【都知事選】混乱の野党統一候補は実現するか 石田純一さんから「本命」へ

    将来的な政界挑戦には含みも。

    石田純一さん、出馬断念

    都知事選への立候補を匂わせていた石田純一さんが7月11日、不出馬を表明した。候補者が乱立する都知事選。野党統一候補をめぐり、この日も激しい動きがあった。

    石田さんは「野党統一候補なら」と条件付きの出馬表明したときと同じように、グレーのスーツ、白いシャツ、紺ネクタイで現れた。足元は、いつも通り素足にローファー。

    直前まで、第三者を介して民進党関係者と調整を進めていたという。しかし、「メディアの掟やタイムリミットがあり、きょうの正午、出馬をしないと決断した」と述べた。

    不出馬の理由として、妻の東尾理子さんからの理解を得られなかったことも挙げた。

    足りなかったのは「準備と根回し」。断念を「残念」と述べ、将来的な政界挑戦に含みを残した。

    会見で記者から「野党統一候補を応援するのか」と問われると、こう答えた。

    「リベラルな方で、実務経験がある。もう一つ、(自分が起こした)風に流れができて野党統一候補になれば、どんな形であれ応援する」

    浮上した古賀茂明さん

    今回の都知事選で、石田さんに変わり、野党側の有力候補に浮上したのが、反原発派の元経産官僚の古賀茂明さんだ。

    昨年は安保法に反対する国会前デモに参加するなど、石田さんと方向性は近い。民進党都連は、石田さんの会見があったこの日、古賀さんに出馬を要請した。

    古賀さんは、立候補を表明している元日弁連会長の宇都宮健児さんと相談してから出馬を判断する。「強力な自民党候補と伍していけるかは、都民の思いを一つに結集できるかにかかっている」と述べたという。

    石田さんの支援者はBuzzFeed Newsに「古賀さんが出ると決まれば、石田さんは降りて応援に回ると言った。古賀さんが野党統一候補に決まる可能性はゼロではない」と語った。古賀さんを本命視する発言だ。

    石田さんとは妻の理子さんも含めて親交があり、直近も電話で相談していたという。

    有料メルマガで公開していた「公約」

    古賀さんは、自身が発行する有料メールマガジンで都知事選に言及している。発行日は先週8日、石田さんが条件付き出馬を表明した会見当日だ。

    民進党執行部が、参院選中に候補を決めるといろいろな不協和音が出て、選挙にマイナスだということで、何も決められないというのがこの迷走劇の根本的原因だ。石田純一で野党と市民がまとまれるのか。それとも、前回の轍を踏んで、分裂選挙になるのか。ここ数日で帰趨が決まってくるはずだ。

    この段階で、具体的な公約案も記していた。

    オリンピック組織委員会を解体して全てを精査する。新たな推進体制を構築して、その過程で、組織委の利権の解明や招致のための2億円疑惑なども同時平行で追及する。議会と協力できれば百条委設置も視野に入る。

    政治資金では、政務活動費の事後精算制の導入。事後的に第三者委員会などのチェックを経て精算することで無駄な支出は認めない。会議費の中で飲食費は認めない。政治資金の支出については、領収書と使途の詳細を一円単位・月単位でネット公開など、日本一厳格な制度に改める。

    都知事になった後、自分で都政政党を立ち上げて、新会派を作り新人議員も大量当選させるくらいの覚悟が必要だ。「無党派連合フォーラム4」のような政党ができると面白い。それをベースに国政への進出も考えられる。

    第三者として、都知事候補のために考えた「違いの出そうな政策」とのことだが、記述は具体的だ。自分が候補になることを予期していたようにも読める。

    そして、最後の「本命」は

    民進党都連の古賀さんへの出馬要請でまとまるかに見えたが、さらなる展開が。ジャーナリストの鳥越俊太郎さんを野党統一候補として擁立しようと、民進党執行部が動いた。

    朝日新聞は、野党関係者の声として、「民進など野党幹部と、鳥越、古賀両氏が協議を重ねた結果、野党の統一候補として鳥越氏を擁立することで最終調整しているという」と報じている

    自民は分裂選挙、野党は

    都知事選は、これまでに自民党系の支援を受ける増田寛也元岩手県知事、自民党でありながら独自に立候補した小池百合子元防衛大臣、過去2度の都知事選で共産党などから支援を受けた宇都宮・元日弁連会長らが立候補を表明している。

    自民系は分裂したが、対する野党陣営も分裂する選挙になるのか。統一候補を立てることができるのか。告示される14日まで、残された時間はあとわずかだ。

    更新

    鳥越さんに関する情報を追加しました。