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緊急避妊薬が必要なのに「じゃあいいです…」と諦める女性がいる。薬剤師が訴えた現場での葛藤

「今も実際に、店頭や電話で『緊急避妊薬を販売してもらえませんか?』と、問い合わせが来ます。そのたびに説明するんですけど、『じゃあ、やっぱりいいです…』と言って、帰られる方がいらっしゃるんです」

望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬(アフターピル)」の薬局販売をめぐり、パブリックコメントが1月31日まで募集されています。

1月23日に衆議院議員会館で開催された院内勉強会では、荒川区の薬局で働く薬剤師の鈴木怜那さんが、休日に緊急避妊薬を処方した経験や、薬局販売の必要性について訴えました。

スピーチの一部をご紹介します。

休日に患者「全部断られました」

私は、緊急避妊薬を実際に店頭に(患者さんが)来られて、お渡しした経験があります。

その日は休日で、どこの産婦人科医の先生も開いていらっしゃらなくて、もう本当に半べそをかきながら、休日診療でやっている色々な病院に電話をかけましたが、全部、断られました。

緊急避妊薬が必要なのに「じゃあいいです…」と諦める女性がいる。薬剤師が訴えた現場での葛藤

Twitter: @BFJNews

でも、実際に薬を待ってらっしゃる方がいるので、どこかで処方箋を出してもらわないといけません。

東京なので、休日にやってるところもあったんですが、非常に金額が高かったんです。

「高いならやっぱり諦めようかな…」なんておっしゃっていたので、とりあえず電話をして、なんとか協力してくださった方を見つけて、オンライン(処方)でお渡しができました。

「じゃあいいです…」と諦める人

今も実際に店頭や電話で「緊急避妊薬を販売してもらえませんか?」って、問い合わせが来ます。

そのたびに、私は「今はクリニックさんで処方していただくか、もしくはオンラインで処方していただいて、店頭でお渡しができます」ということを、説明するんですけど…

「じゃあ、やっぱりいいです…」と言って、帰られる方がいらっしゃるんですね。

クレジットカードがなかったりとか、年齢のことがあったりとか、病院に行くのがどうしてもハードルになってしまっている方もいらっしゃいます。

100%の避妊法はない

100%の避妊法ってないんです。本当に。

そんな避妊法はないので、どれだけ避妊をしていても、不安だなと思うことがあります。

もちろん、緊急避妊薬が100%避妊できるということではないんですけれども、「今は妊娠したくない」という気持ちを尊重してくれるのが、緊急避妊薬です。

適正使用については、私たち薬剤師がしっかりと説明を行います。

なので、女性保護といった観点から、アクセスを悪くしてはいけないと私は思います。


緊急避妊薬の市販薬化をめぐるパブリックコメントは、1月31日が締め切り。「e-gov」のページで資料の閲覧や意見の提出ができる。