「面白い!」「実際に設置しているのがみてみたい」などの声が寄せられています。

BuzzFeedは、制作者の松枝さんにお話を聞きました。
東京藝術大学に在籍中の2008年から作家活動を始めた松枝さん。
身の回りにある日常的なものをモチーフとし、ありそうでありえない瞬間を捉えた立体作品を制作、国内外で発表してきたそうです。
普段から様々なものが飛び出た作品を作っており、今回の作品も13年前に思いついたものだったといいます。
制作することになったきっかけについては、こう話します。
「作品のアイデアを考えながら、ふと見上げると非常口が光っていました。私は(ピクトグラムが)2次元の中に閉じ込められている方が非常事態だと思い、3次元の世界へ脱出させるようにしました」
「この作品が生まれてから数年経ちますが、今では危険だったらいつでも逃げていいんだよというメッセージも込められています」
正式名称は白が通路誘導灯、緑が避難口誘導灯。緑は出口の上に設置されてる。
なぜ、立体作品?
松枝さんは、これまでにも多くの立体作品を生み出してきました。
例えばこの作品↓
視力検査でお世話になる「C」、ランドルト環が板から抜け出していますよね。
こうした立体作品が生まれた裏には、ある失敗があったそうで...。
「ある日、他の作品に使用するカップのような透明パーツを制作している時に、失敗して、型が台座から外れて透明部分にくっついてしまったです。ただその様子が、飛び出して(脱出して)いるように見えたのがとてもグッと来て、作品にしようと思いました」
平面と立体、両方が持つ面白さを兼ね備えた作品が作りたいと考えていた松枝さんにとって、この失敗が現在の作風を形成することになりました。
こうした作品を作っていくうちに、なぜ、平面と立体が融合した作風に落ち着いたのかという答えもわかってきました。
「私の実家が印刷会社(平面)を営んでおり、そこの息子として育ちました。しかし、小さな頃から立体が好きで、大学でも立体ばかり作っていたのですが、どうもしっくりこない。本当に自分にあったものはなんだろう?と考えた時に、生まれ育った環境から見つめ直したのです」
「平面を生み出す会社で育ち、平面を生み出す大きな立体物(印刷機械)に興味を持った。経験や技術が備わったときに、偶然も重なりそれぞれがうまく融合できた、というわけです」
今回の大きな反響は想像しておらず、多くの人の目に止まったことを喜ぶ松枝さん。
最後に、今後、飛び出させてみたいものについて尋ねてみました。
「漫画シリーズは以前やったのですが、機会があればまたやりたいと考えています。錯視や錯覚などの表現も考えています。最近は、絵の具を使用して抽象表現にも取り組みました」