アメリカではなく、アジアを目指せ IT企業の2人のCEOが語るその理由

    「アメリカはラスボス」

    海外進出で目指すべきは、アメリカじゃない。まずはアジアだ。上場するIT企業のCEO2人が同じ言葉を口にした。その理由とは。

    4月21日に都内で開かれた金融系のITスタートアップが集まって、最新の業界動向を話しあうイベント「MFクラウドExpo」。その基調講演に、それぞれ東証一部と東証マザーズに上場するブイキューブの間下直晃CEO(38)と、メタップスの佐藤航陽CEO(29)が登壇した。

    ブイキューブは1998年創業。間下CEOが大学時代に起業した。パソコンやスマートフォンを使ってインターネット会議ができる「ウェブ会議」サービスで国内最大手で、遠隔教育・医療にも事業を広げる。海外では、マレーシア、シンガポール、中国などに拠点を持つ。

    「アジアを見下さない」

    間下CEOは、アジアの発展のスピードを強調する。

    「日本の方で結構多いのは、『日本すごい』と思ってて、アジアは下だと思っている方々が多いんですけど、そうじゃないシーンがどんどん増えているんですよね」

    「『日本の技術でしかできません』と思っていたものが、とっくにできるようになっていた(こと)が多い」

    日本の過去の栄光を美化(する)文化がまだまだある。ここは気をつけなきゃいけないところ。アジアの途上国と言われるところでも、すでにインフラも整ってきていますし、技術者もいるし、ナレッジもたまってきている。正直、まともに戦っても勝てるか勝てないかわからなくなってきています。時間の問題で下手すると今後抜かれる

    また、IT企業が目指す市場はアメリカではないとも指摘。

    「ITってアメリカにいきたがるんですが、日本のITがアメリカで勝てる見込みってほとんどない」

    「お金の量が桁が違う。同じ規模の同じ内容をやっているようなアメリカ企業でみたら、平気で数倍、下手すると10倍ぐらい、企業価値も、調達できる額も変わってくる。ガチンコ勝負は勝てないです」

    そこで同社はアジアに特化。「アメリカ勢が競合としているので、彼らが行きにくい国を中心的に行こうということ。『英語がしゃべれなくて、アメリカ嫌いな国』。中国もそうですけど、こういった国々を中心に展開している」

    「アメリカはラスボス」

    メタップスは2007年設立。佐藤CEOが大学時代に創業した。人工知能を活用してアプリの収益化を助けるプラットフォームとオンライン決済サービスを提供する。

    進出先を選ぶときには「カルチャーの近さがすごく重要」で、日本のネット企業が一番海外展開しやすいのは台湾だという。

    「なぜかというと親日だから。共通の言語があったり、共通のカルチャーをお互い共有できたりする。言語は違うんですけど、すごくなじみやすい。マネージメントもしやすいし、採用もしやすい」

    逆に最後に進出するのはアメリカだと指摘する。

    「『アメリカっていうのはラスボス』。もっともカルチャーが遠くて、やりずらい国。あそこに最初にいくと、グローバル展開はでばなを挫かれちゃう。日本企業は最後アメリカに行くべきだ

    逆に、アメリカ企業はまずヨーロッパに進出するべきで、次に、インドなど、英語を話してアメリカの思想を理解している国へ出るのがいいと話した。

    「ルートは真逆。グローバル展開は変わってきてしまうので、事前に知っておきたかったと思いましたね」