【都知事選】石田純一さん、出馬は「10%以下」 なのに会見を開いた舞台裏

    「本命」は別の人物なのか。

    スーツを着た石田純一さん

    7月8日、渦中の石田純一さんが会見場に現れた。都知事選に出馬するのか。芸能系のメディアも詰め掛け、立ち見も出て150人超のメディア関係者が集まった。

    普段のイメージとは異なるダークトーンのスーツに、白いシャツ、紺のネクタイを締めて現れた。足元だけはイメージ通り、素足にローファーでまとめる。

    「市民団体からの要請を受けた。野党統一候補としてなら出ます。もし、野党統一候補が他の方が決まったなら、その方を応援する。もし、野党が分裂して選挙になるなら、できずに分裂するなら、私は降りる」

    出馬の可能性は「常識的には10%くらい。それ以下かもしれない」。

    石田さんと政治

    出馬すると決めたわけではないのに、会見を開いたのはなぜか。

    石田さんと政治を結びつけたのは、昨年の安保法反対をめぐる国会前デモだ。突然、デモの現場に現れた石田さんは自身の名言「不倫は文化」にかけて、「戦争は文化じゃない」と叫び、話題をかっさらった。

    その次の日、私は国会前で石田さんに取材していた。

    「仕事は少なくなるだろうけどね。それでもいいんです」

    石田さんは、冗談めかしてそう話した。その後、実際に仕事は減ったらしい。

    この日の会見でも「デモに行ったことで注意も受けたし、仕事もだいぶ減った。家族はそれを見て、生活できるのか(と心配した)。税金をたくさん払うので、大変なんですよ」と笑った。真剣な表情に戻り、「このあとが怖い」という話も出た。

    「野党共闘」を訴える石田さん

    それでも会見を開いた理由はなにか。繰り返されたのは、具体的な公約ではなく、「野党共闘」の必要性であり、参院選で憲法改正をめぐる議論が本格化しないことへの苛立ちだった。

    「野党共闘がいまの日本の政治バランスをよくしてくれると思う。野党が共闘することでバランスがとれる」

    「憲法は権力者を縛るものだ。自民党は国民を縛る方向に改正しようとしている。自分たちが立ち上がったほうがいい。笑われる、非難されることも覚悟している。生活も厳しくなるでしょ」

    都政ではなく国政の話ではないか。なぜ、都知事選に出るのか。そんな質問には、こう返した。

    「もちろん。でも、なんで都だから何も言ってはいけないのですか? 地方自治から国を変えることもできる。だからみんなで考えていきたい。参院選でも考えていない。だから一石を投じたい」

    石田さんの背後には…

    石田さん擁立に動いたのは、市民運動家やリベラル系雑誌の関係者のようだ。会見直前、石田さんと彼らを交えた会談があったという。

    そこに出席していた関係者は、BuzzFeed Newsにこう明かす。

    「石田さんはただのタレント候補ではない。十分に勝てる候補だと思っている。非常にしっかりしている」

    しかし、彼らの本命は石田さんなのか。会談に参加した一人はこう明かす。

    「古賀茂明さんが出ると決まれば、彼は降りて応援に回ると言っている。古賀さんが野党統一候補に決まる可能性は、ゼロではない」

    元経産官僚で、反原発運動にも関わるリベラル派として知られる、古賀さん。彼が本命と聞こえる発言だった。

    古賀さんは民進党の候補者として名前が上がっているが、同時に、思想信条が異なる前神奈川県知事の松沢成文参院議員の名前も挙がっている。

    昨年の安保法国会で、古賀さんは国会前デモに参加し、反対の立場でマイクを握った。国会の中にいた松沢議員は、安保法に賛成を投じた。

    野党共闘のきっかけになった安保法をめぐっても、見解が別れる候補者名があがる。7月14日の告示日まで一週間を切ったにも関わらず、だ。

    民進党の党内ですら一致していないのに、野党共闘まで持っていけるのか。残された時間は少ない。