「粋なことしてくれるじゃない!」幻の名建築・中銀カプセルタワービルの一部がホテルになって復活。「これは泊まってみたい」の声

    1972年に建築家・黒川紀章氏が建築設計。取り外し可能な140個のカプセルを柱に並べ、建築も生物のように新陳代謝するという「メタボリズム」思想を具現化したものでした。

    惜しまれつつも解体された名建築「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」の一部が、ホテルとなって復活します。「世界で唯一中銀カプセルに泊まれる施設」の開設が4月9日、発表されました

    内装デザイン前のオリジナルカプセル(景色は設置イメージ)

    中銀カプセルタワービルは140個のカプセルを組み合わせた特徴的な建築でした。今回のプロジェクトでは、このうち5つのカプセルを再活用して宿泊施設に生まれ変わります。

    この「カプセルヴィレッジ」は、神奈川県横須賀市にある都市公園「長井海の手公園ソレイユの丘」に秋ごろ、開設されるとのこと。

    5基のカプセルすべての丸窓から相模湾を一望できるようです。

    2022年に惜しまれつつ解体された「中銀カプセルタワービル」

    中銀カプセルタワービルは、かつて東京・銀座にあった集合住宅。1972年に建築家・黒川紀章氏が建築設計しました。

    取り外し可能な140個のカプセルを柱に並べ、建築も生物のように新陳代謝するという「メタボリズム」思想を具現化したものでした。カプセルは、いずれも丸窓のある幅2.7m×奥行4.2m×高さ2.55mのシンプルな物。

    老朽化に伴い、2022年に惜しまれつつも解体。140個あったカプセルのうち23個を「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」が保存・修復し、国内外の商業施設や美術館で展示されています。

    今回はそのうちの5個を宿泊施設として再生。世界で唯一の「泊まれる中銀カプセル」になります。

    ありし日の中銀カプセルタワービル(2008年撮影、時事通信社)

    カプセルをリノベするクリエイターを募集中

    もともと中銀カプセルタワービルでは「カプセルは、細胞のように時代に応じて自在に移動・成長する」というコンセプトがありました。

    これを受けて、カプセルをリノベーションするクリエイターを4月30日まで募集しているとのことです。デザイン案はオンラインで受け付けており、プレスリリースに詳しい条件が記載されています。

    なお、竣工当時のデザインを復元するカプセルも検討しています。

    解体後、千葉県の倉庫に並べられた23個のカプセル (写真提供:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト)。ここから、国内外の商業施設や美術館に運ばれて展示されています

    「あのカプセルに泊まれる!」「これは行かねば」ネットでも楽しみに待つ声が続出

    同プロジェクトの公式Xアカウント、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト/ Nakagin Capsule Tower(@nakagincapsule)によるカプセルヴィレッジ誕生の投稿には、中銀カプセルに憧れる声が多く寄せられました。

    💬「これは泊まってみたい!」

    💬「 粋なことしてくれるじゃない!!!」

    💬「解体される段階になってカプセルだけ色々なところに行って使われてるの、メタボリズムの精神をここにきて発揮してる感強い」

    ・・・・・

    中銀カプセルタワービルが、まさに時代を経て移動して生まれ変わる「メタボリズム」を体現していることをうれしく思う人も多いようです。

    宿泊できる日が待ち遠しいですね!

    2024年秋、ソレイユの丘(神奈川県横須賀市)に、5基の中銀カプセルを再活用した宿泊施設「カプセルヴィレッジ」が誕生します。全ての丸窓からは相模湾を望むことができます。https://t.co/JHnE1aoQDn pic.twitter.com/jiKA7ztunQ

    — 中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト/ Nakagin Capsule Tower (@nakagincapsule) April 9, 2024
    Twitter: @nakagincapsule