子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐHPVワクチン。
日本では女性のみが接種対象として承認されてきましたが、厚生労働省が昨年12月、男性の接種も承認しました。
“性愛をも~っと面白くするエンタメ企業”として、猥談バーやYouTubeチャンネルなどを運営している「株式会社ポインティ」では、HPVワクチンの接種費用を、福利厚生として会社で負担することに。
そこで早速、CEOの佐伯ポインティさん自身がうちに行きました💉
ポインティさんが向かったのは、宋美玄先生が院長を務める丸の内の森レディースクリニック。
そもそもHPVワクチンとはどんな効果があるものなのか。そして、女性だけでなく男性も接種したほうがいいのはなぜ?…などなど、HPVワクチンをめぐる様々な疑問について、宋先生に聞きました。
1. HPVワクチンってなに?
HPVワクチンは、昔は「子宮頸がんワクチン」と呼ばれていたんですが、必ずしも子宮頸がんだけに効くものではないので、今はHPVワクチンと呼ばれています。
日本では女性のみ接種が承認されていましたが、最近「ガーダシル(4価)」という種類が男性のがん予防にも承認されました。
そもそもHPVは「ヒトパピローマウイルス」といって、主に性的な接触とかでうつるウイルスなんですが、だいたい日本人だと5%ぐらいの人が持ってると言われてるんです。
性交渉の経験がある女性は、8割ぐらいの人が一生のうち1回はもらうと言われていて、HIVウイルスなどに比べると非常に身近で、ありふれたウイルスです。
このウイルスへの感染を防ぐのがHPVワクチンです。
2. 男性も女性も受けた方がいいのでしょうか?
HPVに感染することで生じる病気の中では、女性の子宮頸がんが一番有名で、頻度も高いですが、男性も肛門や陰茎、あとオーラルセックスによって喉にこのウイルスが住み着いて、中咽頭がんになったりすることがあります。
なので、男性にとっても自分のがんを予防する意味もありますし、やはり公衆衛生学的には、男女どちらかだけにうっても、ウイルスの流行はなくならないので、男女共にうつことで、ウイルスの蔓延を防いでいくことが重要です。
HPVには200種類ぐらい型があって、がんになりやすいハイリスク型はその一部です。防げる型の数によってワクチンは、「2価」「4価」「9価」に分かれています。
男性もうてるこの「ガーダシル(4価)」というワクチンだと、子宮頸がんの場合、7割くらいが予防できます。女性向けには最近、「シルガード9」という9価のワクチンの販売が始まり、それだとだいたい9割ぐらいの子宮頸がんが予防できます。
ですので、子宮頸癌はなくしていける病気だと、私は思います。
3. まだセックスを経験したことがない人も受けた方がいいんですか?
一番推奨されているのは、性交渉を経験する前です。そうした行為を通じてウイルスをもらう前が、一番免疫を獲得するメリットがありますね。
でももちろん、性交渉の経験がある人でも、まだウイルスをもらったことがなければ、性交渉したことない人と同様にメリットがあります。
また、もし自分が既にハイリスク型のHPVを持っていたとしても、ワクチンをうつことで自分の免疫が排除してくれたら、次に貰うのは防ぐことができます。
なので、やっぱり45歳ぐらいまではうつ効果があると言われていますね。
4. 費用はどれくらいかかるのでしょうか?
ガーダシルは基本、数カ月に分けて計3回うちます。
現状では、小学校6年生から高校1年生の女子は、自治体が費用を払ってくれますので無料です。ぜひその期間に接種することをおすすめします。
それ以外の場合は、クリニックごとに値段が違いますが、保険などが効かないので、3回で約5万円くらいかかります。
5. 副反応の心配は?
やはり注射ですので、痛かったり、接種部位が赤くなったりすることは多いですね。注射後に気分が悪くなったりすることもありますが、重篤な副作用に関しては、頻度はとても低いです。
6. HPVワクチンに限らず、最近はコロナのワクチンの接種も始まり、話題を呼んでいますが…
どうしてもワクチンは「副作用」ばかりが報道されるので、不安だったり、怖いなと感じたりしている人が多いと思います。
でもワクチンをうったことと、その後に起きた出来事との間に因果関係があるかどうかは検証が難しく、検証しない、もしくはできないまま、誤解を生むような報道になっているなと感じることも多くあります。
やっぱりワクチンは痛くないわけじゃないし、うつのもドキドキすると思います。
でもこのHPVワクチンもそうですし、コロナのワクチンもそうですが、もしみんなが打たなかったらどうなるか。なんとなくうたない空気ができてしまうと、その感染症と共存しないといけなくなるんですよね。
我々のような医療関係者から見ると、ワクチンをうたないことよりも、うつ方が大きくメリットがあることだと思いますので、もし疑問や不安があればお答えしていきたいと思っています。