陛下の「生前退位」メッセージに含まれた2つのキーワード 次世代の天皇制に変化はあるのか

    「平成」を特徴づける宮中祭祀と行幸啓。

    天皇陛下のビデオメッセージをめぐり、「生前退位」の意向がクローズアップされた。しかし、お言葉には他にも注目点がある。

    私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。

    宮中祭祀という「祈り」、被災地などを訪問する「行幸啓」。メッセージに含まれたこの2つキーワードは、平成の天皇制を特徴づけるものという見方がある。

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    天皇制の研究で知られる原武史・放送大教授の論稿を中心に見ていく。

    注目の論考

    原さんは、行幸啓の増加を昭和から平成への天皇制の最大の変化と指摘する。

    「世界」2016年9月号に掲載された「象徴天皇制の”次の代”」の中で、原さんは1991年の長崎・雲仙普賢岳の避難所訪問を例にあげる。

    この時、天皇皇后両陛下は膝をつき、被災者と同じ目線で被災者の言葉を聞き、声をかけた。

    原さんはこれを「革命的な変化」と呼ぶ。当初は、保守派の反発を招いた。しかし、「いまや完全にそのスタイルが定着した」。

    両陛下がそろって東日本大震災や阪神大震災、直近では熊本など被災地を訪れることで、露出度ははるかに増えた。同じ目線で話しかけ、黙祷を捧げる……。メディアを通じて、何度も放送される。当初の反発が忘れられるほど、国民に受け入れられてきた。

    昭和天皇から引き継いだ宮中祭祀

    もう一つの特徴が、宮中祭祀だ。

    原さんは著書「昭和天皇」などの中で、戦前からの宮中祭祀が、戦後も続いたことに注目している。昭和天皇が詠んだ和歌でも「いのる」は多く使われる動詞の一つであり、祭祀のなかで神々に向けて祈りを続けた。

    天皇陛下は、昭和天皇の流れを引き継ぎ、宮中祭祀に非常に熱心だというのが、原さんの見方だ。

    宮内庁が公開している主な祭祀だけで、24あげられている。最も重要な11月23日の新嘗祭(宮内庁が写真を公開している)は、身体の負担も大きい。

    新嘗祭は午後6時〜8時の「夕の儀」と午後11時〜翌日午前1時の「暁の儀」の2つの儀式で成り立つ。

    夜間になると、寒さが厳しい。宮内庁は2014年、健康上のリスクがあるとして、天皇陛下の「暁の儀」の出席を取りやめると発表した。以降、負担を軽減しながら儀式は続いている。

    今後はどうなる?

    原さんは前掲論文の中で、こう指摘する。

    (天皇制は)代替わりすることで、前の代では考えられなかったことが起こり、当初は戸惑いや反発があっても、段々とそれが当たり前になってゆくのです。

    ならば、「行幸啓と祭祀」を特徴とする平成の天皇制と次の代も、大きく変わるのだろうか。原さんは、こう述べている。

    平成を生きる私たちにとっても、これから予測し得ない展開が生じることは確かです。