1分でわかる三菱自動車の燃費偽装問題

    日産で始まり、日産に終わる?

    三菱自動車は5月12日、日産自動車から2370億円の出資を受け、その傘下で再建に取り組むと発表した。大型の業界再編につながった燃費偽装問題を1分で振り返る。

    外部指摘でバレた

    そもそもの始まりは、三菱自が軽自動車の燃費をごまかしてたのがバレたこと。OEM(相手先ブランドの名前で生産すること)の供給先だった日産から、数字が違うと指摘されてしまった。

    問題を隠していたと報道されると企業イメージは失墜してしまう。4月20日に社長が会見して軽自動車4車種の不正を公表し、謝った。販売も中止した。

    燃費偽装してたのは、三菱自の「eKワゴン」「eKスペース」と、供給先の日産が売っていた「デイズ」「デイズルークス」。

    データを操作し、5〜10%ほど性能をよく見せかけていた。実際にテストしたんじゃなくて、計算だけで燃費を弾いたこともあった。

    燃費のいい軽自動車は人気がある。激しい市場競争の中で、不正に手を染めた。

    販売中止に伴って、岡山県の工場で生産に携わっていた約1300人は4月下旬から自宅待機してもらっている。下請け工場も一部は操業停止に追い込まれた。

    なんと、四半世紀前から

    4月26日には、国が決めたのと違うやり方で燃費を測ってたのは1991年にまで遡ると認めた。ライバル他社がルールを守って燃費競争してたのに、自分だけ独自ルールで測って「燃費がいいんです」と胸を張っていたようなものだ。

    国土交通省は、現在販売中の全13車種について、国自ら燃費テストをしてデータを測り始めた。4車種の燃費は6月にも公表する。

    ほぼ全車種での不正が判明

    闇はもっと深かった。5月11日、違法な方法で燃費を測っていたのは、軽自動車に限らず、人気のパジェロを含むほぼ全車種に及ぶと明らかにした。ちゃんとやってたと確認できたのは「デリカD:5」「アウトランダーPHEV」「ミラージュ」の3車種だけ。

    しかもこの日、カタログより15%ほど燃費が悪い車種も見つかったと公表。「5〜10%」と言っていた偽装の幅も広がり、会社の信用は地に落ちた。

    販売は半減

    相川哲郎社長は4月27日、1日あたりの受注台数が偽装発覚前の半分に減ったと明らかにした。この日に公表するはずだった今年度の業績見通しも出せていない。

    燃費を偽装していた車を買った人に対して、嘘をついてた分余計にかかったガソリン代を負担したり、中古車としての価値が減った分を補償したりする方針だが、総額いくらかかるかは不明だ。

    前科もあった

    三菱自はこれまでも「偽る」「隠す」を繰り返してきた。2000、2004年に、クレームを隠蔽し、内密に修理する大規模な「リコール隠し」をしていたことが発覚。2012年にはリコール対応の遅れで、国土交通省から厳重注意を受けている。

    助っ人は日産

    こうして泥沼にはまった三菱自に、日産がお金と人を送り込んで、再建を図るというのが5月12日の発表。2社は購買から開発、生産まで協力を進める。

    日産は34%を握る筆頭株主に。カルロス・ゴーン社長は「日産の全面的な支援によって、三菱自は信頼を回復しできると信じている」と話した。

    日産の指摘で幕を開けた問題。助っ人も日産だった。