ベイブレードよりもおジャ魔女どれみが好きだった。kemioがエッセイで語ったこと

YouTuber、モデル、タレント、クリエイター。一つの肩書きには収まりきらないkemio(けみお)が、初めてのエッセイ本「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」(KADOKAWA)を出版した。

    ベイブレードよりもおジャ魔女どれみが好きだった。kemioがエッセイで語ったこと

    YouTuber、モデル、タレント、クリエイター。一つの肩書きには収まりきらないkemio(けみお)が、初めてのエッセイ本「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」(KADOKAWA)を出版した。

    ある朝、少年はベイブレードを買うために、イトーヨーカドーの列に並んでいた。

    小学校に上がる前のこと。親戚の家に泊まりに行ったときに、ディズニーやおジャ魔女どれみのグッズでいっぱいだった彼の鞄を見た叔父さんが、「なんでお前、男の子なのにこんなの持ってんだ?」と聞いてきたからだ。

    「えっ…男の子だからとか関係なくね…?」

    Photo by 黒羽政士

    そこまで言うなら一回試してみようと、ベイブレードを買ってみたときの感想を、23歳になった彼はこう語る。

    「当時はベイブレードめっちゃ人気で、全然買えなかったんですけど、触ってみたら全然嬉しくないし、全然つまんないし、色も超盛れてないし、なにこの機械ー?って思って。すぐにどれみに戻りました」

    少年はいま、kemio(けみお)という名前で知られている。

    “SNSで全てをさらけ出したシンデレラボーイ”

    Photo by 黒羽政士

    高校時代に始めたVineの「6秒動画」で一気にブレイクした。雑誌「HR」の専属モデルを務め、2016年からはアメリカに拠点を移して、YouTubeからファッション、音楽業界まで活動を広げている。

    日記のように、日々の出来事を赤裸々に「シェアハピ」しているYouTubeの動画は、毎回数十万回再生される。

    「SNSで全てをさらけ出したシンデレラボーイ」。そう称されたこともある。

    だが、4月18日に発売された初めてのエッセイ本「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」(KADOKAWA)には、自身の生い立ちやセクシュアリティなど、kemioがこれまで胸の内に留めてきた様々な思いが並ぶ。

    「人生のどこかのタイミングで文字だらけの本を出してみたかった」と語る彼は、どうやって次々と夢を叶えてきたのだろう。

    「時給発生しないところには行かない」

    ーー初めてのエッセイ本「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ」では、幼い頃からキラキラしたものが好きで、「男の子なのに…」と言われた経験が綴られています。

    「けんた君は男の子なのにおジャ魔女どれみが好きで……」と言われた時は、「好きなものを誰かに指示されたら、それはもう好きなものじゃなくね?」って思ってました。

    僕が当時好きだったものが、たまたまファンタジーや夢にあふれるお話だっただけで、「男の子だからこっちを好きになりなさい」って言われたら、「それ趣味じゃなくて教育じゃん」と思って。

    好きなことくらい、別に好き勝手に決めさせてくれよって思ってました。

    ーー小学校でも「オカマだ、オカマだ」と言われて、避けられたり。

    最初はよくわかってなかったんですけど、それでも、あだ名として仲間意識を持って呼んでるというよりは、僕のことをけなそうと思って、ネガティブサイドな感じで言ってるんだなーって思ってましたね。

    でも、中学や高校ぐらいになると、もう自分の中で戦う精神が結構出来上がってきちゃって、別になんとも思ってなかったです。

    高校の入学式の時は、廊下歩きながら「姫でーす!姫でーす!」って言ってました。

    やっぱりなんか入学初日って、みんな誰にも嫌われたくないし、当たり前に僕も嫌われたくないんですけど、みんなクールに見せようとするじゃないですか。全然話さないで、誰かが話しかけてくるのを待ってたり。

    絶対そういうやつしかいねえと思ったので、そのバリアをぶっ壊してやろうと思って実行したら、うまいこと転びました。

    「オカマ」とか「オネエ」とか言ってくる人もまだいたんですけど、本当に毎日バイトが忙しかったので、「もう、ごめんなさい、私、本当に時給が発生しないところには行かないので~!」って思って、下校しました。

    Photo by 黒羽政士

    でも、僕も流行ってるものをやってみたりしてた時もありました。小中学生くらいの時は雑誌の「Men’s egg」とかギャル男カルチャーが流行ってて、みんな前髪が滑り台みたいに長かったんです。

    だから、僕もドン・キホーテでお兄ちゃんと割り勘してアイロンを買って、キューティクル焼き殺して、オリジナルでセルフで滑り台を作ってみたりしてました。すごいくせ毛だったので、とりあえずもう伸ばしまくってましたね。

    初めてする「セクシュアリティ」の話

    ーーエッセイでは、初めてご自身のセクシュアリティについて触れています。

    これまでその話をしてこなかったのは、なんかもう時代的に言わなくていいかなって思ったのも一つで。

    Photo by 黒羽政士

    (性的マイノリティを指す)「LGBTQ」っていうワードが日本や世界でも流行語みたくなって、知ろうとする人が増えてきていたので、わざわざビッグニュースみたいな感じで、大々的に発表することでもないのかなと思ってました。

    僕が18、19歳くらいで芸能界の仕事をちょっとずつ始めさせていただいてた時に、やっぱり噂が結構立ったんです。話し方や洋服が中性的だったり、交友関係も女性の友達が多いから「そうなんじゃないか」って。

    そしたら、テレビのプロデューサーさんに「それを番組で使えませんか?」とか「そしたら番組に出れますよ」とか「それがあるならうちで仕事やってもいいよ」みたいなテンションで言われたことが何度かあって。

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    そういう売り物じゃないし、自分のセクシュアリティを使ってまでこの業界に入るつもりもないし、なんかそれだったらこっちから願い下げなんですけど、サヨナラ~みたいなテンションでした。

    友人には、僕がアメリカに行く前のタイミングくらいに話したんですけど、なんかみんな別に「あ、そうなんだ。で?」って感じでした。超ドライで、逆にこっちがおお~みたいな。

    僕の知ってる環境が全て、みたいな言い方って絶対しちゃいけないと思うんですけど、若い世代の人たちは、LGBTQと呼ばれる人たちもみんな一緒、みんな同じ空の下いえーいって感じにはなってると思います。

    きっかけは「相談」だった

    ーーどうして今回のエッセイで、生い立ちやセクシュアリティについて書くことを決めたんですか?

    僕、YouTubeの質問コーナーやInstagramのDMで、色々な方々から相談をいただくんですけど、「学校で友達ができない」「上司がうざすぎる」「スーパーで買い物しすぎちゃった」とか、かわいい悩みからちょっと「Oh…」っていう悩みまで様々あって。

    その中でも、僕と同じような悩みを持ってる方もいたんです。でも、返事はしてなかったんですね。

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    やっぱりセクシュアリティに関しては公に言ってなかったし、なんかどういう風にお返事したらいいのかなっていうのが自分の中でもあって。

    でも、僕YouTubeでも言いたいことはベラベラ言ってる方なので、そのこと一つだけトゥルトゥル~って避けてるのって、逃げではないけど、やっぱり逃げてるのかなって思って。

    インターネットを始めてから、「kemioさんのこういうエピソードを聞いて、私も頑張ろうと思えました」って言ってくださる方がたくさんいて。今僕が一番やりたいこと、活動してる目的って、そういうことのためなんですよ。

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    だからもし自分が本でシェアハピした時に、同じような悩みを抱えてる人が少しでも楽にではないですけど、「まあなんかこういう感じもあるんだ」って感じで思ってもらえたらいいな~と思って。

    サンプルセールみたいな感じです。サンプルシェアハピ!って感じです。

    VineからYouTubeへ

    ーーどうしてこんなにもたくさんの人たちが、kemioさんに悩みを打ち明けるんでしょうか…?

    えーなんででしょうね…なんでなんだろう…分かんないです。私なんかにそのお悩みをお知らせしまってよろしいのでしょうか?っていう同意書をお送りしたいくらいで、とても光栄です。

    でもVineのころと比べると、動画を見てくれてる人の層はもう億パーセント変わりました。

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    Vineは6秒しかなかったので、自分がこういうことを思ってるとか、こんな生活をしてるってことをほとんどの人が知らなかったんです。ただ、6秒でベラベラ喋ってる内容にみなさんが反応してくださったりって感じで。

    それがYouTubeだと、僕、意外と30、40代の主婦の方も多いんです。

    6秒動画をやってた時って、年上の年代の方々って、僕のこと嫌いだったんですね。顔が近距離すぎてきついとか、山ほどコメント欄荒らしちゃったことがあるんですね。

    だけど、この間すぐそこのマクドナルドの前を歩いてたら、「ごめんなさい、今バイトの休憩中なんですけど、いつも見てます!」って言ってくださった方がいたりして、嬉しいです。

    今度、給湯室で一緒に語ろう~みたいなテンションになります。

    夢を叶え続けるために

    ーー高校生の頃から、絶対に出たいと公言していた雑誌「HR」で専属モデルになったり、渡米してからはパリコレに招待されたり、次々と夢を叶えてきました。

    なんか、ハングリー精神的なものはずっとあったと思います。

    Photo by 黒羽政士

    小中学生の頃は、お小遣いが1000円とか2000円とかだったんですね。だから、バスに乗らないと通えないくらいの距離に学校があったんですけど、往復全部歩いてバス代の500円を貯めてました。

    あとは携帯を買ってもらえなかったので、PSPでインターネット繋いで、みんながモバゲーでどういうことやってるか見たり。常に自分のやりたいことを実現するためのやり方を探してました。

    だから、目標も「やりたかったらやる、やりたくなかったらやらない」って感じです。もう本当にシンプルで。

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    「この夢を叶えたい。だけどどうすればいいかわからない。不安だからやっぱやらない」と思ったら、5年後ベッドで起きた時にその「やりたかったこと」が、自分の左側か右側かどっちかわかんないですけど、近くになくても文句言うな、それはお前のせいだぞって、自分で思うようにしてますね。

    フィルターを取っ払う

    多分フィルターってみんなかかるんですよね。やっぱ生きてると。

    みんな生まれてから年齢重ねていって、色々なこと経験していくじゃないですか。それで、「あ、こういうことやったら失敗しちゃうんだ」「こういうことやったら成功で、人は笑顔になるんだ」ってのが頭の中でどんどん蓄積しちゃってて。

    高校卒業して、2016年にアメリカに引っ越したとき、僕英語、一切喋れなかったんです。

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    でも、小さい子ってすぐに喋れるようになるって言うじゃないですか。なんで20歳の僕には出来なくて、小さいガキンチョたちにはできるんだろうって考えた時に、ガキンチョたちって間違いを経験してないから、どれが間違いかもわからないし、だからこそ何でも挑戦してみることができるんだと思って。

    そのフィルターがあるかないかの差で。だったら自分でそのフィルターをないように、脳にビビビビって交信を送ればいいんじゃないかって思うようになりました。

    ーーやるしかないとはわかっていても、勇気が出ない人は…?

    えー…でもやるしかねえよ…って思います…!

    不安ってマジでアクセサリーだと思うんですね。本当に必須アクセサリーだと思ってて。

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    やっぱり何か新しいことに挑戦する時って絶対不安なんです。僕もアメリカに引っ越す時は、不安じゃない気持ちの方が大きかったですけど、不安でもあったんです。

    全員不安です。多分。てか絶対。ちな。はい。

    やっぱりなんか人間って、嫌な環境にいて「次のところに行きたい」って思った時でも、一定の収入が入ってくる環境だったり、仕事が終わればお家に帰って自由にできたりするから、嫌だけどここにいようって思っちゃうと思うんです。

    だけど、その一歩を踏み出すと、踏み出さないで全然違うと思うので、何かそれはもう単純にやるしかないんじゃないかなって思います。

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