小池さんは代表続投 でも残る"希望"は「ほぼ民進」

    辞任論も噴出した会議のあとやってきた小池氏は笑顔で続投を明言。

    「都知事として都政に邁進したい。国政は国会議員にゆだねたい」

    10月25日、衆院議員会館1階。黒地に赤が縁取られたジャケット、パンツスーツを選んだ小池百合子代表が入ってくる。

    希望の党の議員は一斉に立ち上がり、握手の順番を待っていた。しかし、そこには1ヶ月前の熱気はなく、小池代表の言葉も力強さを欠いた。

    繰り返される謝罪

    「言動で同志にご苦労をおかけしたこと、心ならずも多くの方を傷つけたことは謝りたい」

    謝罪からはじまった。

    「多くの有為な人材を失った。議員バッジにつながらなかった。国政については、皆様で話し合ってお決めいただきたい」

    「重要な人事、執行部は今回選ばれたバッジをつけた皆様でお決めをいただき、希望の党として一致団結する道を探ってほしい」

    政党の最重要課題でもある人事に本人は関与しないという。そしてこう言う。

    「都知事として都政に邁進したい。国政は国会議員にゆだねたい」

    結党会見で語っていた「都政を進めるために、国政を前に進めたい」はどこへ。国政への関与は後退させるという宣言だ。

    続投…でも都政に専念

    では、誰が担うのか。席順が示唆的だった。

    報道陣からみて、真ん中に小池代表、司会を務めた小池氏の「お友達」と言われる樽床伸二代表代行が左に、右は民進党の元幹事長・大島敦氏、さらにその隣の長島昭久氏——。

    いずれも旧民主党、民進党の議員ばかりだ。そして、マスコミをシャットアウトして、小池辞任論も噴出する議論を交わすこと3時間13分。

    結論から言うと、この日で人事は決着しなかった。

    取材に応じた複数の議員によると「小池氏は代表を辞任せよ」という声もあり、「政権交代を果たせなかったという選挙結果を含めて、辞任は不可避である」という意見だった。

    出席した元民進党議員は「合流を決めた前原民進党代表とともに、小池氏は責任を取るべきだ」と厳しい口調で語った。

    続投を求む声もあった。理由は「自ら立ち上げた政党で、ここまできたのだから、国会は国会に任せて、創業者としての責任を負ってほしいというもの」だった。

    囲み取材に応じた小池さんは「あら3時間もかかった?」と時計をみるパフォーマンスも混ぜながら「代表続投」を宣言した。

    だが今後、国政は国会議員に任せる。つまり、国会議員のなかで共同代表を決め、幹事長などの役員人事も決めて、自身は都政に専念する。

    それでも「議論するテーマによって意見を出すことはある」(小池代表)という。

    どういう関与になるのかは不透明なままだ。

    「両院議員総会までに人事案を出す。それは大島さんと一緒に作る」と樽床氏は明らかにした。席順には、やはり意味があったようだ。

    憲法9条を変える立場ではない?

    懇談会では、踏み絵とも呼ばれた政策協定書についても意見が出された。

    特に安保法制と安倍晋三首相が意欲を見せている憲法9条改正に関連する2項目が議論されたという。

    2 現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。

    4 憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。

    樽床氏は「憲法9条について我々は変えるべきだと主張していたわけではない。安保法制も不断の見直しと現実に考えるというもの。協定書の中身は、民進党の方々のこれまでの考え方と齟齬をきたさないと確認した」

    「今後、具体的なことは党内で議論を深める」という。

    肝心の政策も文言の解釈をめぐり、早速、ごたついている印象はぬぐいきれない。

    国会のことは国会で、という議論に小池氏はどこまで関与するのか。人事はどうなるのか。すべては「今後の議論」となった。


    (サムネイルは時事通信)