若きハン・ソロ役のオールデンさん、プレッシャーやばくなかったですか?

    「スター・ウォーズ」シリーズ最新作でハン・ソロ役を務めたオールデン・エアエンライク。彼が、忘れたくなかったこと。

    「スター・ウォーズ」シリーズで屈指の人気を誇るハン・ソロの若き日を描いた映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」が6月29日、日本で公開された。

    世界中のファンが心を寄せる「愛すべきならず者」の役をシリーズ第1作から演じてきたハリソン・フォードから引き継いだのは、若手俳優のオールデン・エアエンライク。

    14歳のころ、スティーブン・スピルバーグ監督に見込まれて映画業界に入ったという異色の経歴の持ち主でもある彼に、BuzzFeed Newsは話を聞いた。

    この大役、プレッシャーやばくなかったですか?

    ーー通算6回のオーディションを経て、ハン・ソロ役を勝ち取りました。どのようにスター・ウォーズの世界について学び、役作りをしてきたのでしょうか。

    まず最初にやったことは全エピソードを一通り見て、吸収できることは全て吸収しようとしました。

    もしわからないことがあれば、世界中のスター・ウォーズファンが作り上げた「ウーキーペディア」を見れば答えが書いてあったし、ルーカス・フィルムのクリエイティブ・エグゼクティブで、スター・ウォーズ史の番人とも言えるパブロ・ヒダルゴに何でも質問していました。

    「彼はハリソンの真似をしない」

    ーーロン・ハワード監督はオールデンさんの演技について、「彼はハリソン・フォードのモノマネをしようとしない」と評価していました。

    ハリソンのモノマネをしようと思ったら、顔の動きや仕草、声の出し方を真似たり、技術的な工夫が求められると思いますが、僕の仕事はハン・ソロというキャラクターにリアリティを持たせることでした。

    どんな役を演じるときにも言えることですが、一番大事なのはその登場人物がどんな人間で、どんな日々を生きてきたか、何を欲して生きているかをきちんと理解することだと思います。

    だからそうした思いや人柄が、昔からよく知っている歌のように考えなくても本能的に出てくるよう体に染み込ませていました。

    自分にコントロールできるもの

    ーー世界中の映画ファンから愛され続けているハン・ソロ。これまで彼を演じてきたハリソン・フォードと比べられることは、当然想定されていたと思います。

    もちろんです。そのプレッシャーだけでなく、スター・ウォーズ映画自体に様々な重圧があるのは確かです。でも本質的には、他のどんな映画に出ることとも変わらないと思っているんです。

    役者である以上、僕たちはいい仕事をして、お客さんに映画を楽しんでもらいたいと思っています。

    そのためには、外部の声は一度シャットアウトして、自分の仕事に集中するしかないんですよね。それ以外のことは、自分にはコントロールしようがないものですから。

    だから、アメリカで映画が公開された後も、報道や批評は読んでいません。TwitterやInstagramなどのSNSを一切やってないのも、ネット上の色んな論争に巻き込まれずにいた方が自分の仕事に集中できるから。

    ジョージ・ルーカス監督が昔インタビューで「批評は読まなければ存在しないのと同じ」と語っていましたが、周囲の目や意見を気にする気持ちもわかるからこそ、僕は自分の仕事、役に誠実であることに集中したいと思っています。

    ハン・ソロの孤独と自由への渇望

    ーー本作では、これまでのシリーズで明かされてこなかったハン・ソロの故郷や生涯の相棒チューバッカとの出会い、彼が抱える孤独や自由への渇望も描かれています。

    スター・ウォーズの世界は一見、楽しい冒険やエキサイトメントに満ちている一方、よく目を凝らせば、ほとんどの登場人物たちが何かに囚われ、抑圧されている。自由を勝ち取ることが非常に困難な世界で生きているんです。

    それは特別な力を持たずに、スラムで育ったハン・ソロも同じ。

    この映画では、ロマンチストで、理想を追い求め、荒んだ故郷から抜け出して自由になることを夢見る彼の若き日の姿を垣間見ることができると思います。

    誰の心をわくわくさせる作品なのか

    ーーハン・ソロが愛され続けている理由はなんだと思いますか?

    まさに、彼がスター・ウォーズの世界で、最も人間らしいキャラクターだからだと思います。

    ある時は自信満々に肩で風を切っていたかと思いきや、ある時は不安を抱え、ある時は怒ってイライラしている。

    どの登場人物よりも色んな表情を見せる彼の姿に、僕たちは自分自身を重ねることができるんです。

    実はこの映画を撮っている間、ハン・ソロの仮装をした小さい男の子が、チューバッカのコスチュームを被った愛犬と一緒に写っている写真をパソコンのデスクトップ画像にしていました。

    ハン・ソロというキャラクターはどんな意味を持つ存在か。冒険に満ちたスター・ウォーズ映画が誰の胸をわくわくで膨らませるために作られた映画であるか。

    そして、自分が一番大事にしたいオーディエンスは誰かを忘れないようにしたいと思ったんです。

    僕自身も映画が大好きで、観るたびに心を躍らせながら大人になりました。その喜びを、僕も子どもたちに手渡すことができればと思っています。

    オールデン・エアエンライク 1989年生まれ。ロサンゼルス出身。14歳の頃、友人のバルミツバ(ユダヤ教の成人式)でスティーブン・スピルバーグ監督に見込まれ、映画界に。フランシス・コッポラ監督の半自伝的映画「テトロ 過去を殺した男」(2009)でデビュー。出演作に、ソフィア・コッポラ監督の「SOMEWHERE」(2010)、コーエン兄弟監督の「ヘイル・シーザー」(2016)など。