女子ラグビー恐怖の練習「クジラ」 異色揃いのサクラセブンズは走りきって勝つ

    フジテレビ社員、円盤投げから転向、バックアップメンバーには京大卒も…。

    リオデジャネイロ・オリンピックから初めて採用された女子7人制ラグビー。日本代表「サクラセブンズ」が挑む。

    メンバーは多士済々だ。冨田真紀子選手はフジテレビ社員。

    フジテレビで開かれた壮行会。決意表明は「8月8日が決勝ということで、フジテレビの日でもあるので、その日に必ず結果を残してフジテレビに一番早く結果をお届けできればと思う」。

    桑井亜乃選手は、円盤投げから転向した。

    ラグビーに出会ったのは、学生時代の「体育実技」。一気に頭角をあらわす。

    大会直前、惜しくもバックアップメンバーに回ることになった竹内亜弥選手は新潮社社員。京大卒業後、新潮社入社。ラグビーと出会う。

    サクラセブンズの特徴は……

    サクラセブンズの特徴はなんといっても、豊富な運動量だ。愚直に走って、つないで、トライを目指す。7人制ラグビーは15人制よりも、一人一人の選手がカバーする範囲が広い。運動量がポイントになる。

    職場の応援だって欠かせない……

    サクラセブンズがリオ五輪出場を決めたアジア予選を、東京・秩父宮ラグビー場でみた。タックルの鋭さ、グラウンドをところ狭しと動き回る姿は見応えがある。

    リオ五輪を目標に、強化が始まった。だから、他競技からの転向や、社会人から始めた選手もいる。社会人組は所属企業を休むなど、ラグビーに打ち込んだ。

    彼女たちのラグビーを支えるのは、恐怖の練習「クジラ」

    クジラ、その名を聞くと彼女たちは「真夏でも鳥肌が立つ」。

    竹内さんが「クジラ」について書いている。新潮45(2013年10月号)を開いてみると……

    竹内さんによると、サクラセブンズが目指したのは世界一の運動量とチームワーク。まずはボールに触らず、「走って、走って、とにかく走った」。ある選手は走り過ぎて失神し、ある選手は両足が震えて立ち上がれなくなった。

    「クジラ」は砂浜で走るメニューについた異名だ。

    「砂浜でタックル練習の最中、『クジラ』の号令がかかると、練習場所のはるか彼方にあるクジラの絵が描いてある壁まで走っていって、タッチして戻ってくる」

    決まった時間ではなく、突然、号令がかかるという。いつやってくるかわからない、砂浜ラン。これは怖い。疲れ切っている時に号令があれば、体力だけでなく、精神力まで総動員して走る。

    恐怖を乗り越えて、彼女たちはリオの舞台に立つ。