「安倍さんはこの問題にどう向き合うのか」自民・総裁選を前に、LGBT自治体議連が公開質問状

    自民党や杉田議員はこれまで問題となった寄稿について、明確に謝罪するコメントを発表していない。

    自民党の杉田水脈・衆議院議員が月刊誌への寄稿で「(LGBTは)子供をつくらない、つまり『生産性』がない」などと主張した問題を受け、LGBT自治体議員連盟の世話人らが9月4日、自民党の安倍晋三総裁に宛てた公開質問状を出した。

    同日、自民党の二階俊博幹事長と、杉田議員が所属する自民党内の会派の長を務める細田博之議員にも、意見交換する場を求める文書を送付。

    世話人で、同性愛者であることを公表している石川大我・豊島区議は5日、「7日に始まる自民党総裁選は、これからの日本のリーダーを決める意味合いが強い選挙。安倍さんにはLGBTの問題にどう向き合うのかきちっと話をしていただきたい」と訴えた。

    これまでの経緯

    問題となったのは、月刊誌『新潮45』2018年8月号(新潮社)に掲載された杉田議員の寄稿「『LGBT』支援の度が過ぎる」。

    「LGBTだからと言って、実際そんなに差別されているのか」「これ(同性愛)でいいんだ、と不幸な人を増やす」などと書かれ、税金を投じて性的マイノリティを支援することに対して疑義を投げかけた。

    こうした杉田議員の主張に対し、複数の当事者団体が相次いで抗議声明を発表

    批判はさらに広がり、7月27日に自民党本部前で実施された抗議活動では、当事者や支援者など約5000人(主催者発表)が杉田議員の辞職を求めて声を上げた。

    一方、自民党は…

    一方、自民党や杉田議員はこれまで、問題となった寄稿について、明確に謝罪するコメントを発表していない。

    自民党はまず、7月24日の時点で、BuzzFeed Newsの取材に対し「杉田水脈衆院議員の寄稿文につきましては、議員個人としてのものと理解しております」と回答。

    その後、「個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導した」という見解を、8月2日に党のホームページに掲載した

    これを受け、杉田議員は朝日新聞の取材に「自民党性的指向・性自認に関する特命委員会の古谷圭司委員長からご指導をいただきました。真摯に受け止め、今後研鑽につとめて参りたいと存じます」とコメントしている。

    それ以降は、個人Twitterも更新せず、公に発言することを控えている。

    「総裁として明確に否定すべきではないか」

    LGBT自治体議連はこれまでに2回、自民党に対する抗議声明を出したが、文書による回答を得られなかった。

    今回の公開質問状では「杉田議員に寄稿を撤回、謝罪するよう党として指導すべきではないか」「多くの人の人権を傷つける主張は総裁として明確に否定すべきではないか」ーーなど5つの項目について回答を求めている。

    また、自民党総裁選への立候補を表明している石破茂元幹事長が、LGBTに関する法律の制定について「差別や権利侵害をなくすために実効性のある法律であってほしい」と発言したことにも触れ、安倍総裁の考えを問うた。

    5日に日本外国特派員協会で開かれた会見には、LGBT自治体議連世話人でトランスジェンダーの上川あや・世田谷区議や、今年5月に交際を発表した経済評論家の勝間和代さんと、LGBT法連合会の増原裕子さんも出席。

    日本で初めて同性愛を公表した国会議員となった、立憲民主党の尾辻かな子議員は、秋の臨時国会には、他党と連携して「LGBT差別解消法案」を提出したいと言い、こう語った。

    「私が2005年にカミングアウトした時は、これ(LGBT支援)は政治課題なのかと言われました」

    「今回の杉田議員の問題がこれほどの広がりを見せたことを見ると、この数年間でLGBTは人権課題であるという認識が広がってきた結果ではないかと思います」

    「政治家は困難に寄り添い、その困難を解決することが仕事です。杉田さんの発言で、LGBT当事者の友人たちは『一晩眠れなかった』『ずっと涙が止まらなかったということを私に伝えてくれました」

    「LGBT差別解消法案だけでなく、同性同士のパートナーシップを可能にする法律も検討していますので、国会の法制化に向けてこれからも頑張っていきたいと思います」