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元ブルゾンちえみの藤原史織が、2年前から「肉を食べない生活」を始めた理由

今年3月に「ブルゾンちえみ」を卒業し、本名で活動を始めた藤原史織さん。2年前から肉を食べない生活を始め、環境問題について発信する思いを聞いた。

今年3月にお笑い芸人「ブルゾンちえみ」としてのキャリアに終止符を打ち、本名で活動を始めた藤原史織さん。

新たな門出に、彼女が自身のキーワードとして掲げた言葉の一つが「環境問題」だった。どうして環境問題に関する活動に力を注ぐのか、日々暮らしの中で実践していることなどを聞いた。

「私が総理大臣になって助けないと」

ーーブルゾンちえみとして活動していた頃から、SNSで環境問題について発信されてきました。環境問題について関心を抱いたのは、いつ頃でしょうか?

小学生の頃に、学校の授業で地球温暖化や絶滅危惧種について勉強したり、獣医に関するドラマを見たりしたのがきっかけでした。

動物が絶滅の危機に晒されていたり、ペットが殺処分されていたりすることが、許せなかったんですよね。

人間の身勝手さで、動物たちが死んじゃっているのが自然のルールに反している気がしたというか…。

人間は「やめて」と言って、自分で自分を守ることができるけど、動物は言葉を喋ることができないから、誰かが、私が、助けないといけないと思っちゃったんですよね。

ーー当時は「自分が総理大臣になって、犬猫の殺処分をなくす!」と考えていたそうですね。

「自分が総理大臣にならないと変わらない!」って思っていたんですよね。今は小学生の頃ほど極端に「私がやらないとこの問題は解決しない」みたいな、そこまで背負っている感はないんですけど、やっぱりほっとけないですね。

今もオーストラリアやアマゾンの森林火災とか、環境問題に関する嫌なニュースを見たら心が痛みますし、環境を守るための工夫を自分の生活に取り入れています。

肉を食べない生活

"ビーガン"とか "ベジタリアン"とか はいはい、そういう系ね とカテゴライズされて 面倒くさがらることを恐れ、 肉を食べないことを言えずにいた。 でも 無理しなくていいんだ そう思える仲間ができたこと。 それが嬉しかったこと。

ーー4月には「"ビーガン"とか"ベジタリアン"とか はいはい、そういう系ねとカテゴライズされて面倒くさがられることを恐れ、肉を食べないことを言えずにいた」と、2年前から肉を食べなくなったことを公表されました。

「元ブルゾンちえみがビーガン告白」と報道されたりもしたんですが、ビーガンはベジタリアンの中でも、肉や魚だけでなく、卵や乳製品なども食べないことを指します。

私の場合は「肉は食べない」けど魚は食べるので、多分「ペスカタリアン」などになると思うんですね。でも、そういうビーガンとかペスカタリアンとかの言葉でカテゴライズされるのが嫌で。そうツイートしたら、私=ビーガンとされてしまった感じでした。

きっかけは、『アミ 小さな宇宙人』という本でした。肉食はダメだと言っているわけじゃないけど、それを読んだ時に、なんかお肉を食べることに対して罪悪感が湧いたんですよね。スッキリした気持ちで食べられなくなっちゃって。

さらに、畜産が環境や温暖化に与える影響に関するデータを見たり、食べないと自分自身も身体の調子が良くなるのを実感したりして、その3つが重なり食べなくなりました。

ーー肉を食べる生活から、食べない生活へ移行するのは大変でしたか?日本では、菜食や動物性の食事を避けて外食することが難しいと言われていますが

私は比較的「お肉大好き!肉がないとダメ!」というタイプではなくて、好きな食べ物が地味なものが多かったというか、豆製品とか和食が好きで、特に和食は肉を抜いても成立している食事やおかずが多かったので、思っていた以上に簡単なことでした。

「お肉食べないで、何食べるの?」 と聞かれるが、 意外とそんな思ってる以上に 難しいことではない。 和食なんて、肉があってもなくても そんな変わんなかったりする。 そして今は、 いろんな「肉なし」レシピを紹介してくれる人もたくさんいる。 ダンテさん @rescuekitchen

肉を食べてる時はそれが当たり前になってて、私も考えられなかったんですけど、私の好きな食べ物の中では、肉がなくても全然大丈夫だなってわかりました。

「お肉は食べません」と言うと、「メインは何を食べてるの?」と心配されたり、食事する相手が店選びに困ったり、気を遣わせてしまうのが面倒だなとも思っていたんですが、大体のお店には何かしらお肉がないメニューがあるので結構大丈夫ですね。

焼肉で肉を避けるのは難しいかもしれないけど、それでもビビンバとか韓国料理的なメニューがあるから困らないし、ビーガン用、ベジタリアン用のメニューがありますと謳っていないお店でも、100%全てのメニューにお肉が入ってるわけではないので、意外と困らないんですよね。

「本当に意味あるんかな」と思っても

ーー気候変動の加速に伴い、世界中で環境問題への関心が高まっています。藤原さんは普段の生活の中で、環境を守るためにどのような取り組みを実践していますか?

例えば、本当に小さいことだと、紙のゴミを燃えるゴミじゃなくて、古紙としてリサイクルボックスに入れて廃品回収に出すとか、レジ袋をもらわないとか、化粧品とかも動物実験していないものをできるだけ選ぶとか…。

私はもう普段、当たり前のようにやりすぎていて、これが環境を守ることなんだと意識していない部分も多いんですけど、新しくできた友達とかから「一緒にいることで、環境にいいやり方を知れた」と言われた時は、嬉しかったですね。

本当に地味なことだと、水を流しっぱなしにしないとか、電気をつけっぱにしないとか、そういう小さいことの積み重ねだと思います。

これって本当に意味あるんかなあって思うことも、それが溜まったら大きな差になるから、みんなでやることで絶対に変わると思っているので。

人によって「これは我慢できるけど、これはちょっと…」とかできることは違うと思うので、それぞれができることを積み重ねていくのがいいのかなと思います。

藤原史織(ふじわら・しおり)1990年生まれ、岡山県出身。2017年にお笑いユニット「ブルゾンちえみwith B」としてブレイクし、「35億」というフレーズで同年の新語・流行語大賞トップテンにランクイン。2020年3月で芸人を卒業し、本名で活動を始めた。SNSを活用し、環境問題やSDGsに関する情報発信などを続けている。