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Facebookがついに乗り出した偽ニュース対策 ザッカーバーグが示した責任とは

米大統領選で大きな注目を浴びた偽ニュース。ようやくFacebookは対策に乗り出す。だが、その効果は? 中立性に問題は?

Facebookは12月15日、偽ニュース(捏造記事)を広めにくくする対策を発表した。事実検証をする第三者機関と協力。この機関が虚偽だと指摘した記事には、ユーザーに対して、警告が通知される仕組みだ。ニュースの扱いをめぐって、同社が第三者と協力するのは初めて。

偽ニュースは、米大統領選の期間中にFacebook上に大量に流通。問題が指摘されており、同社の対応が注目されていた。

ピュー研究所によると、アメリカの成人のほぼ2人に1人がFacebookでニュースを読んでいる。ニュースサイトへ導く入り口として、アメリカ最大となっている。

仕組みは

新対策は、まずアメリカで一部のユーザー向けに試験的に導入する。具体的には、まずユーザーが偽ニュースを通報しやすくする。

Facebookは、こうした報告のあった記事に加え、偽物だというコメントが多くついている記事や、報道機関のサイトに似せた偽サイトの記事などをアルゴリズムを活用して集める。

次に、この中からファクト・チェックが必要とみられる記事をピックアップし、一覧化する。

第三者機関は、この記事一覧にアクセスし、事実かどうかを検証する。

ここで偽ニュースだと指摘された記事は、ユーザーのフィードに表示されたときに、赤いアラート「Disrupted(真偽が問われている)」と出るようになる。

ユーザーはアラートをクリックすれば、第三者機関が疑義を挟んだ理由を解説する記事も読める。

「(ユーザーは)自分自身で、その記事を信頼するか、シェアするか、決められます」とFacebookの責任者アダム・モッセリ氏は話す。第三者機関に偽ニュースだと指摘された記事は、フィードに現れにくくもなるという。

すでに第三者機関とファクト・チェック作業は始めているという。

第三者機関は

提携する第三者機関は、国際ファクト・チェック・ネットワーク(IFCN)の行動原則に合意した報道機関。ビジネスインサイダーによると、Snopes、Factcheck.org、ABC News、PolitiFactの4者だという。

IFCNの責任者アレクシオス・マンザーリス氏はBuzzFeed Newsの取材に「象徴的な出来事だ」と評価しつつ、「Facebookが発表した対策が、実際にどう機能するか、どう世界中に展開するか、結果を確かめなければならない。その後、ファクト・チェックや偽ニュースとの闘いに有用かどうか分かる」と話した。

Facebookのモッセリ氏によると、Facebookがこうした第三者機関に謝礼を払うことはない。一方で、こうした機関が配信する記事がより読まれるようになる効果はあるかもしれないという。

偏向はないのか

アメリカの保守論客はこれまで、ファクト・チェック機関はリベラルに偏向していると批判してきた。Facebook自体のリベラル色が強いという指摘もある

ファクト・チェックで提携するPolitiFactのアーロン・シャーロックマン事務局長は、これを否定。読者が判断できるように透明性をできるだけ高めることに注力しているという。BuzzFeed Newsの取材にこう答えた。

「PolitiFactは過去9年間、1万3000件のファクト・チェックをしてきました。左からも右からも偏向があるという批判を聞いてきました」「党の熱烈な支持者などある一定の批判する人たちを満足させることはできないでしょう」

創業者は

偽ニュース対策について「問題は技術的にも哲学的にも複雑だ」「われわれ自身が真実かを裁定する者となることには、非常に慎重でなければならない」と及び腰だったマーク・ザッカーバーグCEO。

新対策を発表した12月15日の投稿では、世界一大きなSNSとしての責任をこう表現した。

「我々は、公共の言説に資する新たなタイプのプラットフォームです。だからこそ、人々が非常に意義深い会話をできるようにする、また、情報を得られる空間を作り上げるという新しいタイプの責任があるのです」

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