燃費偽装してたのは、三菱自の「eKワゴン」「eKスペース」と、供給先の日産が売っていた「デイズ」「デイズルークス」。
データを操作し、5〜10%ほど性能をよく見せかけていた。実際にテストしたんじゃなくて、計算だけで燃費を弾いたこともあった。
燃費のいい軽自動車は人気がある。激しい市場競争の中で、不正に手を染めた。
販売中止に伴って、岡山県の工場で生産に携わっていた約1300人は4月下旬から自宅待機してもらっている。下請け工場も一部は操業停止に追い込まれた。
なんと、四半世紀前から
4月26日には、国が決めたのと違うやり方で燃費を測ってたのは1991年にまで遡ると認めた。ライバル他社がルールを守って燃費競争してたのに、自分だけ独自ルールで測って「燃費がいいんです」と胸を張っていたようなものだ。
国土交通省は、現在販売中の全13車種について、国自ら燃費テストをしてデータを測り始めた。4車種の燃費は6月にも公表する。
ほぼ全車種での不正が判明
闇はもっと深かった。5月11日、違法な方法で燃費を測っていたのは、軽自動車に限らず、人気のパジェロを含むほぼ全車種に及ぶと明らかにした。ちゃんとやってたと確認できたのは「デリカD:5」「アウトランダーPHEV」「ミラージュ」の3車種だけ。
しかもこの日、カタログより15%ほど燃費が悪い車種も見つかったと公表。「5〜10%」と言っていた偽装の幅も広がり、会社の信用は地に落ちた。
販売は半減
相川哲郎社長は4月27日、1日あたりの受注台数が偽装発覚前の半分に減ったと明らかにした。この日に公表するはずだった今年度の業績見通しも出せていない。
燃費を偽装していた車を買った人に対して、嘘をついてた分余計にかかったガソリン代を負担したり、中古車としての価値が減った分を補償したりする方針だが、総額いくらかかるかは不明だ。
前科もあった
三菱自はこれまでも「偽る」「隠す」を繰り返してきた。2000、2004年に、クレームを隠蔽し、内密に修理する大規模な「リコール隠し」をしていたことが発覚。2012年にはリコール対応の遅れで、国土交通省から厳重注意を受けている。
助っ人は日産
こうして泥沼にはまった三菱自に、日産がお金と人を送り込んで、再建を図るというのが5月12日の発表。2社は購買から開発、生産まで協力を進める。
日産は34%を握る筆頭株主に。カルロス・ゴーン社長は「日産の全面的な支援によって、三菱自は信頼を回復しできると信じている」と話した。
日産の指摘で幕を開けた問題。助っ人も日産だった。