狛江市長、セクハラ疑惑を否定した翌日に辞意を表明。これまでの発言を振り返る

    「セクハラというのは、思い込みで強く(被害を)受けやすいタイプというのはあるのでは」と持論を述べた。

    市役所の女性職員にセクハラ行為をした疑いがあると市議会で追及され、副市長らから辞職を求められている狛江市の高橋都彦市長(66)が5月21日、市役所で会見を開いた。

    セクハラ行為については「明らかなセクハラだと言われる行為はしたことがない」と改めて否定し、自身の進退についても「白紙状態」だと述べた。

    一方で、被害にあったと訴えた職員について「誰かが容易に想像できる」「思い込みが激しいタイプ」などと発言する場面もあった。

    【UPDATE】NHKなどによると、高橋市長は会見翌日の5月22日午後、報道陣の取材に対して辞意を表明した。

    「受け取る側にセクハラだと言われたら、私としても受け止めざるを得ない。率直に責任を取り、辞職する」と話したという。

    経緯を振り返る

    高橋市長は元東京都職員で、2012年に自民党、公明党、民主党、生活ネットワークの推薦を受けて初当選。2016年に再選された。

    セクハラ疑惑は、3月1日の市議会で、情報公開請求で入手したセクハラ相談・対応に関する市の文書をもとに、共産党の西村敦子市議が質問したことがきっかけで発覚した。

    文書では、被害者と加害者の名前が黒塗りにされていたが、「2014年4月の宴席で自分が口をつけたコップで飲むことを強要された」「エレベーターでお尻を触られた」「車内で手を握られた」「夜誘われることが多くて困っている」などの被害が綴られていたという。

    その対応として「(加害者に対して)副市長からやんわり言うことになった」と書かれていることから、副市長よりも立場が上の市長が加害者なのでは、と追及されていた。

    「家父長的な立場としてやった」

    一方、市長はセクハラ行為を否定。

    報道陣の取材に対し、「私は九州男児であって(同じコップで飲む)献杯・返杯は文化だと思っている」「異性への関心をもとにやったことじゃなくて、『狛江一家』みたいな、家父長的な立場としてやった」などと話した。

    さらに、内部文書の記載には一部誤りがあると職員自身から申し立てが来ていると主張し、「虚偽の記載があれば、文書を作成した職員にペナルティを科す可能性もある」と調査を始めたことを明かした。

    その傍ら「市政に混乱を起こした」ことを理由に自身に2カ月の給与減額処分を下した。

    これに対し、同市の水野穣副市長は5月21日午前、会見を開いて市の資料を公開した。

    資料では、18日の臨時庁議で水野副市長が調査の結果、西村市議が入手した文書は事実で、他にも被害者がいることがわかったとして「市長がセクハラ行為を行なっていたことが確認できた」と市長本人に報告したという。

    この報告に同席した市の幹部も、少なくとも2年前から市長のセクハラ行為について注意してきたと述べ、辞職を迫ったと記されていた。

    「誤解の範囲で解けるものが多い」

    市長の会見は、この資料発表後の21日午後に開かれた。

    セクハラの事実を認定した副市長らによる聴取は恣意的で問題があると、聴取を受けた女性が抗議したとされる文書を報道陣に配った。

    そのうえで「私が職員に対して性的な関心を持って接したことはありませんし、セクハラの次元での言動をした覚えは一切ありません」と、改めてセクハラ行為を否定した。

    また「職員との距離を縮めるために懇親の機会は持ってきた。その際になんらかの接触はあったかもしれないけれど、(臀部や胸など)そういう部分について私が意識して触ったことはありません」

    「距離が近すぎることもあったと思いますが、(市幹部から)アドバイスを受けてからは、相手が女性である場合は、1m以上距離を置くなど色んな気をつけ方をしてきました」

    「私としましては明らかなセクハラ行為だと言われる行為はしたことがないので、誤解の範囲で解けるものが多いと思います」と話した。

    「思い込みが激しいタイプ」

    会見では、セクハラ被害を相談したとされる女性職員について「私の知る限りでは思い込みが激しいタイプ」と発言した。

    調査で、他にも被害者がいるという結果が出たことについては「(被害を相談した女性職員と)ごく親しい人を一種の『主張の補助者』という形で認めたんだと思う」と述べた。

    さらに「セクハラというのは、思い込みで強く(被害を)受けやすいというのはあるのでは」と持論を述べた。

    そもそもセクハラの定義についてどのような認識を持っているか問われると、「性的好奇心を持って(接し)、相手がハラスメントと思うような段階に至れば、ハラスメントと言わざるを得ないのかなと思います」と答えた。

    だが、今回の問題については「相手がそういう風に思えば、それはセクハラなんでしょうけど、その場の状況についてお互いに思い出してもらえば、そういうものではなかったと共通認識には至ると思う」と、被害を訴えた側に誤解があると強調した。