世界保健機関(WHO)は2月1日、南米を中心に感染が拡大している「ジカ熱」に関する緊急委員会を開き、「緊急事態」を宣言した。蚊が媒介するジカ熱は、妊婦が感染すると、新生児の脳の発育に影響する「小頭症」につながると指摘されている。
WHOが緊急事態を宣言するのは、2014年にアフリカで大流行し、多数の死者を出したエボラ出血熱と同等だ。ジカ熱の危険性と対策とは。
ジカ熱とは
WHOや国立感染症研究所によると、ジカ熱はネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介。蚊に刺されて2〜7日後に、発熱や発疹などの症状が現れ、2〜7日間続く。まだ研究が進んでおらず、ワクチンなどは開発されていない。
深刻なのは、新生児の小頭症との関連が疑われている点だ。ブラジル保健省は1月27日、270件の小頭症の新生児を確認。3448件を調査中だと発表した。
感染拡大を抑え、妊婦へのリスクを減らそうと、各国は対策に乗り出す。英BBCによると、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカは、ジカ熱と小頭症の関係が解明されるまで、妊娠しないように忠告している。
米国疾病予防管理センター(CDC)は1月26日、妊婦は感染地への渡航を控えるべきだと発表した。
日本への影響は?
国立感染症研究所によると、国内では2010〜2013年、20代〜40代の男女3人の感染例が報告されているという。妊婦はおらず、症状は重篤ではなかったとみられる。ただ、ヒトスジシマカは日本でも生息している蚊。「国内で広がる可能性も否定できない」という。
特に妊婦は感染地への渡航を控えるよう呼びかける。母子感染と胎児の小頭症との関連性が詳しくわかるまでは、「可能な限り妊婦の流行地への渡航は控えた方が良い」としている。
厚労省検疫所は、ホテルやリゾートは、網戸やエアコンがついており、蚊を駆除しているところを選ぶように呼びかける。長袖のシャツやズボンを着て、皮膚の露出部を少なくするようにした方がいいという。
感染が確認された24の国・地域はこちら(2月1日現在)
バルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、 オランダ領キュラソー、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、仏領マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パアマ、パラグアイ、プエルトリコ、サンマルチン、スリナム、米領ヴァージン諸島、ベネズエラ