東京・池袋の交差点で高齢者が運転する車が暴走し、横断歩道を自転車で渡っていた松永真菜さん(当時31)と長女の莉子さん(当時3)が亡くなった「池袋暴走事故」。
事故発生からまもなく1年となる節目を前に、妻子を亡くした遺族の松永拓也さんが4月16日、現在の思いを語った動画をYouTubeにアップロードした。
1年の節目に実名を公表
本来は17日に記者会見を開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、断念した。動画内では、事故当初からこの日に至るまで公にしていなかった、下の名前を公表した。
これまで松永さんは、報道機関に対して、名字しか明らかにしてこなかった。
それは、「事故の直前まで家族3人で静かに生きていた」松永さんにとっては、公の場に出るだけでも恐ろしく、「全部の名前を知られてしまうと、自分の生活が脅かされる危険性、非難や批判、好機の目に晒されるのではないかという恐怖心を感じていた」からだという。
一方、事故から1年の月日が経つ中で、「心の準備、戦う準備、交通事故防止への覚悟とたくさんの支援者ができた」ことから、実名で交通事故防止の活動をしたいという思いを強くした。
「今回、実名報道をすることで、人の命が守られる交通社会にするという決意を新たに表明したいと思います」
事故当時、乗用車を運転していた旧通産省工業技術院・元院長の飯塚幸三被告は今年2月、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で在宅起訴された。
動画ではさらに事故当日の記憶、事故から1年で変わったことと変わらなかったこと、今後行われる裁判で「被害者参加制度」を使って加害者に問いただしたいことなどについて語った。
4月19日で池袋暴走事故から1年。松永さんのインタビュー連載を後日公開します。