「性行為の相手から『避妊』を拒否された経験はありますか?」
思いがけない妊娠や中絶について、BuzzFeed Newsがアンケートを実施したところ、回答者約200人のうち半数以上が、「避妊を拒否された経験がある」と答えました。
海外と比べて認可されている避妊方法が限られ、男性用コンドームのみでの避妊が多いとされる日本。回答の一部をご紹介します。
(※この記事には、性暴力に関するエピソードが含まれます。閲覧の際にはご注意ください)
「妊娠させたことないから安心して」
アンケートの回答者に、避妊を拒否された時の状況について尋ねたところ、「少しだけだから」「妊娠させたことはないから安心して」「ナマの方が気持ちいい」などと言われたという声が、寄せられました。
また、相手から避妊を拒否された際、性行為自体を断ることはできなかったという声もありました。
ルナルナが2020年に発表した調査では、「相手が避妊をしなかった場合、避妊してほしいと言い出せず、そのまま受け入れる」と回答した人が約34%でした。
まだ数回しか会ったことのない人に性行為を求められ、どう足掻いても逃げることが出来ませんでした。「せめてコンドームを着けてほしい」とお願いしたのにも関わらず「少しだけだから」と言って着けてくれませんでした。
(会社員・団体職員 / 20代)
当時、付き合っていた人に「妊娠させたことはないから安心して」「コンドームは使ったことないし、気持ち悪い」と言われました。初めて深い関係になった相手だったので、そういうものなのかと思い、強く拒否できませんでした。
(フリーランス・自営業 / 40代)
立場が上のセフレがゴムをしてくれなかったので、ゴムをしてもらうように頼み、こちらが準備したが、あざ笑うように「うん」と言われるだけで、つけてくれませんでした。
普段は中に出すことはしませんでしたが、生理のときに性行為を強要され、中に出されました。嫌だったと伝えると「大丈夫、大丈夫」と抱きしめられて涙が出ました。
(会社員・団体職員 / 30代)
「え〜、ナマのほうが気持ちいいじゃん」などと駄々をこねる感じでした。「絶対つけて。つけなきゃ(セックスを)しない」と怒りつつ、はっきりと意思表示したら「女の子にそう言われたら従うしかない」と装着しました。
(会社員・団体職員 / 20代)
性に関する誤った知識
また、外出し(膣外射精)を避妊方法の一つと捉えていたり、性感染症にかかる危険性はないと思い込んでいたり、性に関する誤った認識を相手が持っていたケースも、複数寄せられました。
コンドームの着用は避妊のためだけでなく、性感染症を予防するためにも重要です。
膣外射精(いわゆる外出し)は避妊だと思い込んでいて、認識を改めてくれませんでした。また、「コンドームを買うのは恥ずかしいから」と絶対に自分では避妊具を買わなかったので、私が用意して毎回着けるよう頼んでいました。
(フリーランス・自営業 / 30代)
避妊してと言ってもせずに挿入されたことがあります。また、性風俗に行っていないから性感染症がないので、避妊しなくてもいいと言われたこともあります。
(学生 / 20代)
「人生の選択肢がなかった」
中には、相手に避妊を断られたことで、妊娠につながった経験を持つ人もいました。
40代の回答者は、緊急避妊薬を手軽に入手できる環境があったら、違う人生があったかもしれないと語ります。
初めてのデートのとき、強引に家まで押しかけて来て、勢いでしてしまいました。外に出すと言っていましたが「(中で)出てしまった」と言われました。妊娠したことを伝えると、中絶するように言われました。
私はエコーで子の姿を見てしまったこともあり、腹で育っている命を殺すことはできないと感じ、結婚をしました。でも、後悔しています。
もしあのとき、緊急避妊薬が薬局で手軽に買えていたらと思います。わたしには人生の選択がありませんでした。
(会社員・団体職員 / 40代)
「避妊を拒否することは性暴力」
避妊をめぐる日本と海外の状況について情報発信している「#なんでないのプロジェクト」代表で、アフターピルの薬局販売を求めて活動している福田和子さんは、「避妊を望む相手に避妊をしないことは性暴力」だと指摘します。
「『外に出すから大丈夫』『妊娠させたことないから大丈夫』と言っている本人たちは、至って軽い気持ちなのかもしれませんが、これほど女性たちを失望させる『大丈夫』は他にないのではないでしょうか」
「避妊を望む相手に避妊をしないのは、それが恋人であれ配偶者であれ、性暴力です。 しかし、こうした出来事はいまだに溢れていますし、さらには『そんな相手といるのが悪い』『断れなかったあなたが悪い』と、被害者が責められる風潮も根強く残っています」
いま日本では、望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」の薬局販売や、薬を飲むことで人工妊娠中絶ができる「経口中絶薬」の認可をめぐって、国レベルで議論が行われています。
福田さんは「まずは、こうした現実が存在することを多くの人に知ってほしい」と語りました。