池袋暴走事故、遺族の署名活動に29万筆集まる。「軽い罪で終わる前例を作ってはいけない」

    池袋で80代の男性が運転していた車が暴走し、母親と3歳の女児が亡くなった事故。厳罰を求める署名が29万筆を超えた。

    東京・豊島区池袋で今年4月、80代の男性が運転中の車が暴走し、母親と3歳の女児が亡くなった事故で、事故を起こした男性への厳罰を求める署名が29万筆を超えた。

    署名活動を始めた遺族の松永さんは8月30日、東京・霞が関で会見を開き、こう語った。

    「病院で2人の遺体を見たときから、絶望と悲しみとともに、このような思いをする被害者と遺族が二度と出てほしくないと思ってきました。その思いに賛同していただけたのかなと思います」

    また、署名活動を当初予定していた期間よりも延長し、9月15日まで続けると発表した。

    29万筆を超える署名

    この事故では12人が死傷し、松永真菜さん(31)と長女の莉子さん(3)が亡くなった。

    警視庁は、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)がアクセルとブレーキを踏み間違えたとみて、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで捜査を続けている。

    松永さんは7月中旬から署名活動を始め、街頭でも協力を呼びかけてきた。

    その中で、子どもをもつ親などから署名期間を延長してほしいという声があったことなどから、9月中旬まで続けることを決めたという。

    「軽い罪で終わってしまう前例を作ってはいけない」

    松永さんは会見で、厳罰を求める理由をこう語った。

    「交通事故は本当に残酷。被害者には何よりも大切な日常があって、大切な命があった。今を生きて日常を過ごしている皆様には、絶対にこんな思いをして欲しくないとずっと思っています」

    「だからこそ、軽い罪で終わってしまう前例を作ってはいけないと思っています。法制度の改善や技術向上、地方の足などの環境面の向上なども含めて、今生きる全ての人が、安心して生きていける社会になってほしいなと思っています」

    高齢化社会に突入する中で

    この事件をうけて、高齢ドライバーの問題に注目が集まっていることについては、「高齢者の運転自体に反対しているわけではない」ことを強調した。

    「むしろ高齢者の方々には、車を運転することで快適で豊かな生活を送っていただきたいと思っています」

    「ただ、高齢化社会に突入しているいま、法制度とか技術面とか環境面の改善が必要で、誰もが被害者にも加害者にもなりにくい社会になるべきだと思っています」

    一方、車を運転していた男性については「高齢で、杖をついて歩くような状況で、公共交通機関が発達した都内に住んでいながらハンドルを握ったのは、他人への配慮がない」と指摘。

    「この事故は、制度の問題ではなく、起こるべくして起きた事故だと感じている」と改めて厳罰の必要性を訴えた。

    集まった署名は、書類送検に合わせて東京地検に提出する予定。署名用紙は松永さんのブログからダウンロードできる。