ゴミを“イケメン妖精”に見立てた京都の広報紙が「えらいことになってる」と話題 「批判は覚悟の上です」

    美しすぎるごみフェアリーたちが話題です。

    京都市が発行している広報紙「きょうと市民しんぶん」の2017年6月1日号が「えらいことになっている」と話題です。

    「※この特集ではごみを妖精に見立てています」

    京都市民新聞がえらいことになってる上に、母上が「小型家電、回収される前の方がいい」とか言い出して、死ぬほど笑ってるなう。

    1面では赤髪でワイルドな「生ごみの妖精」、ホスト風でスマートな「プラごみの妖精」、母性をくすぐる弟キャラの「紙ごみの妖精」、ミステリアスな雰囲気をたたえた「枝ごみの妖精」が報道陣に囲まれ、キラキラと活躍する姿が。

    そんな4人を見てうなだれているのが、使われなくなった「小型家電の妖精」。ダンディーだけど、長年放置されていたため髪はボサボサ、服もシワシワ。

    やさぐれきった彼は、ぽつりと願いを口にします。

    「私だってもっと回収されれば輝けるのに…」

    2面では、そんな小型家電ごみの妖精さんが輝くまでの長い道のりを丁寧に解説。

    「私に興味がある?嬉しいですねぇ」

    京都市では2018年の京都マラソンに向けて、使用済み小型家電から回収した「金」を100%使った優勝メダルの制作に取り組んでおり、小型家電ごみさんも回収されて輝かしい姿に生まれ変わっていきます。

    斬新なアイディアに、ネットでは「きょうと市民しんぶんやるな」「つい内容まで読んでしまったから、効果は絶大」と賞賛を集めました。

    「文字ばかりの広報紙」から「読まれる広報紙」へ

    「きょうと市民しんぶん」は1953年6月に発刊し、京都市内全域で約65万部が配られている市の広報紙。現在は市の広報担当6人によって作られています。

    広報係長の六車雄一さんはBuzzFeed Newsの取材に、イケメンなごみの妖精が生まれるまでの経緯をこう話します。

    「従来は、文字を増やしてできるだけ多くの市政情報を詰め込んでいたんですが、それではなかなか手にとってもらえない。試行錯誤の結果、2015年2月に思い切った編集方針の変更へ踏み切りました」

    : 編集方針変更前の2014年5月1日号 | : 編集方針変更後の2017年6月1日号

    大事にしたのは一瞬で目を引くインパクトのある写真やイラスト。そして、思わずページをめくりたくなるストーリー性。

    そして2015年6月、主婦層や学生をターゲットに「わかりづらいごみの分別方法をわかりやすく伝えられる紙面を作りたい」と、初のごみの妖精さん「プラごみの妖精」が誕生しました。

    「待って!僕を『燃やすごみ』で捨てないで…」

    全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を受賞

    翌年の6月1日号では、生ごみの妖精と紙ごみの妖精が加わり、3人とLINEで会話しているような、恋愛ゲームをプレーしているような構成で、ごみを減らすためにできることを解説。

    「あなたのハートも生ゴミの水分もギュッとつかんでみせるぜ」

    「若い子育て世代および若者を主な読者対象とし、読みたくなる工夫として採用した『擬人化』の手法や『恋愛アプリ』の活用が見事に成功した魅力的な巻頭特集になっている」と評価され、2017年の「全国広報コンクール」で、全国の503作品から最優秀賞の内閣総理大臣賞を受賞しました。

    他にも、多くの地方自治体が抱える空き家問題に関する特集は、「空き家の事情」をもじった「あしたのジョー」のパロディーで紹介し、注目を集めました。

    「まだまだお前は活用できるぞ!立て!立つんだ!」


    「路地との明日はどっちだ!?」

    「批判は覚悟の上で作っています」

    六車係長によると、従来の行政広報の常識からは大きく逸脱した紙面に「なんでゴミの妖精なんや」「行政としてどうや」とお叱りを受けることも。

    その一方で、「読みやすくなった」「面白くなった」と肯定的な意見も数多く寄せられているそうです。

    「こちらとしては、批判は覚悟の上で作っています。応援してくれる意見も批判的な意見も、反響があること自体、紙を見てもらっているということなので、ありがたいなと思っています」

    地方自治体の広報が炎上することもしばしばのこのご時世。編集部が大事にしていることが一つあります。

    「もちろんインパクトのある紙面や、読みたくなる紙面作りを考えてやっていますが、一番伝えたいのは市政の情報。その大原則からは踏み外さないようにということを常に考えています」

    回収される前の「小型家電の妖精」の方が好き?

    最後に、今月号の「小型家電の妖精」さんの回収後の姿より、回収前のやさぐれてる姿が好きという意見が散見されることについて、六車係長に聞いてみると、「そういう意見もあるんですね…(笑)」と少し驚いた様子。

    「もともとダンディーおじさまキャラがいないよねということで誕生したキャラで、やっぱりおじさんも輝いている方がいいよねと考えて作ったんですが、やさぐれてる方がいい人もいるんですね…(笑)」

    「人それぞれ好みはあると思うので、今後の企画で参考にしていきたいと思います!」

    あなたはどっちの妖精さんが好き?


    きょうと市民しんぶんは、京都市のホームページでバックナンバーを見ることができます。