更新:【ノーベル賞】大隅さん発見「オートファジー」 少年ジャンプ漫画・トリコの解説が「正確」と学者絶賛

トリコで知ったよね

2016年のノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さん(東工大栄誉教授)の研究成果、オートファジーが「少年ジャンプ」読者の間で話題になっている。同誌の人気漫画「トリコ」に登場していたことで、見聞きしたことがあるという人が多数出てきたのだ。

「トリコ」に出てきた!

オートファジーってトリコ(漫画)で出てきたから知ってる!飢餓状態になったら己の体にたくわえられた栄養を消費する的なやつだよね!合ってんのかこれ!

「オートファジーって、トリコの世界だけの話と思いよったわ」という声もあった。

メジャー誌のヒット漫画に、オートファジーが登場したことを喜んだのは、少年漫画愛読者だけではない。登場時に、長年、オートファジーを研究していた科学者も嬉しそうに感想を書き込んでいたのだ。

オートファジーはギリシャ語で「自分」を意味するオートと「食べる」を意味するファジーを組み合わせたもの。

科学用語を一般向けに解説するのはただでさえ難しい。少年漫画、それもエンタメ色の強い漫画のトリコの説明はどこまで正確なのか。実は、とんでもなく正確だったという。

大阪大の吉森保教授(細胞生物学)は登場時、自身のホームページに公開した記事で「うーむ、感無量」「好い加減な英文総説真っ青の極めて正確な説明までついている」と手放しの大絶賛。

なんと連載漫画の中にオートファジーと書かれているではないか! 読み間違いではなく、紛れもないオートファジー、しかもカッコして自食作用と正しい日本語訳も付いているし。さらには次のページには「オートファジー(自食作用):栄養飢餓状態に陥った生物が自らの細胞内のたんぱく質をアミノ酸に分解し一時的にエネルギーを得る仕組みである」という、好い加減な英文総説真っ青の極めて正確な説明までついている

うーむ、感無量... ついにオートファジーもここまできたかあ。苦節10数年、やーいやーいオートファジーと蔑まれ続け(嘘ですが)、それが天下の少年ジャンプに...もう思い残すことはない(って大げさな)。

大隅さんと並んで紹介されたことも

大隅さんとともに、長年研究を続けてきた、東京大大学院の水島昇教授が、2011年に出版した著書「細胞が自分を食べる オートファジーの謎」には、「トリコ」の名前こそないものの、こう書かれている。「『週刊少年ジャンプ』の漫画のなかで、あるヒーローのオートファジーが活性化される場面が登場した」。

これは、冒頭「はじめに」で、2番目のエピソードとして紹介されている。水島さんがいう漫画は間違いなく「トリコ」を指している。

そして、この本で、水島さんが最初に取り上げたエピソードは、大隅さんに2008年度の朝日賞が贈られたというものだった。ノーベル賞受賞者とトリコの縁はこんなところにもある。

そして時代は変わる

大隅さんが大きな賞を受賞したり、漫画に取り上げられることで、研究分野が注目され嬉しい。そんな筆致で当時の研究状況が描かれている。

水島さんは数年前であれば、オートファジーだけをテーマにした一般向けの本が成り立つとは思わなかった、と書く。研究はその後、さらに進展をとげ、今年、さらなる変化が生まれた。オートファジーは、少年漫画だけでなく新聞各紙、テレビ各局で大きく取り上げられた。

伝わる研究者の情熱

研究者の情熱は、確かに広がっている。それにしても、大隅さんはどうして、こんな研究を続けられたのだろう。役に立ちたいが原動力だったの?そうではない。ヒントは、本人の言葉にあった。学生にこんな言葉を贈っている。

「私が皆さんにお伝えしたいのは、科学の道を志すのであれば、人がまだやっていないこと、そして、自分が心底面白いと思えることをやって欲しいということです。研究には苦しさが伴います。しかしながら、その研究テーマが自分にとって魅力的で面白いものでさえあれば、たとえ一時期不遇であっても、苦しさは必ず乗り越えることができます」(東工大のHP

UPDATE:大隅さんはノーベル賞受賞の記者会見、最後に「役に立つ研究」ばかりが重視される風潮を批判した。

「役に立つ」ということが、とても社会をだめにしていると思っています。科学で役に立つって「数年後に起業できる」ことと同義語のように使われることが、とても問題だと思っています。本当に役に立つのは10年後かも、20年後かもしれないし、実は100年後かもしれない。将来を見据えて、科学を一つの文化として認めてくれるような社会にならないかなと強く願っています。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

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