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「日本は中国と同じような国になりつつある」 野口悠紀雄さんのアベノミクス批判

変化に対応するためには。

アベノミクスの限界を指摘する声が強まっている。産業構造の転換が必要だと訴えてきた野口悠紀雄・早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問は「日本は中国のような国になりつつある」と主張する。その意味は。そして、立て直しの方策は。

4月21日、都内で開かれた金融系ITスタートアップのイベント「MFクラウドExpo」。基調講演に立った野口さんは、日本経済が厳しい状況にあると指摘した。

野口さんはまず、円高になる可能性を指摘する。緑の線が円ドルのレード。右端の2015年暮れごろから、右下がりになり、急速に円高が進んだ。

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「背景には、世界の投機筋の将来の為替レートに対する見通しが、急激に変わってきていることがある」

「現在の為替レートは、投機筋がどういう行動するかによって、非常に大きな影響をうける。これから本格的な円高になる可能性がある」

「このことは日本経済に重要な意味をもっている。安倍内閣が成立してから、それまで1ドル100円ぐらいの円ドルレートが120円を超えた。その結果、特に製造業の収益が増えた。これで経済がよくなったと考えている人が多いが、その基本的な条件が変わる可能性があるということ」

とくに、製造業が厳しい状況に追い込まれると指摘する。

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野口さんが次に認識してほしい事実としてあげるのが、1人当たりGDPの推移。アメリカから離され、中国が近づいている。

「この指標は国の豊かさを示すものとしてよく使われる。日本はもはやアメリカのような豊かな国ではなくなってきている。中国と同じような国になりつつある」

もうひとつ、日本経済の現状で注視するべきは雇用の形態という。

これは、正規と非正規の雇用者の推移。増えているのは赤の非正規だ。

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「しばしばアベノミクスによって雇用条件が改善しているということが言われているんですが、増えているのは非正規。正規の雇用者は減っている」

「将来の雇用に対して、人々が不安を覚えている。これが消費不況の大きな原因だと思う。日本経済がこういう状況にあるということを知ってほしい」

日本不振の原因はなにか。1990年代、世界経済に起きた重要な二つの変化が背景にあるという。

一つは、中国の工業化

「それまで先進国が行っていた製造業は、大きな影響を受けた。中国の賃金は低いから、製造業で中国に競争して勝てるような条件はなくなった」

「先進国においては、どこの国でも製造業が縮小している。日本も例外ではない」

二つ目は、IT革命

大型コンピューターがパソコンになり、誰でも使えるようになった。インターネットの誕生で、通信コストが減った。

「この二つの大きな変化が90年代に生じた。この変化に対応できた国と対応できなかった国がある。アメリカは対応できた国の典型。日本は対応できなかった国の典型」

これこそが、1人当たりGDPの変化の背景にあると説明する。

「このようなことは、この2〜3年見えにくくなっていた。円安が進んだから、製造業が一時的に復活した。しかし、その条件がなくなりつつある」

では、アメリカはどう変化に対応したのだろうか?

アメリカは産業構造を転換できているという。

「先進国において、経済成長をリードするのはもはや製造業ではない。ある種のサービス産業。しかも従来のように生産性の低いサービス産業ではなくて、生産性の高いサービス産業が必要だ」

例えば、アメリカで時価総額が最大の企業はどこか。答えはAppleだ。

「これは製造業ではあるんですが、従来とは非常に違う。ファブレス、工場がない。つまり、Appleは製品を開発し、設計し、販売するというサービス産業のような内容なんですね」

次に時価総額が高いのは? Alphabet (Googleの持ち株会社)だ。


「これも製造業ではない。Googleのビジネスモデルは広告だから、サービス産業と言ってもいい」

「ただ、Googleのビジネスの基本には、強力な検索エンジンがある。非常に高度なテクノロジーにもとづいているサービス産業だから、これも従来のサービス産業とは違う」

「Appleもグーグルもこれまでの産業分類ではうまくとらえられないような高度なサービス産業であるとしかいいようがない。そういう企業、産業がアメリカの成長をリードしている点が重要だ」


バズフィード・ジャパン アダプテーション・リポーター

Saki Mizorokiに連絡する メールアドレス:saki.mizoroki@buzzfeed.com.

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