栄養失調で弱る子供たち イエメンで起きていること

    遠い国の話でしょうか。

    栄養失調で命が脅かされている子どもは150万人——。国連人道問題調整事務所 (OCHA)は8月末、イエメンの飢餓の状況を発表した

    9月9日。イエメンの病院のベッドに横たわる男の子の身体はやせ細り、目は宙を見つめていた。

    多くの子どもたちが1年以上前から深刻な栄養失調に陥っている。

    2015年7月30日、マジェド・アヤシュちゃんが病院に運ばれた。生後21ヶ月の男の子の身体からは骨が浮き出る。

    飢餓の原因は何か。

    続く内戦

    イエメンは中東・アラビア半島の南西端に位置する。アラビア海から紅海に面し、海上交通の要所として栄えてきた。

    内戦が激化したのは2015年2月。イスラム教シーア派武装組織「フーシ」が首都サヌアを制圧した。ハディ暫定大統領は一時サウジアラビアに逃れた。

    このサウジ主導の連合軍が暫定大統領を軍事支援し、「フーシ」が活動するイエメン国内への空爆を繰り返している。

    複雑な中東情勢も影を落とす。

    暫定大統領はイランが「フーシ」を軍事支援していると主張。それに対し、イランは「医療や食料の支援をしているだけだ」と否定する。

    イスラム教スンニ派の大国サウジと、シーア派国家のイラン。イエメンはその「代理戦争」の舞台になった。

    しかも隙間をぬって国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ」や過激派組織イスラム国が勢力を伸ばした。

    食料難

    イエメンは食料の9割を輸入に頼ってきた。内戦前から続く食料難は、サウジ主導の連合軍による封鎖によって悪化している

    国連食糧農業機関(FAO)によると、22行政区域のうち19で、緊急的、または危機的に食料が足りない状況に陥っている。

    食料価格も高騰。国連世界食糧計画(WFP)の8月の報告によると、内戦前と比べ19.5%上昇した。

    子どもが犠牲に

    戦いの犠牲になるのは子どもたちだ。栄養失調で病院に運ばれた女の子ハナディ・ダウォドちゃん(2)は泣き叫ぶ。

    だが、病院は人手が足りない。内戦が激化し、多くの外国人の医療従事者たちが自国に逃げたからだ。慣れないスタッフが懸命に治療にあたる。

    その病院が空爆の標的になっている。8月15日、国境なき医師団(MSF)の病院が空爆を受け、14人が亡くなった。過去12ヶ月でMSFの医療施設が受けた4回目の空爆だった。

    近づく死

    生後6ヶ月の男の子アリ・モハンマド・アル・タワリちゃん。内戦が激化する直前に生まれた。

    ロイター通信は母ワッダさんの声を伝える。

    「この子の顔を見てください。死が近づいているのがわかるでしょう」

    BBCのドキュメンタリーは今月、自身の栄養状態が悪いため授乳できない母親の姿を伝えた。

    BuzzFeed Newsは国際NGOセーブ・ザ・チルドレンから動画の提供を受けた。首都サヌアの病院で治療を受ける子どもたちの様子を伝える。

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