大麻所持で女優、高樹沙耶容疑者を逮捕 「大麻擁護論者」と議論してはいけない理由

    参院選にも立候補していました

    高樹容疑者を現行犯逮捕、容疑は否認しているという

    医療用大麻解禁を訴え、この夏の参院選に立候補、落選した女優の高樹沙耶容疑者(53)が大麻取締法違反容疑で、現行犯逮捕されたことがわかった。朝日新聞などが報じた。

    NHKなどによると、高樹容疑者がエコ活動のため移住した沖縄・石垣島で乾燥大麻を隠し持っていたとして、厚労省関東信越厚生局麻薬取締部が10月25日に現行犯逮捕。高樹容疑者は「私のものではない」と容疑を否認しているという。

    強く訴えていた「医療大麻」の解禁

    高樹容疑者は人気ドラマ「相棒」出演などで知られる、有名女優だった。この夏の参院選では医療用大麻解禁を訴え、東京選挙区から新党改革の公認候補として立候補した。

    「勇気を出して、『健康日本を創る』ご提案」が掲載された、選挙公報がこれだ。医療用大麻解禁でほぼ全面を埋め尽くした。

    高樹容疑者は、これまでもブログなどで強固な大麻擁護論を主張していた。

    国が禁止している大麻は今や人を健康にする可能性が非常に大きい植物と海外では規制緩和が進み医療現場での使用が進み病に苦しむ患者の福音になっています。

    大麻合法論にどう対応したらいいのか?

    ところで、高樹容疑者のような大麻擁護論者は、社会に一定数存在する。このような主張をする人を、周囲はどう考えたらいいのか。

    薬物依存症治療の第一人者として知られる、精神科医の松本俊彦さんが編集した「やさしいみんなのアディクション」のなかに、ヒントになりそうな考え方がある。

    「大麻は安全と主張するクライエントにどう対応したらよいか?」と題した項目だ。精神科医や支援者が、クライエント=大麻擁護論者とどう向き合うか、具体的なアドバイスをまとめている。

    松本さん自身が項目を執筆した。松本さんは大麻擁護派の「タバコやアルコールに比べて害が少ない」という主張について、部分的に真実が含まれている点がある、とする。

    例えば、気分転換に多めのお酒を飲むのと、大麻タバコを1本吸うのと、どちらが健康被害が少ないか。これは後者である。しかし、本当に害が少なく、より安全なのか?

    松本さんは「大麻使用で、急性精神病を呈した症例には多数遭遇してきた」と指摘し、大麻擁護論者の「タバコよりも害が少ない」という主張を退ける。さらに、覚せい剤使用のトリガーになる事例もあると続ける。

    「擁護論者」とは議論しない

    その上で、援助者にとって大事なこととして「議論をしないこと」とする。強固な擁護論者に、根拠をあげて反論しても、彼らは納得しない。こうなると、支援どころではない。

    安全性をめぐる議論を離れ、大麻以外に困っている状況や問題はないのか。そこに思いをはせ、検討していくことが重要だという。

    彼らが抱える課題(家族や職場での人間関係など)を見つけ、課題を解決した結果、大麻使用が減る可能性があるというのが、松本さんの考える大麻擁護論者との向き合い方だ。

    高樹容疑者逮捕を機に、知っておきたい視点だ。