菅官房長官「恋々と地位にしがみついた」発言をめぐりバトル 前川氏「辞任を決意していた」と反論

    お互いの論拠は?

    恋々と地位にしがみついていた?

    「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐる問題で7月10日、渦中にいる文科省・前川喜平前事務次官が出席して閉会中審査が開かれた。菅義偉・内閣官房長官の「(前川氏は)地位にしがみついてきた」発言について、前川氏は「事実に反する」と反論した。

    前川氏は事務次官就任後、文科省幹部の天下り問題の責任を取り、2017年1月末に辞任した。この経緯をめぐり、菅長官は5月25日の記者会見で、「前川氏は地位に恋々としがみついていた」と発言した。

    7月10日午後、参議院で、民進党代表の蓮舫氏はこの発言に加え「(前川氏は)3月末まで事務次官を続けたいと申し出た」という発言とあわせて、事実関係を、菅長官と前川氏の双方に問いかけた。

    菅長官が「承知している事実」

    菅長官は次のように説明した。

    「私は事実に基づいて発言している。私が承知している事実は昨年(2016年)12月ごろ、杉田(和博・官房)副長官の求めに応じて、(前川氏が)天下り問題の説明にきた際、進退についての意向を示さなかった」

    「そして1月上旬に前川氏の定年延長についての手続きについて、文科省の事務方から話があったそうです」

    「杉田副長官はその都度、私に報告をしている。杉田副長官から私に対して、前川氏は責任を取ってやめるべきであるし、定年延長は難しいと回答したと報告を受けている」

    杉田副長官からの報告が、最大の根拠のようだ。

    「杉田副長官は前川氏本人に対して、天下り問題の処分について、まずは事務方のトップが責任を取ることを前提に議論しないといけないと話したところ、前川氏からはせめて定年期限の3月までは次官を続けさせてやらせてしいという話があったと報告を受けている」

    「私にも報告があり、私は当然自らお辞めになるべきだろうと申し上げました。ですから、あの発言につながった」

    前川氏は「事実に反する」と反論した。

    国会内はヤジとどよめきで騒然となった。

    「1月4日の段階で、私は引責辞任を決意していた。また親しい文科省の幹部に伝えている。1月5日には大臣にその旨を申し出た。私は自ら杉田副長官に責任をとって辞めたいと申し出た」

    前川氏は自身の反論の根拠を、周囲への説明にあるとした。その上で、こう断言した。

    「私自身から定年を延長してほしいとか、3月まではせめて在任したいとか申し上げたことは一切ない」

    結局、両者から名指しされた杉田副長官が「事実」を明らかにする必要がありそうだ。